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妄想開発の極意

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お客様の業務システム開発のお仕事をしていると、お客様自身も業務が未熟で
どのようなシステムを作ってよいか分からないことがあります。

特に急激に事業が大きくなっているお客様は、これまで紙やExcelで業務を回し
ていたのに、それではだんだん追い付かなくなり、システムを導入しよう!
ということになるのですが、実態は熟練者の経験と勘でこなしており、その補
助として紙やExcelがあるので、表出化されているものを見てもどうシステム化
してよいかはさっぱりわかりません。また業務の担当者にやり方をヒアリング
しても、経験と勘をたよりに作業しているので体系立てて説明することは難し
く、加えてシステム化は今まで自分たちが積み上げてきたやり方を否定される
ように感じてしまうのか、どうしても口が重くなってしまいます。

システム化の観点からしても、経験と勘の業務のやり方と、システムを使って
の業務のやり方は全く別のものなので、今のやり方だけを聞いたとしても、実
のところ、どのようなシステムを作るべきか、という答えが出るわけではあり
ません。

では、どうするか。ひたすら、お客様のやっている業務を想像し続けます。何
をやっているのか、何のためにやっているのか。どうして、そのやり方なのか。
業務現場の視察や、担当者へのヒアリングは、想像した仮説を検証し、さらな
る仮説を想像する手段でしかないのです。これまでのやってきたこと、現在やっ
ていることの知ることの精度を上げてゆくことはもちろんの事、将来どうする
べきかなども考え続けるのですから、それはもう想像というより妄想に近いのか
もしれません。

結果、出来上がったシステムが、利用者の理解を超えてしまう事が多々発生し
ます。すると、利用者から現状に戻すような、システム化で成し遂げようとし
ていることに逆行するような要望が出てきます。要望ではなく、不具合だと言
われるかもしれません。実のところ、そのような場合の対応がシステム化成功
の鍵を握っています。システムの正しさを主張してもいけません。利用者の要
望を聞き入れ、システムを作り変えてもいけません。つくったシステムの正し
さを信じて変えず、加えて利用者の要望も聞き入れる折衷案を提示すること。
これが、とても難しく手間のかかる事ですが、大切なことです。

真剣に考えて作ったシステムは、導入期は利用者に理解されないかもしれませ
んが、いずれその本領を発揮するときがきます。利用者のリテラシーが上がっ
たとき、大きな環境変化があったとき、想定外の事がおこったとき、そんな時
にシステムの真価が発揮されるのです。

これが、妄想開発の極意だと考えております。

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