反省ばかりをもとめるあなたへ
9月6日、IT導入補助金の二次公募の採択結果が発表された。
IT導入支援者として、本年度は3社の応募を支援し、結果、1勝2敗だった。昨年度が2社
応募支援して2勝だったのに比べると、あまり勝率は良くない。
社内会議の場で、その旨報告したところ、上の方の方から以下のような指示があった。
「不採択だった原因をよくしらべ、来年度の対策につなげなさい」
これには困り果てる。不採択の原因が、分からない。不採択の理由は非公開だ。今回、
採択された会社もだめだった会社も、昨年度の会社も同じようにフォローしていた。
その旨、言ってみたところ、
「失敗したら、反省するのは当たり前だろうが!」
とキレ気味に怒られてしまった。
ちょっと待て。採択されなかったことは、我々の失敗なのか?
我々はIT導入支援事業者であり、応募したのは我々のツールを導入してくれるお客様で
ある、中小企業事業者である。応募申請内容はセキュリティ対応状況や経営状況などお客
様の実状である。我々は申請内容にモレがないようにチェックするのみ。そして不採択に
なったのは我々ではなくお客様である。そして不採択理由は公にされない。
どこを、どう反省しろと?というより、不採択は我々の失敗なのか?
というのが正直な感想。
たまに?見かける「しっかり反省し、次につなげろ」としか言わない上の方の方。
こういう方に限って、現場と一体となって問題の原因究明につとめることは、まずない。
だから、現場で起こっている事実について何もわからない。わからないから、ネガティブ
な報告があると「しっかり反省し、次につなげろ」としか言えない。現場は何を反省し、
どう次につなげてよいかわからないから、不信感が募る。反省を促す者は、自分で原因を
突き詰め、対策案を出し、次につながることを現場に示すべきなのだ。そうすれば現場は
納得する。それができないなら、根拠のない似非正論が現場を混乱さ、組織を弱体化させ
ていることを、大いに反省すべきである。
PDCAサイクルを回すは当たり前ではないか。
上の方の方の声が聞こえてきそうだ。
しかし、この方は2つの勘違いをしていらっしゃる。
まず、失敗したから反省することは、PDCAを回したことにはならない。失敗しようが
成功しようが関係なく、作業を振り返りよりよくなる方法を考え、次の作業で実践する
ことがPDCAサイクルである。失敗したときにだけ反省しても意味がない。
次に、現場のPDCAサイクルはもっと短い。作業が終わった後で振り返っても、すでに
結論は出ている。現場は、一度の失敗で致命傷を負う事もある。プロジェクトは同じもの
は二度とないので、終わった後に対策を講じても次の案件で通用するとはかぎらない。
だから現場はもっと短い単位でPDCAを回している。何かを決める時、判断するとき、状
況が変わったとき。つどPDCAを回し、前の判断が失敗とわかれば早めに方向修正を行っ
てゆく。結果を失敗としないように手を打ってゆく。
結果が出た後ではない。結果が出る前に回すのだ。これをアジャイルという。
だから、「しっかり反省し、次につなげろ」という指示はこれっぽちも役にたたない。
現場を邪魔するだけだ。
そんな、反省ばかりをもとめるあなたへ伝えたい。
OKY。