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買い手の品格、売り手の品格

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営業活動の一環で、いくつかのマッチングサービスを利用しています。

一つは、案件情報が送られてくるので対応可能な案件があれば自己推薦文を送り、
依頼側がその自己推薦文を採択すると、顧客情報が公開されるので商談を進める
という自己推薦型サービス。もう一つは、商品パンフレットをダウンロードする
と、顧客情報が公開されるので商談を進める、パンフダウンロード型サービス。

どちらも、マッチングサービスへの課金を売り手側が負担する、という事は共通
しています。自己推薦型は案件を依頼する側は無料ですが、送られてきた自己推
薦文を採択すると、自己推薦文を送った側に課金されます。パンフダウンロード
型はパンフレットのダウンロードは無料ですが、その際に入力する顧客情報を公
開することでパンフレット掲載側に課金されます。どちらも決して安いお金では
なく、売る物にもよりますが、数百万円の商談に数十万のサービス料を払う事に
なります。

また、どちらのマッチングサービスも、顧客情報を得たならばすぐにアポをとり
商談を進め、契約を獲得せよ、と勧めてきます(こちらの責任で)。当然、マッ
チングサービスにとってのお客はサービス利用料を払っている売り手側。サービ
スを利用しても契約につながらないとお客離れにつながるので、サービス会社は
結構手厚く励ましながらケツを叩いてくれます。

営業は千三つの世界ですが、どちらかというと、マーケティングの一環として商
品認知度向上を目的にサービスを利用しているので、今のところ契約までの効果
はあまり気にしていません。しかし一点、問題におもっていることは、どちらの
サービスも歩留まりの悪さ。課金はされるけど、此方にとって何も得るものがな
かった案件の数です。

例えば自己推薦型では、採択され、顧客情報が公開され、課金までされたけれど
顧客へのアプローチが全て拒否される場合。一応、担当者にアポを取って挨拶兼
ヒアリング訪問を行うのですが、アポを取ろうとしても取れないのです。連絡が
とれなくなる。訪問日時までは決まるが、急に予定が入り、代わりの日時を打診
してもなしのつぶて。上司がいない。上司が選定しなおしている、等々理由は様々。
訪問し、提案した結果、他決するのは仕方いのですが、訪問すらできないと此方
も課金損です。因みに提案までしても、結果、どうなったかをご連絡いただけな
いもかなり数発生します。状況確認はするのですが、まだ検討中で、という曖昧
な返事のまま音信不通になることも。
パンフダウンロード型は、自己推薦型に比べて購入意思は低いのですが、その分
敷居が低く、ダウンロード数はかなりの量になり課金が発生します。サービス会
社はその分、テレアポをとって商談につなげろと言わるのですが、体力がないの
でメールでダウンロードのお礼だけを送るようにしております。ほとんどの場合
はそれで終わるのですが、一定量、迷惑だから連絡してくるな、という連絡を頂
きます。別に以降のアプローチを予定してるわけではないのですが、課金された
うえに迷惑がられるのもなんだかな、と思ってしまいます。

こういった歩留まり問題は、マッチングサービスにおける買い手側と売り手側の
負担の非対称性にあるのではなないかと考えております。自己推薦型は、基本的
に買う事前提で売り手を探しているのですが、サービス利用の負担がないので、
本気度が低くても取りあえずサービスを利用してみることができます。いわゆる
冷やかしです。冷やかしなので、相手に失礼なことをしても自分に跳ね返ってく
ることはありません。ダウンロード型は、もともと購買動機があるわけではなな
いのですが、自分の個人情報をマッチングサービスに渡す必要があります。そこ
はパンフを入手する対価として利用者は認めているわけです。しかし、買う事自
体は目的ではないので、売り手からのしつこいアクセスは面倒、もしくは買う気
は全くないので、早めに営業努力が無駄である旨、売り手に伝えておくのは親切、
と思っているかもしれません。
このように、買い手側と売り手側のサービスを利用する動機の差、サービス利用
の際の負担の非対称性が歩留まりを生んでいるのはないかと感じているのです。
買い手に品格を求めるのならば、一見さんお断りの高級会員制のサービスを使え、
という事かもしれませんが。

もう一つ悩ましいことは、購入意思の低い(と思われる)お客様に、どこまでア
プローチするか、です。マッチングサービス会社からはテレアポをとって訪問し、
メルマガを送り、定期的なアフターフォローを、と尻を叩かれますが、体力がな
い身からするとパンフをダウンロードしてくれたリードに全て実践することはと
ても難しいという事に加え、自身がそういうアプローチを面倒くさいと感じてい
る実態もあり、実行できていません。しかし、本来ならば購入意識が高いはずの
自己推薦型のサービスでも、1~2割の歩留まりがあると考えると、パンフダウ
ンロード型で本当に購入意思の高い利用者はとても少ないのではないかと思われ
ます。1割くらいが迷惑だから連絡するな、と言ってくることを考えると、本当
に購入を検討している利用者も1割程度ではないかと。実際、購入意思が高いと、
買い手側からアプローチしてくるので、テレアポ等のアクションは、購入意思が
明確ではない残り8割のリードに対してのアプローチとなり、その中には、こちら
のアプローチをきっかけに購入意思を高めるリードもあれば、逆に鬱陶しがられ
て購入意思を低めるリードもあるということになります。購入意思の低いリード
にアプローチして、フォローして高めてゆくことが大切なことはわかってはいる
のですが、体力がないのでどうしても、購入意思の高いリードに効率よくアプロー
チしたくなります。

営業の世界は千三つですが、現在はツールやサービスが充実して、千のリードを
引っ張ってくることは容易になってきたと思います。半面、今までの営業のやり
方では三つの契約を取ることは難しくなっているのではないかとも。
様々なツールやサービスをオムニチャネルとして使って相乗効果を出し、効率よ
く契約に結び付けてゆく方法を模索してゆくしかないのでしょうね。

Comment(2)

コメント

侘助

パンフダウンロード型サービスは使いますが、ダウンロードしてみるまで中身がわからないので
思っていたものと違ったり、資料の内容がスカスカだったりするとがっかりします。

その状態でテレアポをもらっても、欲しい情報が手に入らない上に電話で時間を取られるという苛立ちで迷惑そうな態度が出てしまっているかもしれません。

WEBサイトに全部資料を公開してもらった方がありがたいのですが、
WEBマーケ的には難しいんですかね・・

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