地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

これからの人たちのために

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 いつも通りといえばその通りなのですが、気がついたらもう 3 月も終わろうとしています。多くの会社は期の変わりにあたると思いますので、期末の処理も期首への準備も色々と忙しいところではないでしょうか。私も来期の活動施策をまとめていたりしていたので、エンジニアらしくない作業でなかなかににぎわっていました。いました、と書いてしまうと作業が終わっているようにも思えますが、来期の施策は4月前半までに整っていればよいという慈悲によって生かされています。

 私の立ち位置は紆余曲折あったこともあり、エンジニア 1/3 それ以外 2/3 という構成で来期は活動する事になりました。これまでは制作を主とするエンジニア的な作業がメインだったのですが、来期からは前段階となる提案作成やプリセールス的な活動にウエイトをおく形です。それ自体は、主戦場となる開発行為はできるだけ次の世代にシフトしていかないといけないと常々考えていることもあり、特段不満に思う事はありません。言ってしまうと、もっと早くからシフトできるよう行動するべきだったと思えるくらいです。

 シフトしていく事を思うと、多くの会社で同じような悩みを抱えていると考えられますが、若い世代をどう育てていくかというのは物凄く難しい話題です。難しい話題なので先送りにされてしまいがちではありますが、その分だけしわ寄せがくるというか会社の戦力がガリガリと削れていってしまいます。気が付いた時には社内だけではどうしようもなくなるまでに、戦力が不足する事も珍しくはありません。

 昨今ではWeb上に数多くの情報が公開されていたり、AI を利用してすぐに調べる事が出来たりします。また、エンジニアとして知っておいた方がよい知識量は 10 年前、20 年前と比較するととんでもなく増大しています。あまり意識されていないかもしれませんが、すぐに調べる事が出来る環境にあるから難易度自体は下がっている、と考える人もいますが、それは本当なのでしょうか。

 私個人の考えとしては、すぐに一つの回答にたどり着けてしまうからこそ、難易度は下がっていないまたは上がっているというものです。調査結果が正しいか誤っているかもありますが、過去の時代よりも多くの事をやらなければならないのがいまいまの開発事情です。量が減ったように見えた場合でも、それぞれの技術的難易度は上がっています。検証しようにも完全には検証しきれないほど複雑度が高く、調べて見つけた結果をある程度信頼して話を進めることが多いです。調査が必要な領域が特定領域だけで済む過去とは違い、今では幅広い領域を調査する必要があります。それをこれまでよりも短い時間でこなせ、と言われることも増えている背景を考慮すると、確実に難易度は上がっていると言ってよいのではないでしょうか。

 それを踏まえると、これまでと同じ時間を教育にあてるだけでは不完全で、より効率の良い内容、効率の良い教え方が用意できてこそ、新しい世代の人たちに注文をしてもよいように考えられます。それくらい今の時代では知っておくべきことが多いですし、過去の経験だけではいけないのではないでしょうか。

 そうはいっても専門的に教育をしているような企業ならともかく、一般的な会社にそこまでできるかと言われれば、これも非常に難しい所とも言えます。そうであるならば、これまでよりもより多くの時間をかけて付き合っていく、成長をサポートしていくことが私たちには必要なのだと考えています。そこまでやってそれでも思っていた成長が見えなかったとき、はじめて今の世代は......といった愚痴を言っても少しは許されるのかも知れません。かも知れません、というだけで許してよいかどうかは別ですが。

 確実なのは、自分が育ってきた時代と今の時代とは何から何まで状況が変わっているという点です。変化した状況を意識せずに、今までと同じことをやっていても良い結果が生まれる事はほとんどなく、とてつもなく優秀な人が入社してくれたといったある種のガチャ運に恵まれでもしない限りは、新しい世代に負担をかけるだけになります。そのような事態を避けるためにも、今一度育てる方法を見直してみるのはいかがでしょうか。

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