第408回 自分らしい生き方とは
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
私たちは判断の連続で生きています。常に何かの判断を迫られています。例えば、朝起きるという判断、会社に行くという判断、電車に乗るという判断、目の前の仕事をするという判断、人と会話をするという判断...、このように意識、無意識関わらず私たちは常に判断をしながら生活をしています。判断をする訳ですから、当然、結果として正しかった、間違っていたという事が起こります。そう考えると、正しい判断ができるような生き方をしたいですよね。それでは、正しい判断をするような生き方ってどのような生き方なのでしょうか? 今回はこんなお話です。
■判断の拠り所になるモノ
判断をするためには判断をするための尺度、つまり、何を元に正しい、間違っているかを評価する物差しが必要になります。例えば、会社で仕事をする時は社訓、社是、経営理念などが拠り所になります。会社はこういう考え、思想で運営されます。だからこそ、判断が必要になる場合、本来は社訓、社是、経営理念に則って評価すればを良いという事になります(現実はそのようにならないこともたくさんあると思いますが...)。
それは私たち個人に置き換えても同じことです。私たちの判断の拠り所になるモノがあれば、判断に困るようなことがあった時、その拠り所を元に評価をすれば判断に迷うことはなくなるはずです。
こういった判断の拠り所になるモノを「ミッションステートメント」と呼びます。これは7つの習慣の第2の習慣「終わりを思い描くことから始める」でつくります。ミッションステートメントとは私たちの考え方のベースとなるモノで、私たちの生き方における軸となります。このミッションステートメントがあることで、私たちの判断は明確になります。
例えば、あなたはとても疲れている中で電車に乗り、運よく座ることができました。そんな中、明らかにあなたより疲れていそうな方が乗ってこられました。この人は座る場所がなく立っていました。何とかしてあげたいと思っていますが、あなた自身も疲れています。そんな時、あなたはどのような判断をするでしょうか?
このとき、あなたの頭の中で席を「譲る・譲らない」という葛藤が起こりました。そうして、結局、席を譲らないという選択をしました。しかし、電車を降りた後、その選択で本当に良かったのか? あの時、席を譲れば良かったのではないか? そんな自分の行動を後悔することがあるかもしれません。なぜ、そのようなことが起こるのか? それは、その人に判断の軸がないからです。
しかし、この時、「人に優しくある生き方をしたい」というミッションステートメントを持っていたとします。そのミッションステートメントがあり、その生き方をしたいと思っていれば、「席を譲る」という選択ができる訳です。ひょっとしたら、それによってあなたは更に疲れが増してしまうかもしれません。しかし、自分の生き方ができたという意味では、それは正しい判断をしたと言えるのではないでしょうか。
■ミッションステートメントのつくり方
そんなミッションステートメントのつくり方ですが、まずあなたの人生における最後のシーンを思い描きます。その時、自分の周りにはたくさんの人がいて、皆あなたに対して語りかけてくるのです。その時に、どんなことを周りの人から言ってもらいたいか? をイメージするのです。
「あなたはとてもお金を稼ぐことばかり考えていたよね」とか、「あなたは目の前の仕事をばかりをずっとやり続けてきたよね」のような言葉を送ってもらいたいでしょうか?
恐らくそのような言葉ではないと思うのです。きっと、「あなたがいてくれたら私たちは幸せでした」とか、「あなたの生き方が私の目標になりました」とか、そういった言葉なのではないかなと思います。つまり、終わりの瞬間に言われたい言葉があなたにとって最も大切にしたいと考えている事であり、その言葉を実現させることがあなたにとってのミッションステートメントになるのです。これが、「終わりを思い描くことから始める」ということです。
■自分らしい生き方とは
結局、判断の拠り所、つまりミッションステートメントを持つということは、自分らしい生き方をするという事です。今の時代は複雑な世の中ですので、自分はこういう人間でありたいと思っていても、できないことはたくさんあります。しかし、そんな中でもミッションステートメントを持っていることで判断に迷うことは少なくなるような気がします。実際、私はそうです。また、ミッションステートメントに基づく判断をすると、正直シンドイこともたくさんあります。しかし、それでも自分の中で納得感は得られます。自分の生き方している満足感、充実感は得られます。それが何より、自分という人間の価値を感じられる瞬間でもあるような気がします。
ミッションステートメントは私たちの生き方を明確にしてくれます。もし、興味のある方はぜひご自身のミッションステートメントを探してみてくださいね。