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第376回 時代の変化を感じてみる

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 私はキャリコンの他に研修のトレーナーなどもやらせてもらっています。研修といえばセミナールームなどの場所で数十名の参加者を前に、スライドやテキストを用いた学びの場というのが一般的な認識なのではないでしょうか。しかし、昨今はそれに留まらない新しい学びの形が生まれています。そこでこれまでの学びの形を紹介させていただきながら、時代の流れに対する私なりの考えを書いてみました。

■学びの変遷

 例えば、ビジネスマンが何かの学びをしようとした場合、いくつかの方法に分けられます。最初に考えられるのは独学。例えば、本屋さんへ行き学びたい本を買い、自分なりのペースで知識や理解を深めていきます。この方法は自分のペースで学習を進められるという利点がある反面、完遂させるための強い意志、分からない箇所をどのように解消していくか、といった問題があげられます。

 この問題を補完した学びに通信教育があります。通信教育は教育を提供する団体や企業からテキストや問題集、講師が説明している動画などが送られ、それを元に受講者は学習を進めます。その際、分からない箇所などがあった場合、提供元へ質問という形で問い合わせることができるようになっています。また、受講期間が決まっていることも多く、ベースは独学ではあるものの、ある程度を強制力を持たせた学びです。この方法は一見よさそうに見えるのですが、独学という範囲を超えないため、途中でドロップアウトをしてしまう場合もよくあります。

 そこから少し発展した形がeラーニングです。eラーニングは「情報技術を用いた学習や学び」とWikipediaに書かれていましたが、端的にいえばインターネットを使った学習となるでしょうか。昨今、企業が社員に対する学びの場としてeラーニングを活用しているケースは多くみられます。eラーニングの方法論は多岐に渡りますが、先ほどの通信教育をITで実現した学びの方法といえばよいかもしれません。

 よくあるケースとしては講師が説明をしている動画を視聴し、そこで簡単な演習やテストをすることで理解度を定着させていきます。この動画についてもズルができないように全部の動画を見なければならない工夫がなされており、動画をちゃんと視聴していないと先に進めない、問題が解けないといったケースもあるようです。

 eラーニングの長所は時間と場所を選ばない点にあります。また、最近ではマイクロラーニングといって、1つの単元を短い時間(3~10分程度)のコンテンツで構成することで、集中力を切らさずちょっとした空き時間に行える配慮をしている場合が多く見受けられるようになりました。このマイクロラーニングの形態によって、受講者は自分のペースで学びを進めていくことができるようになっています。しかし、eラーニングはどうしても動画を見ている時間が長くなるため、インプット型の学びになってしまう傾向があります。そのため、例えマイクロラーニングであったとしても、退屈に感じたり、眠気を覚えてしまうことも少なくありません。私はこの点がeラーニングの最大の問題点だと思っています。。。

 その次は集合研修です。これは多くの研修トレーナーが行っていることでもあり、現在の研修業界の主流といっても過言ではないでしょう。セミナールームのような数十人が一つの所に入れる場所に集まり、スライドやテキストなどを使い、トレーナーがワークショップやワークセッションといった様々な方法を使い、インタラクティブに学びを深めていきます。この集合研修は完全にトレーナーの腕によってその出来が左右されます。そのため、腕の立つトレーナーが研修を行う大きな効果を生むことができます。

 しかし、この集合研修には大きな欠点があります。それは、時間と場所が制約されてしまうということです。言い換えればその日、その時間、その場所に行かなければ研修は受けられないということです。研修というのは都市部で行われることが多いため、地方在住の方はロケーション(場所)の問題で参加することができません。私自身、これが集合研修の最も大きな弱点だと思っています。

 そして、現在注目されている最新の学びとしてブレンドラーニングと呼ばれている方法があります。「ブレンド型学習」とも呼ばれますが、複数の学びの方法を統合した新しい学びの形です。

 例えば、参加者は事前学習であるドラマ仕立てされた動画を視聴し、そこで感じたことを書き留めておきます。そうして、ウェビナー(Webinar)というオンラインを使った研修場所に参加します。これはビデオチャットの延長上のようなモノで、Zoomなどが有名です。このウェビナーではトレーナーの姿がPCの画面上に表示され、参加者はその画面を見ながらリアルタイムで研修に参加します。そして、グループディスカッションのように、参加者を数名単位で区分けした個別のビデオチャットルームをつくり、参加者はそこで思い思いのディスカッションをお互いの姿を見ながら行います。そのディスカッションの結果はトレーナーに集約され、トレーナーはディスカッションの結果を参加者全員にシェアすることができるようになっています。また、参加者から質問があった場合、その参加者の映像を表示させ、直接トレーナーと会話をすることができます。これは、まるで集合研修をPC上で進めているような感覚になります。更には、研修中にアンケートをリアルタイムで集計したり、意見を発表してもらったり、全員が気軽に書き込めるホワイドボードのようなものを使ったりすることができるシステムもあります。

 こうすることで、全員が同じ場所で行わなければ実現できなかった集合研修をITの力を使ってWeb上で実現させることができるようになってきました。これが、現在、最も進んでいる学びの形ではないかと思います。

■時代の変化を感じてみる

 現在、私はこのブレンドラーニングを行うための技術やスキルの習得に励んでいます。私の勝手な予測ですが、今後、集合研修のような形は少しずつ減っていくのではないかと思います。もし、なくならなかったとしても、恐らく集合研修+ウェビナーのような形に姿を変えていくのではないかと推測しています。

 実は、このブレンドラーニングを行うにあたり、集合研修の技術とは全く違う新たな技術が求められます。集合研修ではいかに全員に声が届くように喋るか、発声の方法などをトレーニングしましたが、ウェビナーの場合、そんなことは必要ありません。それよりも、PC上での見え方(見られ方)、画面を通して表示される受講者の観察方法、説明の仕方、ディスカッションの進め方、意見の集約方法など、これまでとは違うことを学んでいかなければなりません。

 私の周りには研修トレーナーが多くおられますが、現時点でこのウェビナーに関心を寄せている人はあまりいません。今更そんなウェビナーなんかやらなくったって、研修の仕事はなくならないよ、そんな声を聞くこともあります。

 こんな言葉を聞いたとき、私はITエンジニアの時分を思い出しました。ITエンジニアの技術は日進月歩で進んでいきます。CやCOBOLが盛んに使われていた時代からVBが登場し、一気にGUIベースの開発が主流になりました。その後、C#やJavaといったWebアプリの開発へと時代はシフトしていきます。そして、現在はスクリプト系言語のITエンジニアが増えてきています。これも時代の流れです。

 どの時代も、その時の技術に固執していた人は時代に乗り遅れたり、自分で活躍の場を狭めたりしていたように感じます。しかし、一方で新しい技術が現れた時、そこに対して積極的にその技術を取り込もうとされた方には、新たなキャリアが生まれていたこともあったような気がしています。

 新しい時代の流れを前にしたとき、自分がどう動くかでそこから先の自分の姿が決まってしまうような気がします。そして、それは今このタイミングではないかと思っています。

 だからこそ、私は新しい技術を積極的に取り入れ、第一線で働き続けられるようにしたいと思っています。

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