第635回 キャリアの根幹たるモノ
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
一応、このコラムはキャリアをテーマに書くことにしています...が、ネタが続かないこともあり、普段感じた色んなことをキャリアに絡めて書いています。でも、たまにはキャリアど真ん中の話もしてみたいと思いましたので、今回はキャリアを考える上で役立ちそうなことを書きます。
■キャリアを思い描くと言っても...
キャリアを将来なりたい姿、ありたい姿として定義し、そこに行き着くためのキャリアプランを作成し、それを日々実践することで目指すキャリアに近づこうとします。これが世間一般で言われているキャリアコンサルティングというヤツですよね。それじゃ、1つ質問を出します。答えてみください。
「今から10年後の自分を想像してみてください。その時の自分を今のあなたはイメージできますか? 」
この質問に対し「〇〇になりたい」とか「〇〇なことをやっていたい」と答えられる方はいるかもしれませんね。では次。今度はこの質問に答えてください。
「今から10年前の自分を想像してみてください。その時の自分は今の姿をイメージできていましたか? 」
今度は10年前の自分が今の自分をイメージできたかという質問です。この質問をすると、多くの人は「イメージできてない」と答えられます。かく言う私もそうです。10年前の私は絶対に今の私をイメージできていなかったです。。。
なぜこのようなことが起こるのか、それは10年という期間が長過ぎるからです。10年という期間にはいろんな出来事、様々な体験、多くの人との出会いがあったはずです。キャリアというのはそうした中でその人が行った選択の連続によって少しずつ形作られていきます。そうした選択の連続はその人の想像の域を超えてきます。だからイメージしようと思ってもできないと感じるのではないでしょうか。それでは最後の質問です。今度はこの質問に答えてみてください。
「今から10年後の自分を想像してみてください。その時の自分を今のあなたはイメージできますか? 」
これ、最初の質問ですよね。2番目の質問を挟むことによって、途端に難しく感じませんか? それは10年という期間のイメージが具体化されたからです。そうして絞り出した答えというのは、実は小学生がなりたい職業を選ぶようなレベルと同じになってしまっているかもしれません。
実はキャリアを考えるというのは、こんなレベルの話だったりするんです。。。
■キャリアの根幹たるモノ
この話をさらに掘り下げます。なぜ10年という期間のキャリアをイメージすることが難しく感じるのでしょうか。それは、キャリアを移り変わるモノとして捉えている所に原因があります。
「え? キャリアってその時その時で変わっていくものじゃないの? 」
こんな声が聴こえてきそうですね。これはその通りです。キャリアとはその時その時にその人の考え方によって変わっていくモノです。だから、この考え方自体に問題がある訳ではないんです。
一体何が言いたいんだ? と思われるかもしれません。。。今の私の考えは、キャリアの根底たるモノは移り変わらないモノとして捉えた方が良いと考えています。これって何のことか?
実はこれ、最初にお話しした「キャリアを将来なりたい姿、ありたい姿として定義」という所の話なんです。実はありたい姿やなりたい姿というのは職業や仕事などではなく、その人の生き方や価値観を指しています。例えば、
- 正しく生きていきたい
- 人にやさしく振舞える生き方をしたい
- 最先端の技術を身に付け、それによって人々を幸せにしたい
こういうことです。こうしたことを実現するために職業や仕事があるんです。そして、職業や仕事は移り変わるモノです。その時の状況によって様々変わっていきます。それは当然のことです。しかし、
- 正しく生きていきたい
- 人にやさしく振舞える生き方をしたい
- 最先端の技術を身に付け、それによって人々を幸せにしたい
こうしたことはその人の根底にある生き方や価値観であるため、これをキャリアと定義することで移り変わらないモノになります。
本来キャリアというのは、こうした自分の在りたい姿やなりたい姿を言語化し定義することによって形作られるべきものではないかと考えます。こうすることで、例え10年という期間であってもそれは移り変わらない不変のキャリアになります。そして、これは7つの習慣でいう所のミッションステートメントと同じ意味です。興味のある方は過去のコラムをご覧ください。
第279回 7つの習慣のススメ4 -第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」
■キャリアとは何かを考える
今回ご紹介したキャリアに対する考え方は、キャリアに対する一つの捉え方です。これが正解かどうかはわかりません。しかし、物事の本質を考えるようになり、盲目的に「キャリア=移り変わるモノ」という捉え方で良いのか? と自問自答する中で私なりに行き着いた現時点での答えです。
キャリコンの方はキャリアとは何なのか? 自分なりの定義を考えておくことが必要だと思います。なぜならば、その考え方をもって相談者にキャリアづくりの支援をするからです。キャリコンがキャリアのことをあやふやに捉えていると支援するキャリアもあやふやになってしまいます。
今回のお話があなたのキャリアづくりやキャリア支援の参考になれば幸いです。