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第634回 面接ロープレの本質とは

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 私は国家資格キャリアコンサルタントのトレーニングを担当することが多いのですが、そろそろ実技試験が近いということもあり、最近はよく面接ロープレの指導をさせてもらっています。面接ロープレの指導自体は国家資格キャリアコンサルタント試験が始まる前からやらせてもらっているので、もうかれこれ10年近くはやっているのですが、その間指導の方法が大きく変わってきています。

 そこで今回は最近行っている面接ロープレの指導方法から物事の本質について考えてみました。

■国家資格キャリアコンサルタントの実技試験

 国家資格キャリアコンサルタントの面接試験はこのようになっています。

国家資格CC受験概要.png

 こちらは国家資格キャリアコンサルタントを実施ししているキャリアコンサルティング協議会のサイトから引用させてもらっています(引用元URL)。

 これによると「ロールプレイは実際のキャリアコンサルティング場面を想定して、面談最初から最初の15分という設定で行います。」と書かれています。15分では面接ロープレを完了させることは難しいため、それ以降の対応については面接ロープレ終了後に口頭試問という試験官の質問に答えることで代替することになっています。

 こうしたことから、一般的な面接ロープレのトレーニングは15分で設定されることが多いです。かく言う私もそうしてきました。そして、15分という中途半端な時間で面接ロープレを終了させ、その後は口頭試問で訊かれるであろう想定質問に対し、答え方を指導するといった方法でトレーニングをしてきました。

■面接ロープレの本質とは

 しかし、この方法に意味はあるのか?と考えるようになりました。というのも、この方法だと面談初期の15分の経験値はどんどんたまっていくのですが、一方で面談後期にやるべきことが全く習得できないのです。それは口頭試問で補うと言っても実際には面談後期のロープレなんて経験していないので、すべて想像の域を超えないのです。これは私が国家資格キャリアコンサルタントの更新講習で実技指導をするときに如実に感じるのですが、面談後期にやるべきことを理解できていない人が圧倒的に多いです。

 それは、偏に面接ロープレのトレーニングの仕方自体に問題があるんじゃないのか? こんな試験に受かることだけに焦点を当てたトレーニングでは実務をこなすことができないキャリコン育ててしまうのではないか? そう考えるようになりました。

 そうしたことから、私自身、もう一度面接ロープレの在り方を見直すことにしました。そもそも試験では面接ロープレの最初の15分を実演し、それ以降の時間でやろうとしたことを口頭試問で補います。それは面接試験の時間的な制約もありますし、言動一致(口頭試問で答えたことと面接ロープレの内容が一致していること)を試験官が確認するためでもあります。

 だとすれば、本来面接ロープレのトレーニングでやるべきことは、面接ロープレを最初から最後までちゃんとやり切る力を身に付けることではないか。最初の15分だけにフォーカスするのではなく、時間がかかってでも面接をすべて完了させ最後まで経験してもらう。その上で、最初の15分以降、何をやったかを振り返り、それを口頭試問の設問に合わせて答えてもらうようにすることで、面接中に自分が何を行い、それをどう表現すれば良いかを考えさせるという意味のある応答になるのではないかと考えるようになりました。

 こうしたトレーニングはキャリアコンサルタントの本質的な技術力の向上に寄与すると考えます。実際に面談ロープレ最後までやってもらうと、いかに面談後期の部分が抜け落ちているかを受講生さん自身が気づかれます。本質的な問題を把握、相談者と共有した後、どうやって目標を立て、具体的な方策を考えるか、そしてどうやって面談を終了させるか、その経験値が圧倒的に足りていないことに気づかれます。

 勿論、試験に合格するだけならここまでやらなくても合格させることはできます。それはこれまでの経験から断言することはできます。しかし、それだと実際のキャリコンができません。なぜなら、面談初期のトレーニングばかり行い、面談後期は口頭試問とかいう小手先の対応で凌いでいるからです。こんなことをやってたらいつまで経ってもキャリコンなんてできるはずはありません。

 我々指導者がやるべきことは試験に合格させるテクニックや技術を教えること以上に、その人を一人前のキャリアコンサルタントとして育てること、最後までひとりでキャリコンができるようになること、それを指導することです。それが面接試験における本質だと思うのです。そのためには面接ロープレを最後までやり切ること、それをベースに指導していくことが必要になってきます。そう考えると、最後までちゃんとキャリコンをやり切ることができる力を持っている人でないでないと、本質的な面接ロープレの指導は絶対にできないと、私は考えます。

■本質を捉えることの大切さ

 そして、私自身、今回のことは少し気づくのが遅かったように感じました。

 正直なところ、私は「試験対策」という言葉がずーっと引っかかっていました。それは、面接ロープレが単なる試験に受かるための所作を習得することであり、それは実務に活かされないということを暗に示しているようにきこえるからです。しかし、これまで長く続けてきた試験対策のやり方に慣れてしまっているせいか、そのことについての本質を考えることをせず、ただ同じことを繰り返してしまっていたと感じました。

 本当に指導者がすべきことは国家資格キャリアコンサルタントの有資格者を増やすことではありません。ちゃんとした技能、知識、マインドを有したキャリアコンサルタントを育成することです。私はその本質を見誤り、単に試験に合格させれば良い的なことに執心していたように感じます。。。これは本当に反省すべきだと感じました。

 私はこれからもキャリコンを育てていくことは続けていくつもりです。しかし、これからは表面上だけを見て対応するのではなく本質を捉えた上で対応していく必要があると強く感じました。まだまだ、私自身改善すべき点がたくさんあります。ですので、これからも日々私なりに考え行動していきたいと思います!

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