ストリートピアノ的開発
最近、偶然に見たYouTubeをきっかけにストリートピアノの
動画にはまっていました。きっかけとなった動画は、どこか
の街頭ピアノでピアニストの菊池亮太が演奏を始めると、観
客の女性が次々とリクエストし、それに超絶技巧で応えてゆ
くというものでした。
とにかくすごかった。
多くのストリートピアノの動画は、街頭ピアノで演奏を始め
ると人だかりの山ができて、というパターンが多いのですが、
何を演奏するかは奏者自身が決めています。しかし、この動
画では観客がリクエストしています。もしかしたらこの観客
も音楽関係者なのかもしれません。クラシックからアニソン、
はやりのJ-POPからQueenまで、様々なジャンルの曲を躊躇
なくリクエストしてゆきます。それを奏者は今弾いている曲
から違和感なく変曲していくのです。
音楽素人の身としましては、まずリクエストの曲名を聞いて
もわかりません。聞くと知っている曲なのですが、曲名を聞
いても曲と一致しないのです。次から次に曲名をリクエスト
する観客もすごいと思うのですが、それを聞いて即座に弾け
る奏者はもっとすごい。知らない曲とかないのかしら。
それを現行曲からつなげるアレンジ力。鍵盤の端から端まで
走り抜ける十本の指。短い時間ですが、奏者とリクエスタの
楽しそうなコラボレーションに他の観客が魅了されている、
そんな感じでした。
ひるがえって、唐突ですが著者はシステム屋です。
仕事はシステムを作って、お客様に導入して、お守りをして
いくことが仕事。当然、プロジェクトベースの仕事形態にな
るのですが、以前から、この仕事に対して少々ネガティブな
イメージを感じていました。モノづくり自体は楽しいのです
が、契約に縛られたプロジェクトとなると、追い立てられる
納期に超過する予算、次から次に発生する仕様変更に、増加
する一方の課題。社内からもいろいろ報告を求められ、報告
すればするだけ文句と無理難題を言われます。
動かないコンピュータ問題、ブラックな職場、客とのトラブ
ルに訴訟。客にとってもベンダーにとってもシステム開発は
楽しいものではないのではないでしょうか。
別に今、自分たちの仕事がそうだ、と言っているわけではあ
りませんが。
そこで動画を見ながら考えたのです。このストリートピアノ
見たいなシステム開発はできないものかと。
次から次へとリクエストされる顧客からの依頼を、顧客を凌
駕する知識と超絶な技術をもって期待以上のシステムを作っ
てゆく。顧客とのコラボレーション型システム開発。楽しそ
うじゃありませんか?
夢物語?でも、アジャイル憲章で謳われていることって、こ
ういうことではないかと思えてなりません。