第426回 あなたにとっての最高の瞬間を
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
キャリアを考えるとき、私はその人が何を拠り所としてキャリアを考えているかに注目します。この拠り所というのは、例えばモチベーションを上げることだとか、何かしらの義務感だったりとか、人によって様々です。そこが明確になると比較的スムーズにキャリアの道筋は見えてくるように思います。逆の言い方をすると、キャリアがなかなか定まらない人というのは、この拠り所が自分の中で分からない人が多いように感じます。今回はこの拠り所をどのように見つけたらよいのか? そんなお話です。
■ミッションステートメント
この拠り所へはたくさんのアプローチ方法があります。例えば、7つの習慣でいえばミッションステートメントがそれにあたりますが、このミッションステートメントを探すためには死ぬ間際のことを考えます。死ぬ間際にあなたの知り合いがあなた自身にかけてもらいたい言葉を考えるのです。
「あなたはとても強欲な人生でしたね」
「人のことなんか見向きもしない自分本位な生き方でしたね」
こんなことを死ぬ間際に言われたいでしょうか?
「あなたのお陰で、私の人生は実り大きいモノになりました」
「あなたは私の道しるべになってくれました」
やっぱりこんなことを言われたいのではないでしょうか。7つの習慣では、このように人生の最後に言われたい言葉がその人にとって最も大切にしたいと思える事柄であり、それを時間をかけて具体的にしていくことでその人の人生の拠り所であるミッションステートメントをつくり上げていきます。私は3カ月ほどかけて自分のミッションステートメントをつくり上げましたが、ミッションステートメントがあることで自分の生き方がブレなくなりました。それは、何かの選択で迷うことがあった時にミッションステートメントに照らし合わせて選択すれば自分の生き方ができるようになったからです。
■キャリアの源泉
この拠り所をキャリコン的に考えた場合、私はキャリアの源泉ということを考えます。キャリアの源泉とはその人のキャリアの源になるその人の志向や想いのことです。
「人に喜んでもらいたい」
「達成感を味わいたい」
このように、その人が心の底から目指したい、実現したいと思えることがキャリアの源泉です。実際のキャリコンではこのキャリアの源泉を探すために、傾聴を行いながらその人の内面を掘り下げていきます。こういったことからキャリアの源泉を探すためにはキャリコンが適しているのですが、キャリアの源泉は自分一人で探すこともできます。
それは、あなたにとっての最高の瞬間がどういう状態なのかを徹底的に考えます。心の底から喜んだり、嬉しくなったり、叫びそうになるほど心が躍ったり...、このような瞬間ではないでしょうか。この瞬間を実現させることをキャリアに見立てるのです。ただ、そのままではなかなかキャリアになりづらいこともあります。例えば、スポーツを観戦しているときに興奮した時の感情が最高の瞬間だったとしましょう。これをどうキャリアに結び付けるかを考えなければなりません。そこが一人でキャリアをつくる難しさでもあるのですが、ミッションステートメントをつくるのに数カ月はかかることを考えれば、自分でキャリアの源泉を探し出すにも同様の期間がかかるモノだと思います。
■あなたにとっての最高の瞬間を
自分にとって最高の瞬間がどういった時かを考え、それをキャリアに見立てたらどうなるか? を考える。そうして自分自身のキャリアを探し出す訳ですが、探しているときはきっと心を躍らせながらいろんな想いを巡らせているのではないかと思います。
思うのですが、そういった最高の瞬間を探す行為そのものが、もうすでにその人のキャリアになっているのかもしれませんね。