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第168回 何かを成し得るために必要なモノ

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 こんにちは、キャリア・コンサルタント高橋です。

 私事ですが、足を怪我してしましました。といっても、見た目の外傷ではなく、右踵の後ろ側に歩けなくなるほどの激痛が走ったのです。お医者さんで診てもらったところ、どうやらアキレス腱の付け根に炎症が起きており、それが原因で踵に痛みが出ているとのことでした。レントゲンを撮ってもらった結果、骨には異常がないそうなので、痛みが治まるまでアイシングをマメにすることと、痛み止めの薬を飲んでおくようにいわれました。

 このコラムを書いているのは、痛みが出だしてから3日目のことなので、少しずつ踵の痛みも引いてきて、ある程度歩けるようにはなったのですが、痛みが出だした直後は歩くことすらままならない状態でした。そこで、今回はこの痛んだ右足について思うことを書いてみたいと思います。

■トイレに行きたいけれど、痛くて行けない(泣)

 例えば、日中に片足に激痛が走り、そちらの足が痛くて動かせなくなったとします。このとき、私たちは意識がありますので、痛みのない方の足で何とか歩こうとします。しかし、これが寝ているときに起きたらどうでしょうか?

 その日の夕方、仕事から帰ろうとする私の右足に激痛が走りました。そのとき、なぜ痛みが走ったのか、原因は分かりませんでしたが、痛みが走った直後はあまりの痛さで5分ほど動けなくなりました。しかし、帰宅の途中だったのでその場所に立ち止まっている訳にもいかず、右足を引きずりながら、何とか帰宅の途に着きました。そうして、その日は痛みのあるまま寝てしまったのですが、問題はその日の夜に起きました。

 夜中にトイレに行きたくなり目が覚めました。普通ならスッと立ち上がりそのままトイレに行くのですが、その日は足に激痛が走っているので、なかなか立ち上がることができません。それでも、用を足したいので、何とか立ち上がるところまではできました。しかし…、

痛くて歩けない…

どのようなことをしても右足が痛くて歩けないのです。これが、ハッキリ目が覚めている昼間なら色々と考えを巡らし、歩く方法を考えることもできたでしょう。しかし、夜中で半分眠っている状態だとどうなるか? 考えている途中で寝ちゃうんです(汗) 

①右足を動かすと痛い
 ↓
②痛くない方法を考えよう
 ↓
③眠い…(そのまま寝る)
 ↓
④トイレに行きたくなってきた(ちょっと目が覚める)
 ↓
⑤とりあえず、右足を動かしてみよう
 ↓
①に戻る

 こんな思考状態だったと思います。私の場合は、これを2~3回ループしました。そうしていると、徐々にトイレが我慢できなくなってくるので、次第に目が覚めてきて焦りも出てきます。そして、これが3回ループする頃には完全に目も覚めるのですが、そのときになって事の重大さに気づきます。トイレに行きたいけれど足が動かせない…。

 しばらくの間、どうすることもできず、ただ片足で突っ立ってる状態なのですが、その内、意を決して足の痛みを我慢しながら歩き出します。そうして、やっとの思いでトイレまで辿り着き、用を足した後、また足の痛みを我慢しながら布団まで戻り、眠りにつきました…。

■何かを成し得るために必要なモノ

 この日、このようなできごとが合計3回もありました。

 さすがに3回目にもなれば、慣れてきて、痛みのある足もある程度動かせるようになるのでは? と思われるかもしれません。しかし、実際はトイレに行くことの大変さと、トイレで用を足した後の解放感(? )だけが強く意識に残っており、どうやってトイレに行ったのか、その過程が完全に抜け落ちていたのです。そのため、毎回、苦労しながらトイレに行っていました。

 何だか冗談のような話ですが、これはよく考えてみたらお分りいただけると思います。大変な想いをして何かを成し遂げた場合、そのときの達成感や充実感は心に強く残っていますが、その過程は案外抜け落ちてしまうモノです。登山を例にするならば、大変な想いをして頂上まで登ったとき、あまりの美しい風景にそれまでの苦労が吹き飛んだという話はよくあります。そして、その後の印象もどうやって苦労して頂上まで登ったかというより、苦労して登った頂上の風景が素晴らしかったという記憶になってしまうことがないでしょうか。

 つまり、人間は苦労したときの記憶よりも、何かを達成したり成功したときの印象の方が強く残ります。そして、このことは、私たちが何かを成し得ようとするときのヒントになるような気がします。

 私たちが何かを成し得ようとするとき、動機づけとして必要となるのは、それが成功したときの達成感充実感です。しかし、それだけでは何かを成し得ることはできず、どうやってそれを実現させるのか、具体的な方法が必要になります。そのためには、達成感や充実感といった「結果」、具体的な方法といった「過程」の両方が必要になります。

 幸い、足の痛みは徐々になくなってきていますが、今晩、トイレで用を足そうと思った場合には、用を足した後の達成感や解放感だけでなく、痛みの中どうやってトイレに行ったか、その方法もしっかり覚えておこうと思います。。。

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