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第377回 技術やスキルの先にあるモノ

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 私はキャリコンのトレーニングを担当させてもらうことが良くありますが、その中でも基本となるのは傾聴です。最近では良く耳にするこの傾聴も実際に体験してもらうととても難しく感じるようです。しかし、「トレーニング」であるように傾聴は練習をすることで上達することができます。それは傾聴が技術やスキルの範疇であることからだと思います。ですので、トレーニングを積めば積むほど傾聴が上手になる...といいたい所ですが、実際はそうではないような気もしています。そこで、今回は技術やスキルを身に着けた先について考えてみました。

■傾聴における技術やスキル

 傾聴は相手に寄り添い、共感しながら、相手の言葉を聴くことを指します。そのためには相手の話していることを繰り返してみたり、表情や仕草を作ったりするなどして、全身で相手の話を聴こうと心がけます。こうすることで相手はこちらが話を聴いてくれていると感じ、たくさんの話をしてもらえるようになっていきます。

 傾聴において、この「相手の話していることを返す」「表情や仕草を作る」ということが技術でありスキルです。実際にはもっとたくさんの技法があるのですが、こういったことを頭の中に叩き込んで、さも会話の中で自然と出てくるようになるまでトレーニングを行います。これも慣れてくれば特別何も意識することなく、自然に傾聴を行うことができるようになってきます。キャリコンは職業ですので、こういった傾聴が自然に行えるようになるまでトレーニングを重ねていきます。

■技術やスキルの先にあるモノ

 こうやって技術やスキルが身についたとして、その人が傾聴を習得したとします。そうすると、きっと呼吸をするが如く自然な傾聴ができるようになると思います。傾聴は技術やスキルなので、それは当然のことと言えます。しかし、この段階で傾聴の成否に大きく影響を及ぼすことが出てくることがあると私自身は感じています。それは、その人自身の想いや考え方です。

 確かに傾聴を技術やスキルですので、その技法を習得するためにトレーニングをする姿は正しいと思います。実際、そうしなければ傾聴の技量は上がりません。しかし、技量を上げたとしても、そもそもなぜ傾聴を使いたいのかが明確になっていないとどうなるか? そのような傾聴は形だけの傾聴に過ぎず、恐らく相手に見透かされてしまうような気がするのです。

 そう感じるのは、キャリコンのロールプレイをしていると如実に表れてくるからです。キャリコン役と相談者役でロールプレイを進めていても、技術やスキルに走る方は相談者役とうまく関係性が築けていなかったり、問題の本質を掴み切れていなかったりします。要するに、技術やスキルに走れば走るほど、相手との距離感は近づかず、返って離れてしまうのです。。。

■初心に還る

 これは何もキャリコンだけの話ではありません。技術やスキルを習得すること全般に言えることです。今、技術やスキルを身に着けようとしている人は、その技術やスキルを身に着ける必要性があるからなさっているのだと思います。その技術やスキルを習得するための努力はとても大切なことです。しかし、時としてそれらを習得する過程で、何のためにその技術やスキルを習得されているのか、その意図を忘れてしまい、習得することそのものが目的となってしまうことがあります。そうなってしまうと、その技術やスキルはどれだけ磨いても光ることはないように思います。

 「初心に還る」、私たちが何かを成すためには必ず最初の考えや想い、つまり初心を忘れてはならないと私は思っています。最近、こういった言葉は本当に大切だと感じるようになってきました。。。

 私自身、これからも技術やスキルの研鑽は続けつつも、決してそこに頼りすぎず、初心に還ることを忘れずにいたいと思います。

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