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リスキリング

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最近、リスキリングという言葉をよく聞きます。学びなおし、などと説明する人も
いますが、リラーニングやリスタディイングなどとは言わないところを見ると、そ
んなに生易しいものではないのでは、と感じます。

もともとは、DXやAIが普及すると、いろいろな仕事がデジタルに置き換わるので、
今のうちに今後も必要とされるスキルへ変更しておこう、という話の様ですが。

それがDXやAIかはさておいて、イノベーションは良くも悪くも世界を変えるので、
これまで必要とされていた職業や技術、スキルがある日突然不要になってしまう、
ということが起こることは歴史を見れば明らかです。

ユーザ企業が情報システムを導入する際、費用対効果を人数で評価する時代があり
ました。曰く。このシステムを導入すると、何人が不要になる。この評価方法には
続きがあって、不要になった人たちはもっと別のもっと付加価値の高い仕事をやっ
てもらう。

実際にはその情報システムを導入しても、人が減ったためしがなく、ましてや余剰
人員を付加価値の高い別の業務に異動させたという話は、一度も聞いたことはあり
ません。

きつい言い方をするのであれば、システムに置き換わるような仕事をしている人た
ちは、急に付加価値の高い仕事をしろといっても無理な話、といことでしょうか。

この話は、ひとつは人の能力の問題もありますが、スキル=技能というものの性質
もあると思います。スキルには、ただ知識があればよいだけではなく、経験と時間
の積み重ねが必要になります。プログラミング文法を知っていることと、効果的な
コードを書くことには、雲泥の差があることは簡単に想像がつくと思います。

リスキリングが非常に難しいと感じるのは、まさにこの点です。能力の問題である
ならば、新しく別のスキルを身につけるのは無理があるでしょう。知識と経験と時
間の積み重ねであるならば、また別の分野で一からスキルを身に付けなおせと言わ
れると、それなりの覚悟が必要になります。特に年をとってからのリスキリングは
かなり困難だと感じます。

イノベーションが起こり、これまで培ってきたスキルが急に役に立たなくなること
が起こりうる、ということは先に書いた通りです。だからと言って、急にリスキリ
ングしろ、というのもちょっと乱暴な話の様に思えます。個人的には、これまで培
ってきたものをやり直すのではなく、日々の仕事の中に常にスキルの拡張と深化を
織り込んでゆく、というのが理想ではないかと考えます。

IT業界も一昔前はSIerビジネスで、開発はウォータフォール、言語はVB、DBは
Oracleで、という仕事が多くありました。いまは、アジャイルで、Webシステム
でクラウドで、というアーキテクチャが主流になりつつあります。一昔前に稼ぐと
いう意味では、VBやOracleのスキルを持っていた方が需要はたくさんあったでし
ょう。しかしだからと言って、VBとOracleだけのスキルでは、現在はつぶしが効
きません。IT業界は特にラットイヤー。踏まえて稼ぐためのスキルとは別に、新し
いアーキテクチャへの知識やスキルを並行して身に着けてゆく必要があると思うの
です。

それは年を経ってからは難しいので、若いうちから、正確には技術者の道に踏み入
れたときから、複数のアーキテクチャに対するスキルを身につけることが当たり前
だということを染みつかせておくのが理想かと。

技術者は日々リスキリング。生涯リスキリング。スキルが塩漬けされている年寄り
からのサジェスチョンです。

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