元底辺エンジニアが語る、エンジニアとしての生き様、そしてこれからの生き方

生き様106. 「キャリア」の誤解と「キャリア」の本質

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気温とパソコン温度の話

まずは、先日の豪雨災害に被災された方に哀悼の意を申し上げます。

東京では、長雨が過ぎて涼しい日が続いています。
相変わらず、仕事中しか極力エアコンを使わない生活を続けています。
ここ数日は涼しくなったので、扇風機すら止めてる時があります。

パソコンも熱くなってないだろう、そう思ってハードウェア監視ツールを開きました。
そしたら、CPU最高温度が90℃を超えてました。
ちょっと前に遊んだゲームの負荷が結構高かったみたいです。

最近では、余りパソコンの性能をフル活用する使い方をしなくなった気がします。
足りないと感じるのは、仮想化に伴うメモリ使用量ぐらいでしょうか?
これはパソコンの性能が上がったからでしょうか?
もしかしたら、自分の使い方の変化なのかもしれませんね。


誤解される「キャリア」

ここ数年、急に「キャリア」という言葉が広く使われる様になったと感じます。
その事に戸惑いを覚える人も多いでしょう。
その中には「キャリアなんて要らない!」と声を上げる人も居ます。
先日公開されたHorusさんのコラムもその例でしょう。

キャリアカウンセリングを学んだ者として。
何より、そちら側に居た者として。
「キャリア」というモノを正しく知って欲しいな、とこの機会に考えました。


幅広い意味

「キャリア」という言葉には、現代日本で幾つかの意味で使われています。
その意味が多い事も、「キャリア」という言葉が誤解される一端でしょう。

1. 「キャリア官僚」「キャリア組み」等の【学歴】

現代日本で、よく耳にしていた「キャリア」という言葉の意味が【学歴】です。
前述の様に「キャリア関係ない」とか「キャリア必要ない」という人の多くは、この意味でキャリアを使っているのでしょう。

なるほど。見方によっては「過去を見せつけて未来の成功を奪おうとする」様です。
ある一定の経歴を共有するグループで派閥を作り、利益を囲う様にも受け取れます。
これらの視点はある意味では、正しいでしょう。

一方、キャリアを見せつける側の立場・思考を考えてみましょう。 彼らは「過去に努力したのだから、未来の成功は当たり前」という立場です。
「努力をすれば報われる」「人一倍努力して成果を出したのだから、報われて当然」
そういう思考に基づいた立場となります。
別の言い方をするなら「努力した成功者は財産を得て当然である」でしょう。

僕はこの考え方を、とても日本的……ではなく、アジア的だなと捉えます。
もう少し正確に言うなら「中世中国的」だと。

2. 【生き様】もしくは【経歴】

最近言われる様になった「キャリア」の指すもの。
そして、本来の意味での「キャリア」です。

キャリアは特別なものではなく、今まで生きてきた【経歴】を現します。
それは、学歴だけではなく、趣味遊びまで含めた、今までの全てです。
僕としては【生き様】という言い方が好きですね。

意味的には、過去の経歴を現す「キャリア」です。
しかし、僕は「過去ー現在」を繋ぎ、未来へ続ける標としてこの「キャリア」を受け止めています。

3. 携帯電話の通信会社

おまけ枠。言うよね、レベル。
三大キャリアとか、言いますよね。
「運ぶ(Carry)」+「人(er)」→「キャリア(Carrier)」です。
運送とかでも使われます。キャリアカーゴとか。

上2は「Career」なので、スペルからして違います。


中世中国的な「日本のキャリア」と【生存バイアス】

日本のキャリアの意味するところの根本は「官僚的な仕組み」です。
難関と呼べる試験に合格して得た資格をもって組織を運営する。
その元を辿ると、中世中国の科挙試験に繋がる、と考えています。

明治維新以後、日本の組織作りは西洋を手本としたものです。
でもやはり、広い意味でのアジア的な、狭い意味での中世中国的な仕組みが残るのです。
江戸時代までは、そんな雰囲気無かったのに……。

科挙で測られるのは、儒教や朱子学、詩の才能です。
現代日本では、関連する法律や数学、一般常識と言われるジャンルの学問です。
組織の運営に関わる能力ではなく、学習量や効率的に点を取る能力が測られます。
この能力を証明する資格をもって「組織を運営する立場だ!」と主張されても冷めます。

そもそもが、努力を成功と結びつけるのが認知の歪みです。
【生存バイアス】の一種になります。

ですから、そういう思考・立場になるのは理解できます。
僕は「成功とは、再現性のない、運も要素として関係した結果だ」と考えています。
その為、そういう意見には賛同できません。
余談ですが、この「再現性」の話、情報商材言われるものの鍵です。

とはいえ、試験に合格した公務員の存在が不要とは考えません。
組織を上手く運用する上では、業務関連知識を学び、ある程度の思考能力が試験により保証されている官僚的な人材の存在は必要です。
その上で、運営の才覚のある人間を、選挙ではなく、広く民間から登用する仕組みも必要だ、と考えています。
実際、日本の中央行政では、結構行われている様です。
しかし、そのアピールが足りなかったり、地方行政レベルで見られないのが問題です。

もし、この考え方をそのまま技術者に転用すれば……。
Horusさんが主張する「技術の習得とキャリアの結び付け=つまらない」に繋がります。
その場合は、この意見に全力で賛同します。


誰にでもある【キャリア】

前述の通り【キャリア】という言葉は、本来「経歴」という意味です。
つまり、誰にでも当たり前にあるものです。

ですから「キャリアなんて関係ない」と言う人は、自分の過去を捨てている人に見えます。

声を大にして言う事ではありませんが、僕は過去に人間関係をリセットしています。
一度や二度ではありません。そこに人間関係の断絶があります。
だからといって、その経験までを捨てたつもりはありません。

その時に関係があった人たちと、関係は切れています。
ですが、そこで学んだこと、得た知識や経験は僕の血肉になっています。
そういう事柄も、僕の【キャリア】です。

もちろん、過去に学習した事柄や、経験した業務も立派な【キャリア】です。
それらを主張することに、恥ずかしさを感じる人も居るでしょう。

ですが、今までにあなたが好きだったもの、仕事とは関係のない学習。
学校や仕事とは関係のない趣味での活動。
楽しかったこと、辛かったこと。好きなこと、苦手なこと。
そういうものだって立派な【キャリア】です。

全部まとめて、あなたを形作るモノ全てが【キャリア】なのです。
それらを恥ずかしがる必要はありません。
卑下する必要もありません。
直結させるのが嫌?直結していますから。目を背けないで下さい。

誰にでもある【キャリア】
それがあなたの【キャリア】です。
まず、素直に【キャリア】を見つめてみませんか?


未来へ繋げる【キャリアプラン】

これは白栁の個人的な意見ですが、全ての【キャリア】は、より良い未来へ繋げる為のもの、だと考えています。
その一つの形が【キャリアプラン】です。

過去があるから現在があり、現在があるから未来へ繋がる。
未来を正確に予想する事は不可能です。
2年前にコロナ禍を予想し、キャリアプランを立てていた人は居ないでしょう。
僕自身もそうです。

別に、キャリアプランは大したものじゃなくて良いのです。
 「今の仕事を続けていきたい」
 「生活に困らない上で、少し趣味に費やせるお金が稼げればいい」
 「好きな/興味がある技術を活かせる仕事をしたい・勉強したい」
僕はこれらも立派なキャリアプランだと考えています。

そのキャリアプランの道標として、ロールモデルを見出したり、今までのキャリアを整理する事で、どうやったら繋がっていくのか、どう繋げていくのか。
そういう事を考えるお手伝いが、白栁が考えるキャリアカウンセリングです。

その為には、捨てていいキャリアも、無視して良いキャリアもありません。
どんなつまらない事だって、大事なあなたのキャリアです。


【キャリアプラン】の更新

そして、いちばん大事な事があります。
キャリアプランは、更新する必要があります。
毎日更新しろとはいいません。
半年とか、1年とか、大きな出来事が起こった時とか、適宜更新していけばいいのです。

明日の出来事は、明日にならないとわかりません。
その結果、過去に決めたキャリアプランが、あなたを苦しめる事もあります。
そういう時は、そんかキャリアプラン捨てましょう。

キャリアプランを捨てたら、またキャリアを見直して考え直せばいいのです。 キャリアプランって、その程度のものです。

でも、【キャリア】からは目を背けないで下さい。
それは、本当に不毛なので。

以上!




ミニコーナー:こちらヤマネコシステム技術部三課!

ここは日本のどこかにあるかもしれない「ヤマネコシステム」社。
そこはかとなく、ブラックの香りがするこの会社の日常を、少し覗いてみましょう。

登場人物

三課:受託開発&新サービス開発
 ヒノモト : 主人公 アラサーエンジニア
 ホンドくん : 同僚 どっちかが1年先輩だった気がする

ある1on1の記録より

上司「ごめ~ん、待った?忙しいとこ、出てきてもらってごめんね」
部下「いいえ、今は基本リモートですし。家の近くのファミレスですから」
上司「会社の命令でね、定期的に1on1しなきゃいけないじゃない?折角だから、顔見て話したいなぁて」
「今日の食事代は会社が出すから、好きなの食べていいよぉ。ただし、デザートはなしね~」
(しばらく注文に関する会話)
上司「じゃぁ~、食事来るまでに済ませちゃおうか」
「まずは会社からの連絡事項ね~」
(しばらく上司から業務連絡が続く)
上司「で、○○くんの方から話したいことある~?」
部下「いえ、特には」
上司「そう。あのさ、さっき基本リモートって行ったけど、お客さんの顔見てる?」
部下「ええ、オンライン会議ではカメラオンで…」
上司「(遮って)ダメだよ、そんなんじゃぁ~。熱意が伝わんないね!」
部下「いえ、先方も在宅ですし、それでいいと…」
上司「(遮ってクソデカため息)」ダメダメ。こうやって、相手の近場のファミレスやコーヒースタンドに訪れるぐらい、しようよ?」
(以後、20分程上司の一方的な話)
上司「さて、そろそろ次いかなきゃ~。コーヒー冷めたな、残そ」
「あ、○○くんはゆっくり食事して出てくれていいよ。支払いは済ませとくから。お疲れ様」
部下「お、お疲れ様でした…」

(つづく)




ITエンジニアの視点で、時事ニュースを5分間で紹介する動画を平日ほぼ毎日公開してます。
「日々の生活の中にエンジニアリングがある」からこそ、
身近な時事ニュースから学ぶことが重要です。

#ほぼ日ITエンジニアニュース

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