元底辺エンジニアが語る、エンジニアとしての生き様、そしてこれからの生き方

生き様071. IT業界のメンタル不調にコミットする!

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新PC組み上げトラブル!

12月の頭に買っていた新PCを、ようやく先週組み始めました。
しかし、この記事を書いている時点では、完成に至っていません。
PCケースが合わなかったトラブルを始め、様々なトラブルに遭遇しているからです。

この新PCに合わせて色々PC回りの環境を更新するつもりでしたが、そちらはまったくの手つかずです。
2020年の宿題をまた一つ、2021年に持ち越すことになりました。

ちなみに、合わなかったPCケースについては動画にして供養しています。
自己満足の供養ですが、お付き合い頂けたら幸いです。


エンジニアカウンセラー向けの話題

さて、エンジニアライフでこの寒い冬にホットな話題が起こっている様です。
勝ち逃げ先生さんの『IT業界にメンタル不調が多い根本理由』に始まり、
Horusさんの『IT業界にメンタル不調が多い根本理由』が公開されています。

特に、Horusさん側で取り上げられていた「技術や知識が足りない人がITやってるとメンタルが病む」は真理だと考えています。

今回は、メンタルヘルス方面の知識を持つエンジニアカウンセラーとして、
IT業界のメンタル不調に正面から向き合いたいと思います。


メンタル不調の原因

まず、大前提としてメンタル不調の主な原因となるのはストレスです。
広い意味で言えば、ストレスとは「外部刺激やそれで生じる心身の反応」です。
全ての刺激に無反応な生物は存在しません。
つまり、いつでも誰でも刺激を受けているのです。人間に限らず。

他にも不安や悩み等、内面に基づくものがメンタル不調の原因に挙げられます。
ですがこれらのきっかけも外部要因であることが殆どです。

つまり、多かれ少なかれ
「メンタル不調には外部からの刺激(ストレス)が関わっている」
そう言い切っていいでしょう。

人間は「幸せな出来事」からも強いストレスを感じるそうです。
幸せな出来事であっても、環境の変化ですからね。
この事実はとても興味深いと感じています。


職場でのメンタル不調の原因について

厚生労働省は、4年に1度「労働安全衛生調査」というものを行っています。
今回は、その最新である労働安全衛生調査 平成30年度版を元にお話します。

この調査結果は、職場でのストレスの原因だけを調査しています。
プライベートな人間関係や出来事でのストレス原因については調査対象外です。
また、右側の「強いストレスの内容」については「主なものを3つ」とあります。
ですので必ずしも正確に、ストレスの実態を反映しているものではないでしょう。
しかし、それでも大きく影響を及ぼしている要因を見て取ることができます。

この資料の一部を抜き出して、2つの表を作ってみました。
元の資料では、年齢階級や性別、就業形態により細かい分類がされています。
今回は、全体の結果のみを表にしています。

ストレス円グラフ.png ※クリックで大きい画像が表示されます

これらの結果から読み取れる、大事な2つのことがあります。
それは、様々な職業の人で約6割の人が「職場で強いストレス」を感じていること。
そして、一番大きな要因が「仕事の質・量」であること、です。
この2つについては、性別や雇用形態、年齢による差は大きくないようです。

ここからは、ITエンジニアに絞ってお話していきます。
また勝ち逃げ先生さんや、Horusさんが挙げていた『メンタル不調が多い理由』の内容についても、触れていきましょう。


ITエンジニアのメンタル不調の理由

メンタル不調自体は、IT業界に限ったことではありません。
では、その理由について、IT業界独自の理由はあるのでしょうか?
全体的に多い「仕事の質と量」をピックアップしてみてみましょう。

仕事の質と量

まず、「仕事の質の量」という言葉について、確認します。

「仕事の質」といううのは、仕事で求められる能力についてです。
例えば、仕事で求められる能力が自分の能力より高い場合/低い場合です。
自分がイメージしているのとは違う仕事が割り振られている例も、ここに該当します。
具体的には、「延々とExcelに画面のハードコピーを貼り付けるテスト」だとか。
「フロント系エンジニアにバックエンドの仕事振る」とか。

「仕事の量」というのは、そのまま仕事の分量です。
多くて忙しくても、少なくて暇…もとい手持ち無沙汰でも、ストレスになるのです。
とはいえ、丁度良い仕事の量って、難しいですよね。
「毎日残業2時間ぐらいが丁度いい」って思っていた時期がありましたし…。

全般的に「仕事に対して自分自身でコントロールできること」が大事なんですね。
自分の仕事を自分でコントロールできないという状況の方が異常だと思いますが。

「知識や技術が足りない」とは?

Horusさんが挙げた「技術や知識が足りない人がITやってるとメンタルが病む」は真理だと言いました。
これは正に「仕事の質」の問題だと考えます。
それも「仕事で求められる能力が自分の能力より高い場合」のケースです。

僕も過去にこの実例を見ています。
一人の有望な若者が壊れていく様を見守ることしかできませんでした。
ですので、そのコラムに書かれている事には賛同しかありません。

ただ、一面しか現していないな、とも感じたのです。
例えば「Excelにエビデンス貼り付けたテスト結果を作る」お仕事(お仕事?)。
好き好んでやっている人は多くないと思います。
ある現場では、バリバリにコードが書けて、コーディングなら1.5倍の進捗が出せるプログラマが、時間を掛けてExcelに画像を貼り付けていました。
こんな仕事をさせて、ストレスが溜まらないわけがありません!

また、バリバリにコードを書きたかった新人プログラマが、上記「お仕事(笑)」を延々とやらされたとしましょう。
果たしてその状況に満足するでしょうか?

この辺りのお話は、Horusさんが大好きなんじゃないかな?と思います。
もしかしたら、長くなるし論点が増えるので、意図的に省いたのかもしれません。
別の機会に斬り捨てて下さることを期待しています。

そして、ちょっとだけ蛇足を付け加えておきます。
実は、僕自身は、この「Excelにエビデンス貼り付けたテスト結果を作る」ことを全く必要のない「仕事」だとは言いません。
「お仕事(笑)」と馬鹿にしましたが、立派な「仕事」だと思います。
ただ、もう少しやり方を考える事や、プログラマ以外にさせる「仕事」ではないのか、と主張したいのです。

「人から感謝されることが極端に少ないこと」とは?

勝ち逃げ先生さんが挙げた「人から感謝されることが極端に少ないこと」について考えます。
これは、「仕事に対しての評価をもらえる機会が少ない」と言い換えることができます。
これは、正の評価であれ、負の評価であれ、機会が少ないということです。

勝ち逃げ先生のコラムで挙げられているケースを見ると「仕事の失敗、責任の発生等」「顧客・取引先等からのクレーム」が該当しそうです。
前者は、全体で34.0%と2番目に高い割合です。
正の評価はもらえないのに、負の評価だけはもらえている状態の様です。

真の原因は、「対人関係」しかも「コミュニケーションの不足」だと考察しています。
つまり、「評価すべき人間が、正しく評価を伝えていない」ということです。
この「評価すべき人間」は「顧客」だけでなく「上司や同僚」も含みます。

「評価が見えないこと」は、IT業界に置ける大きな問題かもしれません。
これは、また後で別の項目を設けてお話します。

ここでは、最も関わる機会が多い評価者は上司や同僚だということを強調します。
つまり、職場内でお互いに評価をし合うことができれば、多くのケースで満足度は上がるということです。
そして、それがストレスの軽減にも役に立つはずです。

ここで同僚が上がることに疑問を持つ人も多いでしょう。
でも、最初の評価者とは、一番身近な人間ですよ?
「仕事を手伝ってくれてありがとう。助かった」の言葉だけでも、十分なんです。

ただし「負の評価だけ投げつける」事を「評価し合う」とは言いません


見えない成果の問題

例えば、工場で働く人達が居ます。
その人達は、世間に流通している製品で自分の仕事の製品を見ることが出来ます。
例えば、建築現場で働く人達が居ます。
その人達は、完成した建物で自分の仕事の結果を見ることが出来ます。
例えば、保険のセールスをする人達が居ます。
その人達は、保険に加入した顧客から感想の言葉を受け取ることが出来ます。

さて、IT業界の人達は、どうやって自分が関わった仕事の結果をみるのでしょう?
これはなかなか難しい問題です。

IT業界の人間が関わったシステムは、余り表にでることがありません。
その多くは、多くの人が見えない所で人々の生活を支えています。

つまり、残念なことに、IT業界の現場で働く人達は、自分が仕事で関わった成果が、実際に社会で動いている機会が少ない、ということです。
また、直接顧客から感想や評価をもらう機会もほぼありません

これはとても残念なことです。
ITエンジニアで「完成後の現場見学会」ということができたらいいな、と考えています。
短期で100人のITエンジニアを集めるような大規模プロジェクトで、これをするのは難しいでしょう。

一次請け会社の役員や営業の人が、責任を持ってしっかりと、関わった人達に感謝を伝える以外に、方法は無いと思います。
上手く動かなかった場合のクレームや、改修要望だけを伝える以外にもして欲しいですね。


「やりがい」搾取、滅ぶべし!

僕が考えている、IT業界にメンタル不調が多い理由の一つが「やりがい搾取」です。
これは、IT業界以外でも多いことではありますが、特に酷いと感じます。

IT業界で働く多くの人は、派遣に近い働き方をしています。
その多くは、SES等で全く権限のない準委任契約でしょう。
つまり、多くのIT業界で働く人は「不安定な仕事」に晒されているわけです。
「不安定な雇用」ではないことは注意したい所です。
ですが、実際は「雇用」にも影響していると考えています。

少し脱線しましたが、話を戻します。
つまり、多くの人が「不安定な仕事」を見せかけで安定させているわけです。
その為に古来より多用されている手法が「やりがい搾取」です。

「この仕事を上手くこなせば次がある」様に見せる。
「今はしんどいがここを乗り越えれば待遇が良くなる」様に見せる。
他にも色々な幻想を持たせる方法があります。
中には、意図せずその様な形になってしまったケースもあるでしょう。
IT業界では特に「不思議と続く」ケースが多いように感じます。
救いようがありません。

「やりがい搾取」が続けば、人の心は脆くへし折れます。
ストレスとかそういう次元じゃなく、人を壊しに行ってるのです。
中には違法なケースもありますが、そこまで行かない事が多いでしょう。
違法ではないといえども、そういうことは、すぐに止めるべきです!

貴重な【人】という資源を喰い潰しているだけですから!


まとめ

  • 仕事をしている人の約6割が仕事でストレスを感じている
  • その原因の多くが「仕事の質・量」である
  • IT業界でも、それは同様だ
  • 「仕事の成果が見えにくい」問題もある
  • 対策に職場内のコミュニケーションを増やして評価し合う文化を作ろう
  • 「やりがい搾取」絶対許さない!

以上!


最後に:2020年締めの挨拶

コラムを締めた後ですが、が改めて年の瀬のご挨拶をさせていただきます。

今年一年間『コレがワタシの生きる様』をご愛読下さり、ありがとうございました。
白栁自身の生き方・考え方を発信することで、いつか誰かの役に立てたら、と考えて書き連ねているものです。
もし、本コラムが誰かのお役に立てたのならとても光栄なことです。
しかし、娯楽として一時の笑いを届けられたなら、それもまた光栄なことです。
2021年も、毎週木曜日更新を続けたいと考えております。
変わらぬご愛顧をお願い致します。
それでは、良いお年を!

今度こそ、以上!




主催イベント宣伝

2021年1月22日(金)に初めてオンラインイベントを主催致します。
その名も【超ショート】90秒LT会【2021Winter】です。
現在、LT参加者・視聴参加者を募集しております。 上記リンクのConnpassページから、参加登録をお願いします!

また、このイベントは3ヶ月ごとの開催を予定しています。
今回ご都合が悪い方は、是非4月のイベントへの参加をご検討下さい。
宜しくお願い致します。




ミニコーナー:こちらヤマネコシステム技術部三課!

ここは日本のどこかにあるかもしれない「ヤマネコシステム」社。
そこはかとなく、ブラックの香りがするこの会社の日常を、少し覗いてみましょう。

登場人物

三課:受託開発&新サービス開発
 ヒノモト : 主人公 アラサーエンジニア
 オナガさん : 後輩

年始対応

オナガさん「先輩、ヒマですね」
ヒノモト「年明けまであと2時間もあるからね」
オナガさん「私達、なんでこの時間にここにいるんでしたっけ?」
ヒノモト「年が明けた0時丁度に、ビジネス年賀メールを送信するサービスの運用監視だよ」
「しかも今回が初回運用だからね」
オナガさん「とても説明的な台詞、ありがとうございます」
「しかし、そんな時間に送っても誰も見ないのに、意味あるんですかね?」
ヒノモト「送信時間が残るから。『送ったことが大事なんだ』らしいよ?」
「しかも数十万件単位で需要があったらしい。初回だからって1万件までに抑えたらしいけど」
「それで一課のイヌイ課長から結構言われたらしいよ?ウチのアカゲ課長」
オナガさん「っ…。」(何かを察した表情)
(一時間後)
オナガさん「先輩、ヒマっすね」
ヒノモト「一時前に同じやり取りをしたよね?」
「あと口調が変」
オナガさん「今、IT業界で話題のネット小説に出てくる後輩女子の口調を真似したっす!」
ヒノモト「すぐに止めなさいっ!!」

(つづく)




ITエンジニアの視点で、時事ニュースを5分間で紹介する動画を平日毎日公開してます。
「日々の生活の中にエンジニアリングがある」からこそ、
身近な時事ニュースから学ぶことが重要です。

#ほぼ日ITエンジニアニュース

昨日公開された動画が、年内最後の動画となります。
ドローンの飛行について、法改正による新たな規制を政府が検討しているそうです。
その内容が、操縦ライセンスと機械の認証とのことです。
禁止区域で違法に飛んでいるドローンを見たことがありますが、その程度でアレが規制できるとは考えられませんが…。

Comment(2)

コメント

ちゃとらん

> オナガさん 「っ…。」(何かを察した表情)

5回は読み返しましたが、何を察知したのか判りませんでした。
でも、大みそかに後輩女子と二人きり。次回、ロマンスの予感が!?


所で、コメント欄だけでは書ききれませんが、仕事の質や量、感謝の言葉などすべて外部要因なので、これを制御することは難しい(できない)と考えるべきです。


自分の天気を持つ…要するに自分の受け止め方を変えない限りメンタル不調から脱却するのは難しいと思います。なお、過重労働などは受け止め方だけでは解決できないので、あくまで違法でないという前提の範囲内での話ですけど。


> 「やりがい」搾取、滅ぶべし!
これは、同意します。

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