第386回 目的と手段と
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
私は人と話をする上で意識していることがあります。それは、目的と手段という2つの見方です。文字通り、目的は何かしらのゴールであり、手段はそのゴールに行きつための方法です。しかし、例えばキャリコンを行っていると、時として目的を手段が逆になってしまうことがあります。この話は過去のコラムに書かせていただいたことがあるのですが、最近この目的と手段に関して少し考え方が変わってきました。そこで、今回は目的と手段について、改めて考えてみることにしました。
■目的か手段か
そのコラムは今から5年以上前に書いたモノです。
簡単に内容をお話させていただくと、私はあるITエンジニアさんに対しキャリコンをさせてもらいました。そのITエンジニアさんはご自身でキャリアプランを作られていたのですが、主に資格取得や技術習得ばかりになっていました。そこで、これらの資格や技術を習得した先にある「仕事に就く」ことについて伺うと、答えが明確な出てきませんでした。そこで、資格の取得や技術の習得はあくまで何かを実現させるための手段でしかないことを理解していただいた上で、具体的に目的を達成させるために必要なことを洗い出し、キャリアプランをアップデートしました。このことから、このコラムでは今やっていることが目的となるのか、それとも手段となるのか、それを考えて行動する重要性がある...、そんな話でした。
この内容は今でもよく意識しています。相手の話を聴く場合、相手が語ってくれた内容を相手はどのような意図で話してくれているのかを見極める必要があります。そのため、キャリコンさんに対する指導や研修などでもよくやっているのですが、相手が手段のことを目的として話されている場合、その認識の違いを指摘させていただくなどして、本質からずれないように心がけています。
■目的と手段と
しかし、最近はナラティブアプローチを使うことが増えてきたので、目的や手段を意識することは変わりませんが、それほど神経質になることはなくなってきました。
ナラティブアプローチについては、こちらのコラムに書いていますが、相手の話す内容に意味や意図を見出すようようなアプローチ手法です。このアプローチは相手の語った内容に真実があると考えるので、その内容が目的であっても手段であってもあまり関係はありません。あくまで、語った内容こそがその人にとってすべてであり、そこに対して意味づけをすることで、その人の想いや考えを形にしようとします。ですので、例え相手が目的のつもりで手段を話していたとしても、そこに意味づけをしていくと結果的に目的にたどり着くことはできるような気がしています。
■考え方をアップデートする
このことに気づいたのはごく最近でした。以前は相手の話を聴くときに「この話は目的なのか?手段なのか?」と神経を尖らせて聴くようにしていましたが、その考えは持ちつつもナラティブアプローチが対応できることが分かってくると、相手への関わり方に対する選択の幅が広がったような感じがしています。
勝手な解釈ですが、私たちが見ているモノはそのモノ全体から見たらある一面しか見えていないのかもしれません。それを別の視点で見ることで違った世界が見えてくるような気がします。ちょうど今回の「目的か手段か」を見方を変えることで「目的も手段も」に見えるような感じです。こういったことは、私たちの身の回りにまだまだたくさんあるのだと思います。そういった新たな視点を取り入れるためには、柔軟な考え方を持つこと、自分の考え方が絶対に正しいといった考え方を持たないことが必要なのかなと思いました。
これからも、どんどんいろんな情報をアップデートしていきたいと思います♪