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第407回 そろそろちゃんとWin-Winを考えてみる

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 うまく意思疎通ができない方っておられませんか? 最近、私も感じる所がありました。別段、私は攻撃的に会話をしているつもりではなかったのですが、一方的に会話を打ち切られたり、急に怒りの感情を露わにされるシーンがありました。私自身はそういった事を気にしないタイプなので、それでもいつも通りに接していたら、その内相手の怒りが収まり通常の会話に戻ったのですが、なぜこういう事が起こるのだろうと思っていました。

 こういった話は7つの習慣にもあるのですが、今回はその中でWin-Winに対する考え方をまとめてみました。

■第4の習慣「Win-Winを考える」

 実はWin-Winの語源は7つの習慣だったりします。Winを日本語に直すと「勝つ」という意味に捉われがちですが、ここでは「得る」と捉えた方が分かりやすいので、そちらの言葉を使います。Win-Winという考え方は「私も得て、あなたも得る」という意味です。実はこの考えに至る上で最も重要な考え方は「お互いの取り分は有り余るほど十分にある」という考え方を双方が持っていなければなりません。これを「豊かさマインド」と言います。逆に、「自分の取り分はこれだけしかない」という考え方を「欠乏マインド」と言います。

 例えば、食べかけのパイがあり、そこに二人の子どもがいます。どちらもそのパイを食べたいと思っています。このとき欠乏マインドが働くと、「パイはこれだけしかないのだから、自分の取り分を増やさないと損してしまう! 」のような考え方をお互いがしてしまいます。このような考え方を「Win-Lose(私は得て、あなたは失う)」と言います。

 しかし、「お互いの取り分は有り余るほど十分にある」という豊かさマインドを二人の子どもが持っていたらどうでしょうか? パイの量は限られています。しかし、パイに工夫を凝らし、たくさんのお菓子やクリームを追加して、もっと美味しそうで量が多いパイにしたらどうでしょうか。そうすれば、お互い自分が食べ切れないほどの量があり、しかも元のパイよりももっと美味しそうなパイが出来上がるのです。そうすれば「Win-Win(私も得て、あなたも得る)」になりますよね。

■勇気と思いやりのバランスを取る

 ここで重要なのは、お互いが豊かさマインドをちゃんと持てるかどうかにあります。例えば、何かしらの議論があったとして、お互いが欠乏マインドを持っていたとしたら、「私の考えを通さなければ、相手の考えを通さざるを得なくなる」というWin-Loseの考えのもとで議論が進んでしまいます。そうではなく、「私の考えや相手の考えのどちらも通せるだけの余地が十分にある」という豊かさマインドをお互いに持った前提で議論が進んでいけば、建設的な話になっていくのではないでしょうか。

 ただ、そのためにはお互いのWin、つまり得たいモノを明確にしておく必要があります。私のWinはこれ、相手のWinはこれ、のようにそれぞれをちゃんと言葉で表現することが大切です。なぜなら、Win-Winはそれらを満たすだけの余地が十分にあると考えるからです。その上で、勇気と思いやりのバランスを取ります。ここでいう、勇気、思いやりは比喩表現で、以下のような意味です。

勇気...自分の考えと思いを相手に伝える意欲と能力
思いやり...相手を尊重し、相手の考えと思いを求め、聴く意欲と能力

 この辺の話は過去のコラムにも書いていますので、ご興味のある方はそちらもご覧いただければと思いますが、Win-Winを考えるためには勇気と思いやりの両方が双方必要になります。

 まず、お互いが豊かさマインドを持ち、お互いが勇気をもって自分の考えを伝え、思いやりを持って相手の考えを受け止めようとする。こうやって議論を進めていくからこそ、Win-Winを考えることができるようになっていきます。

■Win-Winが実現できなかったらどうするのか?

 ただ、だからと言ってすべての出来事に対してWin-Winの考え方が成立するかといわれるとそうではありません。もし、Win-Winが成立しなかった場合はWin-LoseやLose-Win、Lose-Loseでいいのか? と言われるとそれも違います。そのような場合には「No-Deal」の考え方を使います。

 No-Dealとはお互い取引をしないという意味です。つまり、お互いWin-Winにならないのなら妥協をして結論付けるのではなく、勇気をもって取引をしないという選択にお互いが合意をするということです。7つの習慣では相手との信頼関係の下で第4の習慣を実践することを目指しますが、その信頼関係を大切にしているという意味合いもあります。

「お互い、精いっぱいWin-Winを考えてきたけれど、どうしても合意に至ることができなかった。だからこそ今回はNo-Dealで合意しよう。それが私とあなたにとって最良の選択なのだから」

■Win-Winを考える上で必要なモノ

 このWin-Winを考えるのは一人ではできません。自分と同じように相手も豊かさマインドを持って議論が出来なければ成立しません。そういった意味でWin-Winは自分一人では何ともならない部分が大きいです。これがWin-Winを難しくしている理由でもあります。それでは、どうすれば自分も相手も豊かさマインドを持てるのか? それは個人が「自立」している必要があります。自立というのは相手に依存するのではなく、自分自身で考え、責任をもって行動できる状態のことです。これは第1~第3の習慣の実践によって実現することができます。

 そう考えると、Win-Winというのは結構ハードルが高いかもしれません。。。しかし、もし私たちが本気でWin-Winを考えることができる力が備わっており、かつ本気でWin-Winを考える環境が整っていれば、私たちの生活はかなりの効果性を発揮するかもしれません。

 冒頭の話のように私はまだまだその状態からは程遠いのだと思います。しかし、実践を続けることでいつか本気でWin-Winを考えられるような状態や環境を作り上げたいと思っています。

Comment(1)

コメント

kaie

アサーティブコミュニケーションを学ぶ機会があった時に、その中でもWin-Winの関係についての話があり、考えさせられました。
「欠乏マインド」という考え方は非常にしっくりきますね。改めて勉強になります。
個人的にNo-Dealは「お互い頭冷やそうぜ」です。断るにしても次につながる断り方で終わりたいですから。

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