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第279回 7つの習慣のススメ4 -第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 「7つの習慣のススメ」シリーズも4回目になりました。今回は第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」をご紹介いたします。

■2つの創造

 前回の第1の習慣では主体的である必要性、そしてどの場所やシーンで主体的であるかをお話ししました。その前提に立ち、私たちが「依存」から「自立」の状態に至る私的成功を得るためには知的創造物的創造の2つの創造が必要になります。何かを成すにせよ、実現させるにせよ、場当たり的に物事を捉えるのではなく、まず完成形を描くことから始めます。そうしてできた完成形を元にして具体的に物事を実現させるのです。この完成形を描くことを「知的創造」と呼びます。例えるならば設計図のことです。そしてこの設計図を実現させるために「物的創造」があります。

 この知的創造を「第1の創造」と呼び、第2の習慣で実現させます。さらに物的創造を「第2の創造」と呼び、第3の習慣で実現させます。知的創造と物的創造という2つの創造は以下のような構造になっています。

依存」の状態

ベース ... 主体的である、第1の習慣で実践させる

知的創造 ... 第1の創造、第2の習慣で実現させる

物的創造 ... 第2の創造、第3の習慣で実現させる

私的成功(「自立」の状態)

■「終わり」とは何か?

 知的創造、つまり私たちの設計図をつくることが第2の習慣であることは分かりました。しかし、何の設計図をつくればよいのでしょう? 第2の習慣は「終わりを思い描くことから始める」です。ここでいう「終わり」とは何か? それは、人生の「終わり」ではありません。私たちが目指したい姿、なりたい自分、到達したい場所を「終わり」という言葉で表現しています。

 例えば「人にやさしく生きる」ことを目指したい姿だと考える人がいたとしましょう。それがその人の思い描く人生の設計図になります。そして、これこそが知的創造でありその人にとってすべての行動のベース、拠り所になります。「人にやさしく生きる」からこそ、仕事でもプライベートでも周りの人たちと協調性を持ち、人の気持ちを汲み取り、人と和を取って生きようとします。こういった具体的な生き方が物的創造になります。

■ミッション・ステートメント

 この私たちの目指したい姿、なりたい自分、到達したい場所といった「終わり」のことを7つの習慣ではミッション・ステートメントと呼んでいます。ミッション・ステートメントは、その人のやりたいことを表したモノではなく、どのような人でありたいのかを表したモノです。第1の習慣で人間には「自覚」「想像」「良心」「意志」という4つの能力があるというお話をしました。それら4つの能力を使い、どのように私たち自身が生きていきたいのか、私たち自身の拠り所となる考え方、方向性、ビジョンこそがミッション・ステートメントです。このミッション・ステートメントがあることで、私たちは選択に迷うことがあったとき、ミッション・ステートメントによってその選択を選ぶことができるようになります。それは、ミッション・ステートメントが私たちの終わりを思い描いた姿であるからで、ミッション・ステートメントに従うことは、私たちの目指したい姿、なりたい自分、到達したい場所に近づくことができるからです。

 このミッション・ステートメントのつくり方ですが、基本は内省といって自分自身に向き合う作業が中心になります。自分が目指したい姿は何か? なりたい自分は何か? 到達したい場所は何か? これをゆっくり、そしてじっくり考えていきます。そうして、何度も何度も草案をつくっては書き直し、つくっては書き直しを繰り返します。そのような作業を継続していくことで、自分が納得できる内容になったとき、それがその人にとってのミッション・ステートメントになります。

 しかし、これだけの内容になるからこそ、ミッション・ステートメントは簡単にはできるモノではありません。何日も、何週間も、何カ月もかけてじっくりじっくり練り上げていく必要があります。ですが、これらは普段の生活をしながらでもつくることができます。私の場合はスマホに自分の思い描くミッション・ステートメントの草案を書いておきました。それを一人の時間(電車の中や寝る前など)に時折見直してみて、それが自分の目指したい姿、なりたい自分、到達したい場所なのかを何度も何度も心の中で反芻しました。そうして、少しずつ納得感を増やしていき、あるタイミングで「これだ! 」という確信ができた段階で、それを自分のミッション・ステートメントにしました。私の場合はミッション・ステートメントができるまでに3カ月ほどかかりました。

 私はこのミッション・ステートメントをとても大切にしています。それは長い時間かけてつくったからということもありますが、ミッション・ステートメントができたことで、私はこういう人間だ! という軸が1本通ったような感じになったからです。また、自分が何かの行動を選択しなければならない場合、そのミッション・ステートメントに委ねられるようになりました。これは、私にとって「自分」という拠り所を持つ大きなきっかけにもなりました。また、ミッション・ステートメントがあることで気持ちが楽になったような感じもしています。


 今回は第2の習慣である「終わりを思い描くことから始める」を紹介させてもらいました。次回はいよいよ私的成功の最後の段階である第3の習慣「最優先事項を優先する」のお話をさせていただきます。

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