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第674回 大きな石の考え方

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 このコラムでは7つの習慣をネタにすることが多いのですが、その中でも第3の習慣「最優先事項を優先する」を取り上げることが多いです。この考え方の中心は時間管理のマトリックスなのですが、これを実践するためには大きな石の考え方が重要になってきます。今回はこの大きな石の考え方について今の私の考えを書いてみました。

■大きな石とは

 7つの習慣の第3の習慣「最優先事項を優先する」には出てくる仕事の進め方として時間管理のマトリックスがあります。以下、過去のコラムの抜粋です。

すべての仕事を緊急度と重要度の組み合わせて考えてみるとどうなるでしょうか。これは7つの習慣の第3の習慣にある「時間管理のマトリックス」という考え方ですが、すべての仕事を緊急度と重要度で捉えるとことのように分類されます。

緊急度=高い、重要度=高い
緊急度=低い、重要度=高い
緊急度=高い、重要度=低い
緊急度=低い、重要度=低い

 これをそれぞれの領域に分け、「緊急度=高い、重要度=高い」を第1領域(Q1領域)、「緊急度=低い、重要度=高い」を第2領域(Q2領域)、「緊急度=高い、重要度=低い」を第3領域(Q3領域)、「緊急度=低い、重要度=低い」を第4領域(Q4領域)と呼びます。そして、Q1領域を必須の領域、Q2領域を価値の領域、Q3領域を錯覚の領域、Q4領域を無駄の領域と呼んでいます。これらを表で表すとこのようになります。

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 7つの習慣では重要なことにフォーカスし、重要でないことを無くしていくことを勧めています。ここでいう「重要でないこと」とはQ3領域、Q4領域を表しています。そして、この第3の習慣「最重要事項を優先する」の「最重要事項」とはQ2領域のことを表しています。

 そして、今回のコラムのテーマである大きな石とはこの重要なことを表す言葉です。こちらも先ほどのコラムから抜粋してみます。

このQ2領域の活動を増やすための考え方に「大きな石」があります。例えば、ここにバケツがあるとします。このバケツは私たちの1日の時間を表しています。そして、そのバケツにはたくさんの石が入るようになっています。この石は私たちの普段の活動を表しています。「大きな石」もあれば「小さな石」もあります。ここでいう大きな石はQ2領域の石、小さな石はQ3領域、Q4領域の石だとします。

 先ほどの話で私たちはQ2領域を普段の生活に取り入れたい訳です。そのためには、私たちのバケツに大きな石を入れなければなりません。しかし、小さな石がどんどん入ってしまうと、やがてバケツはいっぱいになり大きな石はどこにも入らなくなります。だから、大きな石は最初に入れなければなりません。最初に大きな石を入れた後、小さな石を入れる。その結果、小さな石はバケツから溢れてしまうかもしれません。しかし小さな石はQ3領域、Q4領域だから入らなくても構わないのです。例えば、目的もなくダラダラ動画を見て過ごす時間はQ4領域です。こういった活動は別に私たちの生活から溢れてしまっても特に大きな影響はないですよね。

■大きな石の考え方

 この大きな石とは重要なことを表しています。それでは重要なこととは何か? 7つの習慣でいえばミッション・ステートメントであり、仕事でいえばコントリビューション・ステートメントです。それぞれについての説明は過去のコラムにありますので、以下に抜粋します。

ミッション・ステートメント

この私たちの目指したい姿、なりたい自分、到達したい場所といった「終わり」のことを7つの習慣ではミッション・ステートメントと呼んでいます。ミッション・ステートメントは、その人のやりたいことを表したモノではなく、どのような人でありたいのかを表したモノです。第1の習慣で人間には「自覚」「想像」「良心」「意志」という4つの能力があるというお話をしました。それら4つの能力を使い、どのように私たち自身が生きていきたいのか、私たち自身の拠り所となる考え方、方向性、ビジョンこそがミッション・ステートメントです。このミッション・ステートメントがあることで、私たちは選択に迷うことがあったとき、ミッション・ステートメントによってその選択を選ぶことができるようになります。それは、ミッション・ステートメントが私たちの終わりを思い描いた姿であるからで、ミッション・ステートメントに従うことは、私たちの目指したい姿、なりたい自分、到達したい場所に近づくことができるからです。

コントリビューション・ステートメント

この貢献を実現する方法の一つに、コントリビューション・ステートメントという考え方があります。この言葉は7つの習慣から来ていますが、コントリビューションとは貢献とも訳されます。一言で言ってしまえば、自分にしかできない「独自の貢献」を意味しており、ミッション・ステートメントに近い考え方です。

 つまり、個人であれ仕事であれ、その人、その会社や組織にとって最も価値あることを優先することに他ならならいのです。ということは、何が自分にとって価値のあることなのか、何が会社や組織にとって価値のあることなのかを明確にしておくことが大きな石を定義することでもあるのです。

 この価値という考え方はアジャイルから来ています。アジャイルでは予想外の出来事(不確実性)が起こった場合、その時に最も価値のあることを優先して行う原則があります。そのためには自分たちにとって何が価値となるのかを予め原則として定義しておきます。そして、この考え方は何が重要なことなのかをあらかじめ定義しておく大きな石と同じ考え方なんです。

 私はアジャイルを実践するようになり価値について考えを深めることが増えました。その結果、「価値=大きな石」なんだという結論に至りました。結局のところ、こういうことって不変であり、自明的であり、それを知ってても知らなくても作用するという原則に基づいていることになんだなぁと感じました。

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