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第492回 資格の在り方について考える

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 こんにちは、キャリコアコンサルタント高橋です。

 キャリコンに国家資格があることはご存じの方もいらっしゃると思います。しかし、その資格はいわゆる名称独占資格であり業務独占資格ではないため、資格がなくてもキャリコンを行うことができます。

 このコラムでも過去に何度か資格の是非を書いたことがありましたが、今回はキャリコン資格から資格の在り方について考えてみました。

■その資格は何のためにあるか

 少し前のコラムでPMPという資格の話をさせてもらいましたが、その時のお話を少し抜粋します。

それは、行動を起こすことでした。せっかくPMPというプロマネの資格を取ったのですから、それを使わないと思ったいないと思いました。早速、プロマネとしての自分を営業して回りました。それまで懇意にしていた取引先の担当者に、プロマネの国際資格を取り、デファクトスタンダードであるPMBOKを使ったプロジェクトマネジメントができることをプレゼンしまくりました。そうして、ある1社からプロマネとしてのオファーをいただき、未経験ながらもプロマネとしての仕事をさせていただくことになりました。

 この話は資格を取っただけではそこからは何も生まれず、その資格を元にして行動をするからこそ結果が生まれるといった内容でした。この話は資格を私なりに活用しようとした一つのケースだと思っています。

 今回はこの資格とは別の資格のお話をしたいと思います。それはキャリコンの資格です。

 キャリコンに関する資格は大きく分けると冒頭お話しした国家資格と技能士の2種類に分かれます。技能士は1級と2級がありますので実質は3種類になるのですが、これらは関連性があり、1級>2級>国家のような難易度づけがなされており、技能士を持っている人は国家資格が付与される仕組みになっています。

 一般的にキャリコンの資格を取る場合、厚労省認定のキャリコン講習を受講し修了された方が国家資格に挑戦されるケースが多いのではないかと思います。しかし、実際には他の方法でもキャリコンの資格を取ることができまして、いきなり技能士を取ることも可能と言えば可能です。当然、難易度が上がるので万人にお勧めできる方法ではありませんが、私はこの方法で技能士を独学で取得し、そこから国家資格を取得しています。

 私が技能士を取得した理由は自分が行っているキャリコンの正当性を見極めたかったからです。私がキャリコンを始めた当時はまだ国家資格が整備される前で、国家資格レベルの資格は民間資格という立場になっており、色んな団体が独自にキャリコン資格を提供されていました。そういった民間資格が乱立している中でどの民間資格を取るにせよ高額な費用が掛かってしまうのと取得後の維持にも費用が掛かるので、正直コスパが悪いと思ってしまっていました。

 そして何より、民間資格がなくても現にキャリコンをやれていたので、無理して資格に頼る必要性を感じていなかったのが本音でした。

 ただ、私のやってきたキャリコンはすべて独学で学んだことで誰かに師事した訳でもなかったため、本当にそれがキャリコンと呼べるモノなのかの判断がつきませんでした。それが私にとってキャリコンをする上でも懸念でもありました。

 そういったこともあり、私は自分のキャリコンの正当性を見極める意味で技能検定に挑戦するようになりました。

 ただ、私の場合、その技能検定も独学だったのにプラスして合格率自体も10%台とそこそこ低いこともあり、合格まで数年かかってしまいました。しかし、それでも何とか合格できた時、これまで自分が模索しながら続けてきたキャリコンが正しいモノである実感を持つことができました。

■資格の在り方を考える

 私にとってキャリコン資格は自分の技能を確かめるという意味がありましたが、もう1つ、自分の足りないモノを補うという意味がありました。やはり独学で行っているといろんなモノが抜け落ちていることに気づきました。それを補うことでその後のキャリコンに活かすことができたと思います。そのように考えると、キャリコン資格は私にとってとても有用でした。

 資格というのはその技能を有していることを証明するモノですが、その技能を有しているだけの十分な経験を積んでいることが前提にあるべきだと思うのです。実際、技能士の受験資格には実務経験が問われます。それはつまりちゃんとキャリコンとして一定期間以上の仕事をしており、十分にキャリコンとしての経験を有していることが受検の前提条件として設けられているのです。そういった人が受検するからこそ、資格に意味を持つのではないかと思うのです。

 勿論、試験というのはいろんな側面を持っています。司法試験や医師国家試験のような業務独占資格はそこ資格自体に価値が与えられる強い力を持った資格ですが、世の中の資格の多くはそこには該当しません。所詮、あってもなくても影響を及ぼさないような資格が大半を占めていると思います。

 そして、そうした資格だからこそ、その資格を拠り所として何か新しい仕事を始めるというのはやっぱり難しく一筋縄ではいかないような気がします。それは、キャリコン資格を取るためのトレーニングを多く提供させていただいた立場からも言えます。やっぱり実業務をしていない人はどれけ資格の勉強をしても中身が薄くなりますし、例え資格が取れたとしても、それでいきなりプロフェッショナルとして振舞えるかと言われれば、決してそうはならないように思います。

 そう考えると、資格に頼らないでもその仕事を始めることができていることが前提にあり、その上で技能を証明するために資格を取得するというのが本来あるべき資格の姿なのかもしれませんね。
 

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