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第64回 日常生活での会話がうまくなるためには

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 これまで何度か話すことについて書いてきましたが、今回はそれらを踏まえ、日常生活で会話がうまくなることについて考えてみたいと思います。

■「話す」スキルはある、「聞く」スキルもある、それで?

 「話す」ことや「聞く」ことはビジネスマンにとってもっとも必要とされるコミュニケーションスキルの一つです。話し下手、聞き下手だと思う人は世にたくさんいますし、それを反映してか、本屋に行くと、数多くの「話す」「聞く」スキルの本が所狭しと並べられています。筆者自身、これらの本を否定するつもりは一切なく、むしろ肯定的に考えています。話すことが苦手な人が何とかして話し上手になろうとする、聞くことが苦手な人が何とかして聞き上手になる、そのためにはその道の専門家が書かれた本から学ぶのが最も手軽で手っ取り早い方法だと思うからです。

 しかし、それらの方法で「話す」「聞く」スキルを身に付けたとして、それでその人の問題は解決するのかといわれると、そうならないケースもたくさんあるような気がします。

 例えば、以前に紹介した人前で話すワーク序破急の話し方で話すことができるようになったとします。このような人に対して、「それでは話をしてください! 」といわれて、どれだけの人がスラスラと話ができるようになるでしょう? 同じく、アクティブ・リスニングを身に付けた人に対して、「それでは話を聞いてください! 」といわれて、どれだけの人が相手の話を親身に聞くことができるのでしょう? 筆者の感想ですが、それらができる人は、本当は少ないのではないかと思います。

※人前で話すワーク:詳しくは、『第60回 人前で話すことについて考えてみる』をご参照ください。

※序破急の話し方:詳しくは『第61回 序破急の話し方』をご参照ください。

※アクティブ・リスニング」詳しくは『第20回 四方山話(3) コミュニケーションをキャリアっぽく考えてみる』をご参照ください。

■所詮はスキル

 しかし、少ないながらもこれらのスキルを身に付けることで「話す」ことや「聞く」ことができる人もいると思います。それは、「話す」こと、「聞く」ことに目的を持っている人です。要するに、何のために話すのか、その目的を持っている人は「話す」スキルを身に付けることで、スラスラを話をすることができるようになります。同様に、何のために聞くのか、その目的を持っている人は「聞く」スキルを身に付けることで、相手の話を親身に聞くことができるようになります。だから、研修や講演のような仕事をする人は「話す」スキルを身に付けることに意味がありますし、カウンセラーやコーチのような仕事をする人は「聞く」スキルを身に付けることに意味があります。

 このように、「話す」ことや「聞く」ことは、何かの目的を達成するための手段、方法でしかありません。ですので、ただ単に「俺は話下手だなぁ」とか「私は聞くのが下手だわ」のように考えている人が「話す」スキルや「聞く」スキルを身に付けたとしても、その人にとって話す目的、聞く目的が定まっていない以上、上手に話すことも聞くことも難しいように思います。ましてや、普段何気なく話す日常会話には特に何かしらの目的もないので、なおのこと上手に話すことも聞くことも難しいでしょう。

■日常生活での会話がうまくなるためには

 それでも、普段の日常生活の会話を改善したいと思う人は多くいます。

「仕事では話ができるのに、プライベートでは話すネタがなくて話が続かない」

「仕事ではちゃんと聞くことができているのに、家族の話は聞けていない」

こういったことは往々にしてあると思います。このような場合、どうすれば会話がうまくなるのか?

 会話とは人と人との関わりです。相手はあなたという「人」に対して話をし、話を聞こうとします。ですので、本当の意味で会話がうまくなるためには、

あなたという「人」だからこそ相手に話せること

あなたという「人」だからこそ相手から聞けること

を意識しておくことが必要なのではないでしょうか。そして、この意識を持つためには、あなた自身があなたという「人」を知らなければなりません。あなた自身があなたという「人」を深く知ることによって、あなたが相手に何を話せるのか、何を聞けるのかがおのずと決まってきます。

 それでは、どうすればあなた自身を知ることができるのか。これには、以下のような質問があります。

《あなた自身を知るための質問》

  • あなたの強み・長所は何か?
  • あなたの弱み・短所は何か?
  • あなたが好きなモノは何か?
  • あなたが嫌いなモノは何か?
  • あなたの夢や希望は何か?
  • あなたが気になるモノは何か?
  • あなたが気にならないモノは何か?
  • あなたのこだわりや譲れないモノは何か?

  • あなたが人に求めるモノは何か?
  • あなたが人に与えられるモノはなにか?
  • あなたが人にされて嬉しいことは何か?
  • あなたが人にされて嫌なことは何か?
  • あなたが人にしてあげたいことは何か?
  • あなたが人にしたくないことは何か?

  • あなたは人とどう関わっていきたいのか?
  • あなたはという人をひと言で表すと、どういう人か?

 これらの質問に一問ずつ答えていくことで、あなたという「人」が少しずつみえてきます。そうやってみえてきたあなたという「人」をベースに相手と会話してみます。例えば、相手との関係にもよりますが、相手とこれから強い結び付きを持ちたいのであれば、あなたの強みやこだわりを話してみるのも良いでしょう。あなたが相手にしてあげたいことを考えながら話を聞いてみるのも良いでしょう。その上で、もしうまく話せない、聞けないのであれば、そのときに初めて「話す」「聞く」スキルを修得すれば良いと思います。

■才能の壁を越えろ!

 これは筆者の体感ですが、自分という「人」を分かっている人ほど、日常生活の中で会話が上手な気がします。「俺はこんなヤツだから! 」とハッキリいえる人は少し間違えると自意識過剰にみられてしまいがちですが、それでも会話の中心にいることは多いように思います。

 これこそ、もって生まれた才能なのかもしれませんが、自分という「人」を知ることで、後からで身に付けることのできる能力ではないかと思います。努力をもって才能の壁を越えろ! ですね。

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