第343回 相対的と絶対的
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
先日、「人は相対的にしか自分の価値を判断できない」という言葉を聞きました。確かに何かに優れている、劣っているというのは対象となる相手やモノがあるからこそ初めて成り立つ考え方です。そう考えると、私たちの周りには相対的に物事を考えることで溢れているような気がします。一方で相対的の逆の言葉に絶対的があります。こういった相対的、絶対的という考え方は私たちの生活や思考に対し、大きな影響を与えています。そこで、今回はこの相対的、絶対的ということについて思うことを書いてみました。
■世の中は相対的な考え方で溢れている
今の世の中は競争社会です。入試、入社、昇進など、人が人を評価する以上、必ずそこに人の優劣が発生します。その優劣をつけるためには相対的に人の評価をしなければなりません。また、私たちは常に人との関わりの中で生きています。そうすると自分の立場、境遇、環境などについて人と比較をすることもあります。その対象は自分以外の全ての人に当てはまります。
この相対的という考え方は、別段悪い考え方でもないと思います。この世の中は平等ではありませんが公平です。つまり、皆平等に同じ点数で評価をされることはありませんが、一定の基準の下に公平な判断は下されます。だからこそ、そこにやりがいを見出したり、モチベーションを上げようとすることが起こる訳ですし、そこから自発的に何かに取り組もうとする行動が生まれたりします。
一方で、人は人、自分は自分のような考え方もあります。誰かと比較するのではなく、ある決められた基準になぞらえて評価する方法もあります。このような考えを相対的に対して絶対的と呼ばれます。例えるならば、ある試験で上位30%の得点者を合格にするという考え方は相対的な評価ですし、70点以上の得点者を合格にするという考え方は絶対的な評価になります。
■絶対的といいつつも...
ただ、この絶対的という考え方も、理想となる自分のようなモノがありそこに近づこうとするとなると、それは理想とする自分との相対的な比較になります。そう考えると、何かを望んだり比較したりする行為はそれ自体が相対的なモノの考え方なのかもしれません。
だとすると、絶対的なモノの考え方というのは何かを望むことでも何かと比較することでもなく、それらを意識することなくただ自分のありたいように振る舞うことをいうのかもしれませんね。
■相対的と絶対的
この相対的、絶対的というのは物事の捉え方の一つなのでどちらが優れている、どちらが劣っているということではありません。競争社会の中で人よりも優れた優位性を発揮していきたい!と考えるならばそれは相対的な物事の捉え方が向いているでしょうし、自分のあるべき道を突き進むのであれば絶対的な物事の捉え方が向いていると思います。大切なことはそれを自分自身がちゃんと意識しておくことではないかなと思います。
それじゃ今の自分はどうか?と考えてみると、やっぱり相対的に物事を見ようとしている自分が強いような気がします。それはビジネスの世界においてごく当たり前の考えだとは思うのですが、一方で絶対的に物事を捉えるようになりたいと思う自分もいます。
何かを比較するのではなく、ただあるがままに自然体に生きる。きっとそういう生き方を自由と呼ぶのでしょうね。いつの日かそんな生き方ができればいいなぁなんて思っています。