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コミュニケーション・コスト

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 最近、「コミュニケーション・コスト」なる概念を考えています。

 コミュニケーションを、「人から人へと情報、観念、態度を伝達する行為のこと」と定義するならば、「何か」を伝えたい人の「何か」が、相手に正しく伝わって初めてコミュニケーションは成り立つ、と考えられます。ただ、人類はまだニュータイプに進化していないので、「何か」を伝え、伝わるにはそれなりの労力が必要となります。その労力をコミュニケーションにかかるコストととらえ、定量的に評価しよう、というものです。

 例えば、AさんがBさんに言葉で何かを伝えるとして、BさんがAさんの伝えたい事を理解するのに、どれだけの時間がかかったか(もしくは何語を要したか)という事を計測すれば、このコミュニケーションにいくらのコストがかかったかを評価する事ができます。

 同じことをCさんがBさんに伝えようとして、Aさんより短い時間(もしくは少ない語数)で伝われば、それはAさんとBさん間よりCさんとBさん間の方がコミュニケーション・コストが低いことになります。

 当然、一度にたくさんの人に対して何かを伝えたい場合は、資料を準備したり、コストは高くなります。スティーブ・ジョブズのMacworldでの基調講演などは、携わる人や会場の準備、プレゼン内容の作成等、とても高コストであることが想像されます。

 逆に、家庭内での「母さん、あれ」「はいよ」という会話は、もっとも低コストなコミュニケーションと言えるでしょう。

 このように考えていくと、コミュニケーション・コストはコミュニケーション対象が多くなったり、伝える側と受け取る側の共通認識が少ないと高コストになることが分かります。ある意味、当たり前の話ではありますが。

 しかし、実のところこれら以外にコストを高くしている要因もあります。それは、コミュニケーション・スキルの問題です。このスキルが低いと、コストは高くなります。

 例えば新人の報告を受けた際、「それは、どいういう意味?」「なぜ、そうなってるの?」「あなたの言いたいことは、こういうこと?」と、報告者以上に受ける側の方が多く問いかけることになります。これは新人のコミュニケーション・スキルが低く、受け取る側のこと(何をどこまで知っているのか、立場的に何を気にしてるのかなど)を一切考慮せずに、報告者が一方的に自分のことだけをしゃべっているからに他なりません。報告を受けるだけで、上司がこれだけの苦労をしなければならないわけですから、コストはかなり高くなります。

 さらに困ったことに、このスキル不足によるコストの増加は、自分と上司との間にも生じており、上司からの通達や連絡事項が1回では分からない。言ってることは分かるのですが、なぜそれをしないか分からない、という事が多々生じております。……怖い限りです。

 余談ですが、私はシステム屋のはしくれです。思うに、このシステム業界はそもそもが高コスト体質にできている業界ではないかと感じております。お客様はシステムに関して詳しくない。システム屋はお客様の業務に詳しくない。従って双方に共通認識は少なく、かつ、経営層、業務主管、現場、関連部署と話をつけなければならないステークホルダも多く存在します。先述の高コスト条件からすると、まさにぴったり当てはまります……この様な業界は他に思い当たりません。

 ちなみになぜ、このような概念を思いついたかと言いますと、よく職場などで「お前たちはコミュニケーションができておらん!」と怒られたり、「もっとコミュニケーションを良くしろ!」とハッパをかけられたりします。しかし、言われる身からすると、何が具体的にできていないのか、どう改善すれば良いのか、とは良く分からないものです。世間話をして、飲ミュニケーションを増やせば、本当にコミュニケーションは良くなるのか? ということです。

 そんなときに、ただ漠然とコミュニケーションを良くしろ、というだけではなく何らかの評価軸をもって定量的に評価をすれば、具体的な改善策が見えてくるのではないかと思ったからです。

 まだアイデアベースの考え方ですが、真剣に定義をおこない、計測方法を決め、実際に計測してみると意外と面白い結果が出るのではないかと思っております。加えて、コミュニケーション対する費用対効果なども評価できると、なお面白いかと。

 誰か、真剣に研究しないかしら?

**注意**

 本稿での「コミュニケーション・コスト」という言葉、あくまで自身の思いつきベースで書いてきましたが、あらためてWebで調べてみると、いろいろな人がこの言葉をすでに使っているよ うです。独創ではないようです。ただスタンダードな定義というのもないようですので、本稿内で定義しているように、ローカルなルールで書いていることご了承ください。

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