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第601回 気づきを生む考え方

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 私はキャリコンやスーパービジョンを提供する仕事をしていますが、その中でも気づきを促すというのはとても重要な要素だったりします。そのため、気づきについては普段から色々と試行錯誤をしながら考察をしたり実践をしたりしています。

 その結果の一部は以前「気づきに価値を与える方法」というコラムで紹介させてもらいましたが、今回は気づきを別の視点から捉えたお話をしたいと思います。

■気づきを促す方法

 そもそも気づきとは何だと思いますか? 私はこのように定義します。

意識外のモノを意識できた状態

 端的に言うとこんな感じでしょうか。そしてこの「意識外のモノ」を意識するための方法として私は視点をスライドさせる方法を提唱しています。視点をスライドさせる方法については過去のコラムでも書いていますが、

《視点をスライドさせる方法》

見る側の意識を別の場所(人や物)に移す
見られる側のとらえ方のくくりを変える

などがあります。このコラムは今から10年以上前の内容ですが、今でも使える考え方なので良かったら読んでみてくださいね。

■気づきを阻害する要因

 気づきを生むためには視点をスライドさせる方法が有効なのですが、一方でそれを難しくさせているモノがあります。それは私たちの価値観、パラダイムです。要するに私たちが普段から持っているモノの見方や考え方などです。

 こうした価値観、パラダイムは私たちの考え方の幅を狭めてしまいます。そのため、自分の持つ価値観、パラダイムから離れた所で物事を考えるために視点をスライドさせるのですが、それでも私たちが持っている価値観、パラダイムに縛られてしまうと視点をスライドさせても気づきを生みづらくなってしまいます。これが気づきを阻害する要因です。

■気づきを生む考え方

 それでは、気づきを生むためにはどのような考え方が必要なのでしょうか。それは私たちの持つ価値観、パラダイムとどう向き合うか? だと考えています。

 7つの習慣では「パラダイム・シフト」という言葉があります。これは価値観の転換という意味で、自分の持っている価値観が180度変わってしまうような状態を指しています。しかし、現実問題としてこのパラダイム・シフトが起こるケースは本当に稀です。これは私個人の考え方ですが、パラダイム・シフトなんて人生に数回あるかないかの出来事だと思います。。。

 私は気づきを価値観、パラダイムのアップデートだと捉えています。私たちが持つ価値観、パラダイムは変わらず、そこに新たな価値観、パラダイムが生まれる状態です。この新たな価値観、パラダイムのことを私はユニーク・ケースと呼んでいます。

 例えば、ある人が

「公共のルールやマナーは守るべきだ」

という価値観、パラダイムを持っていたとします。しかし、目の前に急病人がいたため、公共のルールを無視して、急いでその人を病院に運び込んだとします。

 この人は自分の価値観、パラダイムである「公共のルールやマナーを守るべきだ」とを持っていましたが急病人がいたことで、

「公共のルールを無視してでも、その人を病院に連れて行かなければならない」

という新たな価値観、パラダイムが生まれました。しかし、この価値観、パラダイムが生まれたことで、その人が元々持っていた「公共のルールやマナーは守るべきだ」という価値観、パラダイムがなくなった訳ではないですよね。

 この人は公共のルールやマナーは守らなければならないという価値観、パラダイムを持ちながらも、急病人がいた場合には例外的に公共のルールを無視してでも、その人を病院に連れていくべきだという新たな価値観、パラダイムを持った訳です。この新たな価値観こそがユニーク・ケースなのです。

 こうしたユニーク・ケースの存在を理解しておくと気づきを生むためのハードルを下げられます。

「気づき=パラダイム・シフト」

のような考え方だと気づきへの敷居が高くなってしまいますが、

「気づき=ユニーク・ケース」

のように捉えられると比較的気づきを起こしやすくなります。これが気づきを生む考え方です。

 気づきを促す方法はキャリコンの中でもハードルが高い部類ですが、一方でユニーク・ケースのような気づきを生む考え方を持っておくことで気づきを促しやすくなります。興味のある方はぜひチャレンジしてみてくださいね!

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