これからのITの話をしよう
これからのITの話をしよう。「SNS」「スマホ」「ビックデータ」など流行の言葉ではなく、全体の話として。
例えば今後の日本、世界、人類が進むべき道に対して、ITはどういう役割を担うのか。いや、ITが今後の人類を何処へ導こうとしているか、という壮大な話だ。
ジャスミン革命では、twitterやFacebookが情報共有の道具として使われたことは知られている。しかし一つ一つの道具ではなく、ITそのものが革命にどう影響したかは誰も口にしない。
もちろん、中東を中心に生業をしている者、政治、経済、歴史、民俗の学者、評論家、ジャーナリストは我々より多くのことを知り、我々より思慮深い見解で革命を語るであろう。
しかし今やITは社会の基盤として、世界に広がっている。だとすれば世界で起る事象が、ITと全くの無関係であると誰が言うであろう。起こっている問題の原因がITにはないと、誰が証明するであろうか。
ITを生業とする身として、今持っている知識と技術が、日々おこなっている作業が、これまで作ってきたものが、世界で起こっていることに、どう繋がってしているか一度考えてみる必要がある。
そして、これから持とうとしている知識と技術が、明日行う作業が、これから作ってゆくものが、人類を何処に導くかも想像する必要がある。
知識や情報が足りないとしても、見る目が偏っているとしても、我々はIT側からみた世界がどうなっているかを語らなければならない。属する組織や、作っているシステム、やっている作業の大小は関係なく、ITを生業にしている。ただそれだけの理由で。
コロンブスはスペイン国王と女王に、世界は丸いと報告し、それを初めて発見した人物として、歴史に名をとどめている。私は帰国して自分の発見を妻だけに、それもささやき声で伝えた。「ねえ、きみ」こっそりと打ち明けた。「世界は平ら(フラット)なんだ」 (トーマス・フリードマン著 「フラット化する世界」より)
トーマス・フリードマンは、こう言った。ITの発達により、時間の壁、空間の壁、言語の壁が取り払われ、国家のシステムが猛烈な勢いで変わっている。彼はこの発見を、25カ国以上の人々に向けて語りかけている。決して、妻だけにささやいたわけではない。
フリードマンは、こう言っている。「ITが、世界をフラットにしている」「ITが、猛烈な勢いで国家のシステムを変えている」。
彼はジャーナリストである。だから「世界をフラットになっている」ことは「発見」である。しかし我々はITを生業としている当事者である。そのため「世界をフラットにしている」ことは「責任」でなければならない。
コンピュータは我々に何をもたらしたのか。インターネットは世界をどう変えたのか。SNSはどの様な現象をもたらすのか。そしてITは人類を何処へ導くために、どの様に変わってゆくべきなのか。
これからのITの話をしよう。流行の言葉ではなく、全体の話として。