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工事が好きだ

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最近福岡は建設ラッシュのようで。通勤時には5カ所の工事現場の前を通っている。

マンション建設が2件、商業施設の建て替えが1件。大型商業兼オフィスビルの建て替え2件。

通勤は毎日なので、工事現場の日々変化を見れてなんとなく楽しい。建て替えの場合は、前の建物が日々低くなってゆき、そのあと新しい建物がニョキニョキ上に伸びてゆく。マンション建設の1件は家の目の前なので、休みの日などは、足場幕で覆われはしているものの、その作業も観察することができる。

直近では大型商業兼オフィスビルの1件が竣工間近で足場幕がとれ、その威容を現した。もともと3つの商業ビルが1つになったビルなので兎に角デカい。まだ内装工事は続いているので、通り側の大きな窓からは中の作業を眺めることができる。

そんなこんなで、最近では工事現場ではどのような作業がされているのか気になり始め、ネットで動画を漁るようになってしまった。工事現場の動画は結構ネットにあがっていて、意外と面白い。

杭工事、根切工事に始まり、山留、捨てコン、躯体工事。RC造にS造。置床工事に鋼製建具工事、電気工事、外壁工事など。工事は細かく多岐にわたるので、マンション建設などと絞って動画を検索すると、できるまでの流れが見れて楽しい。加えてタワークレーンが伸びてゆく仕組みの動画などもかなり面白い。

動画を眺めていて気付くのは、当たり前の話かもしれないが、いづれの工事も最終的には職人さんの手作業に行きつく。どんなに機械化が進み大きな建物を作るにしても、最終的には職人さんひとりひとりの手作業なのだ。鉄筋を溶接し、枠を作ってコンクリートを流し込むのも、タワークレーンを組立、解体するのも一つ一つが職人さんの手作業である。

昔、同じプロジェクトに参画したコンサルさんが言った言葉が思い出される。
「お客さんの業務をシステム化するのが我々の仕事だが、いつまでもシステム化できないのが我々の業務なんだろうね」
建設もシステム開発も一品物である限りオートメーション化は難しい。だからこそ最終的には職人さんの手作業に頼らざるを得ないのだから、職人さんは大切にしないといけない。

そんなおり、国立の新築分譲マンションが引き渡しを目前に解体することが決まった、というニュースが流れてきた。法律や条例、構造に問題はないが、マンションが建つことにより景観がそこなわれるという、近隣住民との理解が得られなかったからだという。

事業を取りやめるのはデベロッパーの判断だし、入居予定者に対しては契約上の措置が取られるのであろう。その様な中で一番やるせない思いをしているのは、実はマンション建設に携わった職人さんではないかと思ったりしている。お金は貰っているのだろうけど、せっかく丹精込めてつくったマンションが、だれも住むことがなく新品のまま取り壊しになるのだから。まるでシーシュポスの岩である。

職人さんが丹精込めて作ったものだから、大切にいつまでも残さないといけないなどと言うつもりはない。その役割を果たせなくなったら、早急に壊して新しいものを作る必要がある。スクラップ&ビルドはモノづくりの前提である。しかし役割を果たそうとしたその矢先に、壊されるのだから、やるせないだろうなと思うのだ。

建設現場を見ながら、そんなことを考えてしまった。

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