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第490回 ゴールから見える景色

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 キャリコンでも何でもそうですが、目標を決め、そこに辿り着けるように努力することは良くあることです。その努力の甲斐あって、目標に到達できた時の喜びは一入(ひとしお)ですよね。

 でも、その目標に到達した後に見えた景色は、それまで目標に到達しようと努力していた時に想像した景色と違っていた、なんてことはありませんか? 今回は目標であるゴールに辿り着いた後の考え方について思うことを書きます。

■頑張って努力して、ようやく辿り着いたゴール

 私はITエンジニアの時分からたくさん資格を取っていました。資格を取るための勉強を何カ月も行い、試験に臨み、合格した時は本当に嬉しかったです。中でもPMPというプロマネの資格は今でも重宝していることもあり、特別思い入れが強かったりします。そんなPMPを取った時の話です。

 当時の私は要件定義などを中心に行うSE的な役回りをしていました。しかし、これから先の自分のキャリアを考えプロマネ職に就きたいと考えていました。そんな中、その当時にわかにPMPという資格の話を聞くようになりました。何でもプロマネの国際資格で、これからのデファクトスタンダードに成り得る可能性があり、今後は入札案件などでも取得が求められるようになってくるかもしれないとのこと。まだ取得者数が少ないこともあり、今の間に取得しておけばこれから先プロマネとして仕事をしていくチャンスが増えるかもしれない。当時の私はそんなことを考えていました。

 そうして、PMPの英語版のテキストや問題集を入手し、見よう見まねで翻訳をしながら勉強し、受験に臨むも1点足りずに失敗。その後、数カ月の再勉強を経て再度チャレンジし、今度は見事合格しました。この時は本当に嬉しかったですし、これで自分の新しい世界が開けたと本気で思っていました。

 しかし、現実は何も変わりませんでした。まぁ、ちょっと考えれば誰にでもわかることです。だって、PMPに合格しようがしまいが、私の日常には何の影響も及ぼしてないんですから、生活の変わりようがありません。PMPを取ろうとしていた時に抱いていたイメージと、実際に取得した後の現実はあまりにもかけ離れていました。。。

 そのことに気づいた時、私の中で一つの決意が生まれました。

■行動を起こすことの必要性

 それは、行動を起こすことでした。せっかくPMPというプロマネの資格を取ったのですから、それを使わないと思ったいないと思いました。早速、プロマネとしての自分を営業して回りました。それまで懇意にしていた取引先の担当者に、プロマネの国際資格を取り、デファクトスタンダードであるPMBOKを使ったプロジェクトマネジメントができることをプレゼンしまくりました。そうして、ある1社からプロマネとしてのオファーをいただき、未経験ながらもプロマネとしての仕事をさせていただくことになりました。

 ただ、現実はそんなに甘くはありませんでした。初めてプロマネをやってみると、なかなかうまくいかない事ばかりが続きました。それでも、自分にとってこのプロジェクトを失敗する訳にもいかず、後がない状態だったので、何とか見よう見まねでプロジェクトを完遂させることができました。その後、幾つかのプロジェクトを任せていただけるようになり、気づいたころには数百人月のプロジェクトを回せるくらいのプロマネになることができていました。

■ゴールから見える景色を自分のモノに

 この体験は私にとってとても大きな意味を持ちました。それは、目標であるゴールから見える景色は、普段私が見ている景色と何ら変わらないということに気づけたからです。要するに、ゴールに到達したからと言って、何かが変わるモノではないということ。私はゴールに幻想を抱いていることが分かりました。ゴールに辿り着けば自分は変われる、ステップアップできる、そんな夢物語を抱いていました。

 しかし、現実は違いました。資格を取ったって何にも変わりませんでした。私が変わることができたのは行動を起こしたからでした。変わろうと行動したことが結果を生んだのです。

 そう考えると、端からPMPなんてモノはなくても良かったのかもしれません。しかし、それでも私はPMPがあってよかったと思っています。それは、「PMPを取得する」というゴールに辿り着くことができたからです。

 勿論、そのゴールはただの虚構だし、単なる私の自己満足でしかありません。それでも私はこのゴールに到達できたから、具体的に行動を起こす必要性に気づくことができたと思っています。そのゴールがあったからこそ「PMPを取ったんだから、何としてもプロマネをやってやる!」という気持ちになれたような気がします。

 学ぶことは大切なことです。しかし、学ぶことと自分が成したいことはイコールではありません。学んだ先に自分は何を求めるのか? それは、学ぶだけでは手に入りません。手に入れるためには何かしらの行動が必要なはずです。どんなことでもそう。そのことに気づいていないと、いつまで経っても望む結果は手に入れられないかもしれません。

 今、資格の勉強をされてる方は特にそうです。

「資格を取得した後、その資格で何を成し得たいのか?」
「それは、単に資格を取るだけで実現できるのか?」
「もし、そうでないなら、どんな行動を起こせば自分の望む結果が得られるのか?」

 そういったことを考え行動することが、ゴールから見える景色を現実のモノとすることができる唯一無二の方法なのではないかと思います。

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