第65回 道に迷って分かる、本当にどうしようもないときにできること
こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。
先日、この歳になって本気で道に迷ってしまいました。今回は、そのときに感じたことを書きたいと思います。
■人は道に迷ったらどうするか?
その日は、近所でお祭りがありました。そこで、ご近所さんと一緒にお祭りにいくことになりました。お祭りの場所は、ウチから徒歩10分程度の距離にある閑静な住宅街の中にある中学校のグラウンドでした。しかし、筆者はそのあたりの場所には行ったことがなかったのですが、気心の知れたご近所さんと一緒ということで、それほど道順を意識することなく、雑談を交えながらお祭り会場まで歩いて行くことができました。
お祭りでは和太鼓の演舞や出店の出し物などで楽しく過ごしました。いろいろ一通り楽しんだ後、そろそろ帰ろうかと思ったとき、ふとある違和感に気づきました。
「スマホがない…? 」
確か、ウチを出るときにはもって出たと思ったのですが、ポケットにありません。もちろん、カバンの中にもありません。すぐにあたりをくまなく探してみましたが、すでに夜も20時を過ぎており、提灯や出店の灯り以外は暗く、みつかりません。そこで、スマホに電話をかけてみると、コール音はすれど、出る気配はなし。それではと、お祭りの運営本部に落とし物の確認をしてみましたが、それもなし。さすがにこの状態では何もできないので、とりあえずウチに帰ろうということで、筆者一人でお祭り会場を後にして、ウチを目指してテクテク歩き出しました。
ところが、10分歩いても一向に帰れません。「こりゃ、道に迷うな…、一度お祭り会場に戻ってちゃんと道を確認した方がよさそうだ」と来た道を引き返そうとするのですが、今度はお祭り会場にも戻れません。実は、このあたりの場所はすごく入り組んだ住宅街になっており、さながら迷路のようになっていました。正に、その迷路に紛れ込んでしまったのです。
「うーん、こんなときにスマホがあれば地図をみながら動けるんだけどなぁ…」などと思いながら、みたことのない道をテクテク歩くこと30分。それでも一向にこの迷路から出られません。このあたりは閑静な住宅街なのでコンビニもなければ公衆電話もありません。また、時間帯的にも人っ子ひとりいません。もう、完全に八方ふさがりです。
- とりあえず、大きい道を歩いてみよう → 行き止まり
↓
- 星を頼りに方角をみよう → 星がない
↓
- 電柱に登って高い所から見渡してみよう → 変質者扱いされる危険あり
↓
- 最悪、どこかの家に飛び込もう → 強盗に間違えられるから無理
↓
- とにかく歩こう → ベストの選択!
と、そんなことを思いながら、歩き続けること更に30分時間。それでもやっぱり出られません。さて、本当にどうしたものか…。そんなことを思っていると、かすかに何かの音が聞こえてきました。「盆踊りの音だ! 」この音を辿っていけば最初のお祭り会場に戻ることができるはず! そんな思いで必死に音のある場所を目指しました。そうして辿りついた場所は、やはりお祭り会場でした。ただ、まったくみたことがないお祭り会場でしたが…。
しかし、結果的にこの場所は普段から散歩で通る、ウチからすぐ近くにある広場でした。つまり、この日、ウチの近くでは2か所でお祭りをやっていて、知らず知らずのうちに、もう一つのお祭り会場に行っていたのでした。そうして、何とかウチに帰ることができました。
■本当にどうしようもないときにできること
まったくもってネタか何かと思ってしまうようなお恥ずかしい話ですが、すべて実話です。道に迷っている間、何とかして抜けだそうと思う反面、ここから抜け出せないのではないか? という恐怖を感じていました。普段であれば、何かしらの方法で対処できるようなことですが、このときはそれもできなかったので、本当に自分の無力さが分かりました。しかし、同時にそのような状態だからこそ取れる行動が何かも分かりました。それは、止まるか進むです。
今回の筆者の場合は歩き続けることによって解決することができましたが、状況によってはじっとその場所に留まっていることが正解だったかも知れません。ここで、どちらの選択が正しいかを論じるつもりはありません。どちらを選ぶのが正解かということではなく、選んだ選択を自分自身が信じ切れるかどうかだということが、選ぶこと以上に大切なことだと、今回のことで痛感しました。
「自分を信じる」というのは、キャリアにおいては最もベースとなる考え方ですが、信じるという行為は私たちが思う以上に、本当に大きな力を生みだす源になっているのでしょうね。
ちなみに、なくなったと思っていたスマホですが、ウチのソファーに転がってました。なんてこったい。。。