地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

進化できないシステム

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 気が付けば、クライアント環境においてもデュアルコアが当然となり、場合によってはクアッドコア環境も簡単に構築できるようになってきました。CPUだけを見ても先月末の時点で、少し前のCorei7-860などは3万円を切り、Core2QuadやPhenomII等のクアッドコアも軒並み安価にて入手可能な状況になっています。

 同じようにPCサーバと呼ばれる層も一昔前とは能力が数段向上しており、なおかつ価格もお手ごろに設定されている商品が増えたように思えます。

 下手をするとPCサーバもクライアントもそれほど性能に差が出ない、そのようなところまでハードウェアは進んできました。

 しかし、それを利用して運用するシステムはどこまで向上したでしょうか。

 現在ハードの能力向上と比較して、システム・ソリューションの価値は思っている程向上していないのが実際だと思います。ハードとソフトはまったく性質が異なりますので単純に比較するものではありませんが、同じ程度に時間を費やしたことを考えると思っている程は向上していないのではないでしょうか。

 わたしの中で「システムやソリューションの価値がそれほど向上していない」と思えるのには理由があります。

 ここ10年の間でITを用いた業務というのは、それほど発展していないからです。ITを用いて業務を効率化する、簡単なように思えるこの文言をその言葉通りに実現できる企業というのは極々少数なのです。

 企業の規模に関わらず、自分たちの業務運用を変化させることには大きな抵抗が発生します。それは業種にも関わらず、業態にも関わらず平等に存在するでしょう。単純に効率だけを求めて業務を運用するということは、簡単であり非常に難しい話題なのだと思います。それがかなりの難題であるために「現状業務に合わせたシステム」を作る方向にいってしまうのだと思います。

 わたしは(多少ですが)EDI関係に携わることもあります。中でも流通の分野では次世代EDIと呼ばれて久しい流通BMSがありますが、それも思うように浸透していません。SEとしては流通BMSの導入によって受けるメリットが多数存在することを理解できるのですが、現実としては大手を除き導入にまで至ってはいません。この辺りは今までの経緯も含め、複雑な問題が絡み合っているので解決するにもまだまだ時間が必要となるでしょう。個人的には時間をかけるか、強力な外圧が発生でもしない限りは、まだまだ浸透することはないのではないか、そのように考えています。

 その中でも浸透しない理由の1つとして

発生するコスト > 入れ替えによるメリット

が成り立ってしまっていることがあると思います。

 システムを入れ替えることは非常に大きなコストを発生させます。ハードウェア・ソフトウェアの費用はもとより、関わる人達への教育・指導、場合によっては関係する取引先への対応等多くのコスト・時間が必要になります。

 将来を見据えればどこかでペイできることでしょうが、今のご時世では現在を乗り切ることが難しい企業が数多く存在します。そのような企業にとって

入れ替えによる負担 > 発生するコスト

となり、ますますシステムを刷新することが難しくなっているのです。

 ここ最近ではシステムはそのままで、ハードウェアだけ入替という案件が増えています。場合によってはハードウェアも入れ替えず、使えるだけ使うというユーザーも多いことと思います。それは上記のような現実の表れなのでしょう。

 この「負担>コスト>メリット」という図式を覆さなくては、わたしたち開発側としても商売になりません。

 ですが、そう簡単に覆すことができるほど甘くはないのは、皆さん御承知の通りです。そう簡単に覆せないから大きく変化しないシステムを作る方が、売上に結び付きやすい一面もあるのだと思います。

 これから先は「純粋な開発技術」だけでは厳しくなることは間違いないでしょう。今最も話題になるクラウド関係も、そう遠くない未来に一般化され、珍しさも失せてしまいます。

 そうなった際には何か特色がなければ生き残ることは大変です。システム自体の特色、サポート面での特色、コスト面での特色など、出そうと思えばさまざまな面で検討する要素は転がっています。技術だけに拘ることは、一技術者として賛同するところもありますが、会社勤めとしては反対です。

 会社に対する忠誠心といった話題は抜きにして、今自分が勤めている会社がなくなるのは困る、だからできるだけ知恵を絞る。それぐらいは何とかやっていきたいものです。

 ……知恵を絞ったからといって、アイデアが出るかどうかは別なんですけどね。そう簡単にアイデア出るなら苦労しませんって。

Comment(4)

コメント

saki1208

ahfさん、こんばんは。
saki1208です。

IT導入の謳い文句としては業務の効率化、定型業務の自動化、情報の再利用など
様々なものが謳われていますが、まだまだ業界自体が若く成熟期を迎えるにもま
だまだ時間がかかると私は考えています。

お客様への謳い文句の前に自分たちの作業を効率化、自動化することができてい
ません。
便利なツール類は色々と見掛けますが、実際の運用にのせるのはなかなか難しい
ことが多いです。
# ツールそのものの要因よりも保守的な要素が大きいのが問題ですが...
# 弊社でも未だにEXCEL( or WORD)ベースの管理資料が沢山ありますし。

仕事である以上、お客様の業務改善の手助けになることはどんどん提案していか
ないといけないと思いますが、その前に自分たちの業務改善もしなければと考え
る毎日です。
# そのために苦労するのならば、どんなに苦労しても構わないのですが...

choir

技術が軽視されてる業界で、技術だけに拘るのは反対って書くと
喜んで誤読する人が…ああいや、ここの読者にそんな方はおられないでしょうけれど。

>「負担>コスト>メリット」という図式を覆さなくては
負担が大きいほうが売上的に美味しいので、積極的に削るようなことはしないでしょうし
メリットを引き上げるってのは、その分野の専門にでもならないとキツイ。
超高難度の知恵の輪を見ているような感じですね。

インドリ

人を軽視する会社が多くなったので、会社に対する忠誠心が無くなったのが一因かと思います。
不景気でみんな自分のポストを守るのが大事だという空気をよく感じます。
ポストを守りたい人は新規システムの導入を反対します。
彼らは自分のポストを失うのが怖いのです。
経営陣の理念なき資本主義の暴走を見ると、それも致し方ないと思います。
忠義を尽くすのに値する会社にするのが先決だと思います。
システムというのは人も含まれています。
人なきものはシステムと呼べません。
経営陣は経営システムをちゃんと考えているのだろうか・・・

Ahf

saki1208さん、choirさん、インドリさんコメントありがとうございます。

>お客様への謳い文句の前に自分たちの作業を効率化、自動化することが
>できていません。
(saki1208さん)

これは本当にそうですよね。私の勤務先でも同じように効率化、自動化
できていない、考えられていない点は多々あります。Excelは万能ツールと
して大活躍しているのも似たようなところですね。
本当であればユーザーに提案する以上は、自分たちも同じように業務改善できて
いかなければいけないのですが本当に難しいです。

>負担が大きいほうが売上的に美味しいので、積極的に削るようなことは
>しないでしょうしメリットを引き上げるってのは、その分野の専門に
>でもならないとキツイ。
(choirさん)

商売として考える視点も加味すると複雑になり、言われるように知恵の輪状態
ですね。やらなければならないのはわかるけどその解が見えない。
理想としては「どちらも」成り立たせることなのでしょうけどね。
そのためにも自分たちのウデも知識も日々磨いていかなければ、と思います。

喜んで誤読の件は・・・スゴイですよねぇ(謎

>人を軽視する会社が多くなったので、会社に対する忠誠心が無くなったのが
>一因かと思います。不景気でみんな自分のポストを守るのが大事だという
>空気をよく感じます。
(インドリさん)

昔のような忠誠心というのは今ではほとんど感じられませんよね。
個人指向的な方向へと社会が変化したのも要因の一つでしょう。
不景気も私のような地方にとっては本当に厳しさが染みてきます。
そのような状況ですので守りたくなる気持ちもわかるのですが、長い目で見れば
守る方こそデメリットが多いと思えるのですよ。

個人的には会社に忠義を感じなくてもいいですが、そこにいる人の集まりや
皆でする何かについては大事に感じる気持ちを忘れないで欲しいと思います。

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