ITエンジニアへの5分間キャリア・コンサルティングやってます!

第538回 三度、Win-Winを考える

»

 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 先日、久しぶりに7つの習慣のワークセッションを実施しました。7つの習慣の実践は私のライフワークにもなっていますが、常に新しい気づきがあるといっても過言ではない位、これまで多くの気づきがありました。そんな中で今回は第4の習慣「Win-Winを考える」について、新しい気づきがありました。今回はそのお話です。

■第4の習慣「Win-Winを考える」

 私のコラムをご覧いただいている方はお分かりかと思いますが、このコラムでは結構7つの習慣ネタを取り上げています。第4の習慣「Win-Winを考える」についてもその概要をご説明した回があります。

第282回 7つの習慣のススメ7 -第4の習慣「Win-Winを考える」

 こちらをお読みいただくと、凡そどのような内容かお分かりいただけると思いますが、少し抜粋します。

公的成功を実現させるためには、最初に第4の習慣で考え方を生み出します。そのため第4の習慣はWin-Winを「実現する」ではなく「考える」となっています。そうして、第5の習慣ではスキルを使い、Win-Winの状態をつくり上げていきます。その後、第6の習慣でWin-Winの相乗効果として結果を生み出します。これが公的成功のプロセスです。

 公的成功とは自立した人同士がかかわりを持つことで、一人では実現できないシナジーを生み出す状態を言います。そのための第1ステップが第4の習慣「Win-Winを考える」です。

■「Win-Winを考える」って理想論じゃないんですか?

 私はこれまで「Win-Winを考える」ことについて、自分なりに実践してきました。その一部は過去のコラムでもお話しています。

第407回 そろそろちゃんとWin-Winを考えてみる

第444回 今一度、Win-Winを考えてみる

 そんな中、先日のワークセッションでこんな質問を受けました。

質問者「高橋さんの言われる『Win-Winを考える』ってのは理屈ではわかりますが、実践は難しいこともありますよ。私の現場ではいつもお客さんが無理難題を言うんです。それを聞かないと契約が続かないから、私たちはお客さんの無理難題に答えなきゃならないんですよ。そんな状態にあって『Win-Winを考える』ってのは理想論じゃないですか? 」

 このような質問を受けた時、7つの習慣が言わんとする「Win-Winを考える」という意味がわかったような気がしました。その時、私はこのような応答をしました。

高橋「それは、厳しい状態ですよね。では、そのような難しい状況の中でどうすればWin-Winになると思いますか? 」
質問者「そりゃ、お客様がこっちの話を聴いてもらえないと難しいですよ。うちが厳しいことをお客様が分かってくれないと」
高橋「でも、それだと〇〇さんが得て、お客様が失う『Win-Lose』になりませんか? 〇〇さんが得て、お客様も得るためにはどうなればいいんでしょうね? 」
質問者「うーん...難しいですよね、うちはお客様が言われず通常の納期で仕事をさせてもらうことがWinですけど、お客様からすれば突発対応も含めて対応してもらうことがWinな訳ですから」
高橋「それを実現するためにはどうすればいいんでしょうね? 」

 そこまで話すと、相談者さんは考え込み、黙ってしまいました。そこで、こんなことをお伝えしました。

高橋「〇〇さん、〇〇さんは今何を考えているんですか?」
質問者「そりゃ、うちとお客様がどうやったらWin-Winになるかを考えているんですよ...あっ! 」

 この方はここに来て、ご自身が「Win-Winを考える」ことに気づかれました。その後「そういうことだったんですね」と納得されました。

■「Win-Winを考える」ということ

 この応答は私が意識して行ったものとではなく、自然と自分の口から出たモノです。そのやり取りを通じてWin-Winは「実現する」ことではなく「考える」ことなのだということを再認識しました。そもそも7つの習慣ではWin-Winと「実現する」という表現はしておらず「考える」という表現をしています。それは、Win-Winを考える姿勢を持つことの必要性を謳っていることを再認識しました。

 先ほどの相談者さんのように、私たちの置かれている状況によっては時としてLose-Winになってしまうことがあります。しかし、それは置かれている状況を私たちがどう捉えるか? だけの話です。厳しい状況だからLose-Winと捉えたのであれば、Win-Winと捉えることだってできます。そのようなマインドを自分の内面から自然に湧き起こらせ、さも当たり前のようにWin-Winの意識を持つことができること、これが「Win-Winを考える」ということなのだと気づきました。

 そう考えると、物事は考え方や捉え方ひとつで如何様にでも変わるということ、つまりは自分の持つパラダイムを変えること(パラダイムシフト)が習慣を変えることに繋がっていくのだということに改めて気づかされました。

 今回の経験を通じて理解した「Win-Winを考える」をこれからも実践していきたいと思います。

Comment(3)

コメント

ちゃとらん

いつも楽しく拝読させていただいています。


さて、『Win-Winを考える』ですが、「実現する」ではなく「考える」、『Win-Winを考える姿勢を持つことの必要性を謳っている』というのは、非常によく分かります。


所が、『厳しい状況だからLose-Winと捉えたのであれば、Win-Winと捉えることだってできます。』の箇所が、私的に??です。


というのは、最初の『考える』は、win-winでない『状況』を色々と考えて、『状況を変える』ことだと認識しました。ところがその次の説明で、win-winでない『状況』は変えずに、考え方、捉え方(認識の仕方)を変えることで、win-win にすると読めました。
# 読解力の無さは、ご容赦ください。


考え方を変えれば、不幸も幸福に、アンラッキーもラッキーに出来ますが、7つの習慣の『Win-Winを考える』は、状況を変えるために考えるのであって、捉え方を変えるのではないと思っています。


言い換えると、新興宗教に借金してまで多額の寄付を行って、新興宗教も寄付者も win-win と考えるのと、何ら変わらない状況になる可能性があるからです。(寄付者本人は幸せかもしれません)


こちらは極端な例なので、何とも言えませんが、『Win-Winを考える』とは、win とは何かを考える事ではないか、さらに、win の基準…双方が良ければ OK ではなく、公的成功…近江商人の三方良しの精神に基づいた基準が必要なのではないかと思いました。


# 自分と相手だけなら、『お代官様、お饅頭です。』『よしよし、おぬしも悪よのう』という win-win も成立してしまいますから。

キャリアコンサルタント高橋

ちゃとらんさん


いつもコメントありがとうございます。
ご質問をいただいていますので、私なりの考えを書きますね。


「Win-Winを考える」は考える姿勢を表しており、実現することではありません。(実現は第5の習慣、第6の習慣で行います)


ここでいう「難しい状況」はそれ自体には良いも悪いもありません。それは単なる事実でありファクトでしかありません。
その意味では、新興宗教に借金をして多額の寄付を行ったことも同様です。それ自体は事実でありファクトです。
この辺は第1の習慣にある「自分の天気を持つ」という考え方です。


そうした出来事に対し、私たちは私たちの価値基準(パラダイム)を通して見るので、


「厳しい状況だからLose-Winだ」
「借金までして寄付をしたのだからLose-Winだ」


と捉えるのです。
この捉え方はその人のこれまでの経験、体験、考えなどから生まれています。
それは、その人が自分のパラダイムからLose-Winを選択したということでもあります。


こうしたLose-Winのパラダイムを7つの習慣では欠乏マインドと呼びます。
一方、Win-Winを考えるパラダイムを豊さマインドと呼びます。


Win-Winを考えるというのは、目の前に起こる事実(ファクト)に対して欠乏マインドで考えるのではなく、豊さマインドで考える姿勢を持つということだと思っています。

キャリアコンサルタント高橋

ちゃとらんさん


少し言葉足らずだったので補足させてください。


>というのは、最初の『考える』は、win-winでない『状況』を色々と考えて、『状況を変える』ことだと認識しました。
>ところがその次の説明で、win-winでない『状況』は変えずに、考え方、捉え方(認識の仕方)を変えることで、win-win にすると読めました。


ここでおっしゃっている『状況』という言葉は事実、事象、ファクトだと私は捉えています。それ自体には良いも悪いもありません。
その『状況』を私たちのパラダイムを通してみることで、それが「win-win」にもなれば、「lose-win」にもなります。


ですので、「win-winではない『状況』」という表現自体、既にその人のパラダイムで見ている状態だと私は感じました。
それは、その人が『状況』から「win-winではない」だと捉えたということだからです。
だからこそ、


『厳しい状況だからLose-Winと捉えたのであれば、Win-Winと捉えることだってできます。』


と表現させていただきました。。。

コメントを投稿する