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生き様005.何故同じ失敗をしても分からない?~失敗をマネジメントする~

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人間は失敗から学ぶ

このコラムをお読みの皆さんは、「なんで同じ失敗をするんだ!」的な事を上司あるいは先輩から言われたことはありますか?
自慢では有りませんが、僕はかなりの数、この言葉を頂いています。

人間は失敗から学びます。
これは、子供の成長を見ていれば、良く分かることです。
トライ&エラーを繰り返しながら、ハイハイ→つかまり立ち→2足歩行へと成長していく過程…
また、覚えた言葉をやたらに使い、大人から注意されることで言葉の意味を学習していく…
これらの姿は「人間が失敗から学ぶ」という好例でしょう。

とはいえ、失敗を繰り返すのにも限度がある、と言われます。
仕事の上での失敗は、時間等の有限な資源(リソース)の無駄な消費になりますし、内容によっては報告等で追加のリソースを消費することにもなるでしょう。

今回は

  • 繰り返すのは本当に同じ失敗か?
  • 何故失敗を繰り返してしまうのか?

という点に注目しながら、失敗のマネジメントを考えてみましょう。


ある新人君のストーリー

今回のために、例えば、の話で短いストーリーを作ってみました。

コレザマ社では、あるプロジェクトが大詰め。
先週から本番想定の仮想環境で行われるシナリオテストに入っています。

テスト環境では、現象の再現性を高める為、
・ 週2回のデータリセット
・ 1日1回のプログラム更新
が行われています。

新人君の担当は、以下の作業を担当しています。
・ 簡単なプログラム修正
・ シナリオテストの実施
・ データリセット作業
・ プログラム更新作業

先週の木曜日、初めて一人でプログラム更新を行った新人君。
なんと、更新するプログラムを間違え、古いものにしてしまいました!
もちろんテストは混乱、リーダーからたっぷりと絞られました。
その後、リーダーの指示で、先輩と一緒に手順の再確認をしました。
確認の追加をすることで、今回と同じミスをしないよう対策しました。

金曜日の更新と月曜日のデータリセット&プログラム更新は、先輩と一緒に行いました。
先輩も一緒だったので、特に問題は起きませんでした。

そして火曜日、新人君はまたもや失敗をしてしまいます。
今度は、更新するプログラムの一つをリリースし忘れてしまったのです。
再びテストは混乱。その報告の時、新人君はリーダーに怒られれました。

「なんで同じ失敗をするんだ!」

新人君は、「同じミスではないのに」と不満そうです。

自分で書いておいて言いますが、まー、ありえない設定ですよね!

<このストーリーはフィクションです。実在の人物、団体とは関係がありません。>
と、書いておく必要を感じられません。


「なんで同じ失敗をするんだ!」と怒る上司の視点

リーダーに怒られてしまった新人君ですが、リーダーは何故「同じ失敗」と捉えたのでしょう?
また、新人君は何故「同じ失敗ではない」と捉えたのでしょう?

【リーダーの視点】:同じ失敗

  • プログラム更新の作業ミスで、テストの進行が阻害されるというトラブルがあった
  • 決められた手順の中で作業ミスが起きないように、手順の確認をしておくよう指示をしたつもりなのに…

【新人君の視点】:違う失敗

  • 先週の失敗は、更新対象のプログラムが入っている場所を間違えて、古いもので更新してしまうミスだった
  • 今回の失敗は、更新リストと実際のプログラムが合っていないのに気付かず、最新のプログラムが更新対象になっていないことを見落としていた
  • 前回と今回の失敗は内容が違う。現に、同じ手順では防止策を講じて、作業ミスをしていない
  • 特に今回のは自分のせいではなく、修正担当者の作業ミスだ

どちらの視点が正しいか、は敢えてここでは言及しません。
大切なのは「同じ」もしくは「違う」と捉えるポイントの違いです。

  • リーダーは、一連の更新作業の中で起こった作業ミスを同じと捉えた
  • 新人君は、個々の手順で起こった作業ミスだから違うと捉えた

この捉え方の違いには、立場や経験の差もあると考えています。
決して、どちらが正しいかではないのです。


失敗をどう伝えるか「伝わるフィードバック」

失敗した後、大切なことは「どう対策をするか」です。
その為には「伝え方」が大事だと考えています。

まず、正しく失敗の内容を知らないといけません。
その為の報告、その為のフィードバック、そうあるべきだ、と考えています。

「何度も同じ失敗をする」と言われる人には、2つのパターンがあるように感じています。

  • 失敗の原因を間違えている為、間違えた対策を立てている
  • 失敗を失敗として認識していない

始末報告書でありがちな「気をつける」「がんばる」の言葉は、前者のパターンを表す言葉ですね。

今回取り上げたいのは、「失敗として認識していない」ケースです。
結論から言うと、「失敗」を「情報」として共有できるのは、経験が近いグループ内だけです。
ある事柄を「失敗」として認識できる「体験」もしくは「知識」がある場合に限られるのです。

ですから「伝わるフィードバック」はとても大切になるのです。

そして、その失敗の周辺に、他に失敗をしそうな箇所が無いのか、再度確認することも大切です。
ただし、これは今までの失敗の経験が蓄積されて、できることではないか?と考えています。

上の例では、リーダーが、先週の失敗の時にどう指示したかは、書いていません。
さて、リーダーはどの様な伝え方をしたのでしょう?そして、どういう様な伝え方をするべきだったのでしょうか?

  • 今回の失敗をよく考えて、手順の見直しをしておくように。不安なら相談してくれ。
  • 今回の失敗をよく考えて、全体的な手順の見直しをしておくように。不安なところがあれば改善を相談してくれ。


失敗しない人間より、失敗を繰り返した人間のほうが強い

飲み会で、失敗談を武勇伝のように話す方がいらっしゃいます。
「失敗は恥ずかしいから隠せ」とは言いませんが、ひけらかすのもどうなのだろう?と感じます。

成功も失敗も経験です。
ただし、成功しただけでは分からない経験が、失敗にはあります。
江戸時代の大名・松浦静山の言葉として、有名な言葉があります。

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」

「勝ち」→「成功」、「負け」→「失敗」と読み替えても良いでしょう。
つまり、「成功に偶然はあっても、失敗には必然しか無い」のです。

そして、その必然を乗り越えて成功に至った経験が、強さになるのだと思います。
さてはて、それは誇りこそすれ、ひけらかす様なものでしょうか?

僕の個人的な意見ですが「失敗は、致命傷でなければセーフ」だと考えています。
致命傷にならない失敗なら、大いにやればいい!と。
ただ、現実はそう優しく有りません。
小さな失敗も、繰り返すことで致命傷になるらしいです。
事前に失敗を小さくする対策や、ヒヤリハットの活用で、失敗を少なくする工夫は、やっぱり必要なのでしょう。


今回のまとめ

  • 正しく失敗の内容を知る為の、報告とフィードバック
  • 「伝わるフィードバック」ができていないと、失敗を失敗として認識できない可能性がある
  • 成功に偶然はあっても、失敗には必然しか無い
  • 現実は、小さな失敗を繰り返すと致命傷になる、その前に対策を!


おまけ

この内容でコラムを書こうと構成を始めた頃に、Kyonさんがこんなツイートをしていました。

僕はこの件は 「過去に似た失敗をした」事を責めるより 「記録を残さないことで似た失敗を起こす事を学んだ」という体験にしたら良いと考えます。


さらに、無駄山さんのこんなコラムも公開されていました。

 反省ばかりをもとめるあなたへ

僕の書いている内容と一致するわけではありませんが、反省に対する考え方は、とても参考になりました。



偶然の流れって、面白いですね!


Comment(2)

コメント

名無し

立場(PM,SE,PG等)によっても失敗のレベル感は変わってくるのでは。立場が上になると失敗による影響が大きく致命傷になりかねない。いかにPGレベルでの失敗を昇華できるかがスキルアップにも繋がる道だと思う。

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