書籍「しをかくうま」を読んでみた。そして今日も馬に耳を傾ける【第60回】
平岡麻奈です。近頃は20度を超える日も続き、走っていても暑さで息が荒くなります。ランニングを始めた当初は、髪を伸ばして【ポニーテール】に憧れていましたが、走る頻度が増すほどに私の髪は短くなり、もうこれ以上はやめておこうと、ようやく歯止めをかけました。「イメチェンですね!」と声を掛けられても「あ、いえ、邪魔だったんで」と可愛げも無く返してしまう今日この頃。
密かに出たいと思っているマラソン大会があります。それは【ダートランニング】という大会です。ダート=砂、そう、競馬場を走るマラソン大会です。『馬のように力強く走りたい』と公言していますから、夢が叶うようなものでしょう。更に贅沢なことに、本物の競馬実況のアナウンサーによる【レース実況】も行われます。まさに競走馬気分!『過酷なダートコース』と表されていることもあり、こんな道を走る馬ってすごいんだな、、と、この大会に参加することで、馬の気持ちを少し理解出来るような気がしています。
一度だけ競馬場に行ったことがあります。インターネットやテレビで見る感覚とは全く違う、臨場感の溢れる場所でした。なにも知らない状態の中、今でも記憶に残っているのは【パドック】です。パドックとは、レースに出走する馬が周回する場所であり、馬の状態を観察することが出来ます。あの頃の私はなにも分からなかった、だけど今はほんの少し分かる気がします。私なりの【パドック】の捉え方は、レースを控える状況の中、『いっぱい練習した成果を発揮するんだ』『前のレースが良い結果だったんだから今回もきっと大丈夫だろう』という自信を持たせる気持ちとは裏腹に、【実は少し無理をしていて、なにかでカバーしているのでは?今日の体調は優れているのか?】という実際のコンディションを見極める場所なのではないかと。
『馬のように力強く走りたい』今の私は、万全に準備していてもレース中に怪我をしたり、足が痙攣する。あんなに練習していたのにどうして?と言われたら、実は足が痛かったんだよなあ、、と言い訳をする。そして、私は競走馬に共鳴する。エンジニアライフコラム「平岡麻奈のちょっと一息」の第60回は、人間と馬の対話が導く未来の実況中継を楽しむ1冊をご紹介します。
しをかくうま
九段 理江 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4163918167
人間を、今のような人間にしたのは馬だ。(P.20)
舞台は【太古から未来】までと幅広く、時代を行き来しながら人間と馬が共に駆け巡る作品です。本当にこんな未来が来るだろうなと考えさせられる箇所も多くあり、少し先の【本当の未来】で、本書を思い出すような気がしてなりません。そして著者の壮大な想像力に圧倒されながらも、自分自身の枠を外し、時代背景の移り変わりに頭をフル回転させ、ただひたすら【人間と馬】のことだけを考える。読み進めるごとに謎が深まる【しをかくうま】の正体とは果たして。
競馬アナウンサー『わたし』は体の中から人間的な感覚をできる限り取り払い、馬が伝えたい言葉を【実況する】ことを強く求める。本書では実況シーンが多く登場する為、実際の競馬実況を想像出来れば、よりこの作品を楽しめると感じました。(これはもしや実況中継をラジオで聴いて、頭の中に馬を走らせている感覚と似ているのでは?!とご満悦)そして【レースでひと財産すった男】の去り際の呟き、『なぜ差せなかった?』という馬との対話シーンは虚しくも心打つものを感じました。
本書では人工知能に頼ることが日常である為、【自分の頭だけで解決しようとすると心身に不調をきたす】という未来が描かれています。今でさえ、電波が悪くてスマホが使えない、充電が無くなったとなれば、どうにかして早く解決しようと焦る気持ちになります。【人類には永遠に時間が足りず、より速い乗り物を求め、節約した時間を別の忙しさで埋めていく】と示されている通り、忙しなくしている。時にはじっくり時間をかけてみたり、なにかを観察することも良いかもしれない。さて人生2回目の【パドック】、いつ行こうかな?
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