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第394回 今ある考え方

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 私がキャリコンの世界に入ってかれこれ15年以上が経ちます。その中で私は一貫して同じやり方でキャリコンをしてきた訳ではなく、いろんな方と接し学ぶ中でキャリコンヘの関わり方が色々と変えてきました。そして、それは今でも続いています。そこで、今回は今私の考えるキャリコンについてお話したいと思います。

■キャリコンの技法

 キャリコンを始めた当初、私は「キャリア形成の6ステップ」という方法でキャリコンを行っていました。この方法は厚労省のキャリアコンサルタントのページにも記載されていますが、ごく一般的なキャリコンの方法です。恐らく多くのキャリコンは最初にこの方法を学び、この方法でキャリコンをされるのではないかと思います。私は最初独学でキャリコンを学び実践したのですが、その時の方法がこのキャリア形成の6ステップでした。

 その後、技能士試験を受けるにあたり、新たなキャリコンの方法である「システマティックアプローチ」という方法でキャリコンをするようになりました。この方法はキャリコンを行う上で、相手との信頼関係を築き、問題を把握し、目標を設定し、方策を決めるという、キャリコンの流れを構造として捉えることでキャリコンを効果的に進める方法です。私自身、この方法を使うようになってからはキャリコンを「」として捉えることができるようになりました。つまり、「今は相手との信頼関係を作っている段階だ」とか「相手の言わんとすることの本質はなんだろう」のようにキャリコンの流れを意識するようになり、キャリコンがとてもやりやすくなったのを覚えています。更にシステマティックアプローチは傾聴をベースにしていますので、傾聴の技法を磨く上でとても有効な方法でした。ちなみに、システマティックアプローチは国家資格や技能士試験でも良く使われる技法なので、指導をする際には今でも良く使っています。

 そこから「ナラティブアプローチ」という方法にシフトしていきました。ナラティブアプローチは過去のコラムにも書かせてもらいましたが、相手に話を語ってもらう中で、その内容から意味、意図、意義などを見出していき、それをキャリアづくりに生かしていきます。

 現在はナラティブアプローチを中心にシステマティックアプローチや他の方法を取り入れながら折衷的な方法でキャリコンをやるようにしています。

■今ある考え方

 キャリコンをする中で私自身、モノの考え方が少しずつ変化していきました。

 キャリコンを始めた当初、私は人間にはパーソナリティがあり、そのパーソナリティの上に個性が形づくられているという考え方をしていました。パーソナリティとは人格とも訳されますが、その人の持って生まれた価値観というのでしょうか、その人にとって普遍的な考え方や志向のことを言いますが、そういったパーソナリティが人間の根っこにあり、そこに着目してキャリコンをしようとしてきました。その人の求める本質は何か?本当に目指したいと思えるキャリアは何か?これらはその人のパーソナリティを表現した形になっているか?こういったことを良く考えながらキャリコンをしていました。それが、その人にとって最善なキャリコンだと信じていたからです。

 しかし、ナラティブアプローチの考え方を取り入れるようになり、あまりパーソナリティに固執することをしなくなりました。私たちは行動をするとき、そこには何かしらの想いや考えがあります。それらを丁寧に紐解いていくことで、その人の意思や志向が見えてきます。それらを読み解くことで、自然とその内容はパーソナリティに近づくと考えたからです。実際、相手にたくさんの話をしてもらい、その内容を私が意味づけし、形にする作業を繰り返すことで、相手の気づきを促すこともあります。そして、それがその人の想い描くキャリアにも繋がっていきます。つまり、ナラティブアプローチによって、無理にキャリコンがその人のパーソナリティに触ろうとしなくても、キャリコンの中で自然に相手が自身のパーソナリティに気づき、行動変容を起こしていけるように支援することができるようになるのではないかと考えています。

 こうした変化は、私の中で人と比較することの意識を低くしていったような気がします。過去に相対的と絶対的というコラムを書かせてもらいましたが、この考え方も実はナラティブアプローチから来ています。ナラティブアプローチというのは相手が自分のことを語ってもらうことがベースになります。そこは誰かを比較するということではなく、対象は相手しかいないのです。その中で進んでいく話は誰かや何かを比較するというような相対的な捉え方ではなく、ただ相手ありきの絶対的な捉え方になります。これは、相手に集中すればするほど、その感覚は強くなっていきます。

 これが、今ある私の考え方です。

 恐らく、こういった考え方は今後も変わっていくのでしょう。いや、きっと変わっていかないといけないのかもしれません。ただ、目の前にある良いモノを受け入れる気持ちさえ持っていれば、自然と形が出来上がってくると思います。そういった意味では、変わる変わらないも意識する必要はなく、その変化を楽しむくらいの気持ちでいた方が、今の時代は乗り切れたりするのかもしれませんね(笑)

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