第508回 研鑽を積み重ねること
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
最近はキャリコンよりもスーパービジョンを提供させていただくことが多くなっています。スーパービジョンとは相談者(スーパーバイジー)と指導者(スーパーバイザー)とが1対1で行う面談のようなモノで、この面談を通じて相談者は指導者から教育的な指導や体験を受けることで自身のスキルを高めていきます。
このスーパービジョンもキャリコン同様に色んなやり方があるのですが、最近はやり方を変えて実践しています。今回はそのことについて書きたいと思います。
■スーパービジョンとは
キャリコンにおけるスーパービジョンは一般的に指導レベルキャリアコンサルタントが担当します。これは1級キャリアコンサルティング技能検定合格レベルに該当します。このスーパービジョンでは以下のようなことが行われます。
キャリコン(相談者)が担当したキャリコンの事例から、キャリコンの癖や傾向を見抜き、キャリコンのスキルを高めていく
スーパービジョンの方法はいくつかあるのですが、良くあるやり方は指導者が相談者に対してキャリコンをするような感じで行われます。ただ、相談者も自分がキャリコンをした事例を持ってくるので、指導者はその事例を踏まえた上でキャリコンをするというキャリコンの2重構造が起こります。そのため、スーパービジョンに慣れていないと何がなんだか訳がわからくなります(笑
また、面談の中からキャリコンの癖や傾向を見抜かなければならなかったり、指導者が見極めた問題点や指導ポイントをキャリコンと合意しなければならなかったりします。その中には過去のコラムでも紹介した気づきを促す手法なども含まれています。
この時紹介した方法はモレノというアメリカの心理学者が提唱したサイコドラマ(心理劇)という技法の「役割交代法」をアレンジした方法だったのですが、これは慣れないうちはほぼうまくできません。しかし、何度も練習を繰り返し実践を重ねていくことで気づきを促す強力な技法として確立されてくるようになります。
このようにスーパービジョンでは一般的なキャリコン以上のレベルの高いコミュニケーションスキルが求められます。
■研鑽を積み重ねること
私のスーパービジョンはどちらかというとフレームワークを使うようなやり方をしていました。それはスーパービジョンの進め方を枠組みで捉え、その枠組みに相談者を当てはめ、最適解を探していくようなやり方でした。このやり方のメリットはどのような相談者であっても基本的には失敗することはなく、比較的安定した水準でスーパービジョンが提供できることにあります。反面、枠組みで捉えられているため、見る人が見たら機械的にやっているような印象を受けるようです。これは実際にスーパービジョンを勉強し合うキャリコン仲間から言われたことでした。
このやり方は私がスーパービジョンを実践する中で作り上げたモノで私にとってはやりやすい方法だったのですが、先ほどの仲間内の感想からも自分にとっても最適なスーパービジョンの方法でもないと感じるようになりました。
そこで、昨年1年間はスーパービジョンのやり方をもう一度イチから見直しました。そうして、過去に紹介した対話技法(ダイアログ・メソッド)をベースとした新たなスーパービジョンの方法を実践するようになりました。この方法は対話にフォーカスをしているので以前よりも相談者に手厚く、そして深く対応することができるようになりました。反面、時間がかかってしまうというデメリットも生まれてしまいましたが、以前のやり方よりも相談者には好評で、また先のキャリコン仲間からも高評価をいただくことができました。そのため、現在はこの方法を使ってスーパービジョンを提供させていただいております。
キャリコンの世界はずっと研鑽を積み重ねなければならない世界と言われています。私もこの世界に入って15年以上になりますが、ようやくその意味が少し理解できたように感じます。
研鑽を積み重ねることはどのような世界であっても言えることだと、私は思います。そのことに気づき、研鑽を行い続ける人こそが本当にその世界で求められる人のような気がします。
だから、これからも私は研鑽を続けていきたいです。