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第374回 会話の重要性

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 このコラムでは何度か話をさせてもらっておりますが、私はキャリコンの指導やトレーニングをよくしています。こういった場では言葉を使ったコミュニケーションを磨いていくため、言葉のやり取りを緻密に考えます。ロールプレイの内容はレコーダーで録音しておき、後で再生しながら振り返りを行うのですが、本当に一言一句、その言葉の意味、意図などを考えるようにしています。そんなやり取りをさせてもらうと、いつも会話というのは本当に難しく、そして大切なことだなぁと感じさせられます。

 そういえば、最近、こういった会話ということについて考えさせられることがありました。そこで今回はこの出来事について書こうと思います。

■クリーニング屋さんでの出来事

 私は出張から帰ったら、よく背広をクリーニング屋さんに出しに行きます。うちの近くに行きつけのクリーニング屋さんがあり、私はいつもそこでお世話になっているのですが、約1年ほど前からある店員さんが応対されることになりました。

 その店員さんは小奇麗な女性なのですが、いつも愛想が悪いんです。。。初対面の時、こちらが何かを話しかけたのですが、その時はそっけないそぶりをされるだけで気まずくなった思い出があります。またある時、その女性店員さんとトラブルになることがありました。

 事の発端は私の背広の一部が破けていたみたいなのですが、私はそのことに気づかずクリーニングに出してしまいました。本来、クリーニングを受け取るとき、破れやほつれをチェックしてもらうのですが、その女性店員さんはその背広の破れに気づかずに受け取ってしまいました。クリーニング屋さんはその後、私の背広が破れていることに気づき、私に確認をしなければならないような状況になっていたそうです。しかし、タイミングが悪かったのか、その時、私と連絡を取ることができなかったそうです。そのため、クリーニング屋さんとしては大事をとってクリーニングをされませんでした。

 一方、私はといえば、いつも通りに背広がクリーニングされていると思い、仕上がった背広を取りに行きました。受付されたのは例の女性店員さんです。女性店員さんは特に悪びれることもなく、「連絡をしたのに繋がらなかったのでクリーニングしていません。どうされますか?」と言われました。さすがにこの対応はないだろう!と少しばかり言い合いになってしまいました。。。

 結局その時はクリーニング屋さんが大事をとってクリーニングに出さなかったという言い分はわかるので私が引きましたがが、釈然としない思いが残りました(そもそも、女性店員さんは連絡したと言われていますが、それならなぜ私に連絡が繋がらなかったのかが最後まで平行線でした...)。

■女性店員さんの変化

 それから約半年ほどが経ち、そんな話もすっかり忘れ、またいつものように背広をクリーニングに出しに行きました。その日は小雨で、店番をしていたのは例の女性店員さんでした。私の前に一人の女性が洋服を受け取ろうとされており、少しもたついていた感がありました。正直、タイミングが悪かったなぁなどと思いながらも私の順番になり、いつものように背広を出しました。すると、その時、女性店員さんが、

「大変お待たせいたしまして、申し訳ありません」

と言われたのです。

 私からすれば「えええええええ? 一体どうした!」みたいな感じです。正直、面食らった感じになっていたのですが、女性店員さんは何事もなかったかのように背広のチェックをされていました。そうして、ふと、こんなことを言われたんです。

あ、晴れてきましたね

 外はまだ雨がパラパラ降っていたのですが、日が差していました。ちょうどお天気雨のような感じだったと思います。しかし、その言葉を聴いて、私もとっさに

「あ、ほんとだ。晴れてよかったです」

と思わず返してしまいました。そうしたら、その女性店員さんと会話が弾んだんです。このことは私の中で軽くショックでした。。。

■会話の重要性

 ひょっとしたらその女性店員さんはいろんな経験を積まれる中で、ご自身の接客態度を見直されたのかもしれません。その真偽は定かではないですが、少なくとも私はその女性店員さんとの時間は決して嫌な時間ではありませんでした。それまで、苦手だと思っていた人との会話がこれだけ楽しめるモノだったのかと感心してしまったくらいです。

 私たちは会話を通じて他の人と繋がっています。その繋がりは強い場合もあれば、弱い場合もあります。ひょっとしたら、繋がりの強さを決めているのは私たち自身なのかもしれません。私たちが一歩前に踏み出し、相手に簡単な一言を投げかけるだけで相手との関係性は大きく変わるのかもしれません。その女性店員さんとのふとした会話は、そんな大きな力が秘められていると感じた瞬間でした。

 私はあまり目的なく人に対して話しかけたりしないタイプなのですが、それで損をしていることはたくさんあるような気がしています。これを機に気軽に人と話せるような、そんな自分になってみたいなぁと思いました。

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