地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

「使い方」を考える

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 現在業務上の都合もあり、(ようやく)WPF・Silverlight関係を調査しています。分かっていたとはいえ、その強力さになんともいえない気持ちになります。

 WindowsFormsと比較して、あまりにもパワフルなんですよね。普通に利用するだけでも、さまざまな視覚効果があるのはもちろん、一番のメリットはロジックが綺麗に分離できる部分なのではないかな、と感じることがあり、早急な習得が必要だなぁ、と思っているところです。

 調査を行っている間、「これからの開発スタイル」という問題に対して、1つの方法を示してくれているように思えていました。

 Microsoftとしては「開発者とデザイナーのコラボレート」という触れ込みで、分業化をメイン軸に置いている気がします。個人的な感覚としては「それはわかるけど、それができるところは非常に限られるだろ」という考えで、わたしの勤める企業みたいな中小・零細なところでは、なかなかUI設計にデザイナーを投入するなどということは、予算の都合もあり実現できないことがほとんどです。

 そのような状況ですが、少々違う見方をすると「これこそウチのような企業に向いている」のではないか、と思えるようになりました。

 わたしの勤める企業では人材のドーナツ化が著しく、中堅世代と呼べる人材がほとんど存在していません。そのためなのか別の理由からなのか、ベテラン勢な方々は新しい開発において対応しようという意識に乏しく、.NetはおろかVB6からの脱却すらできそうにない状況です。

 また極端にいえば、「既存方式以外での設計を拒絶」する傾向が強い環境です。わたしは.Net系の案件をやっており当初はDB関係と実装関係、そしてPJリーダという位置づけだったのですが、気がつくと何から何まで自分でこなさなくてはならない状態になっていました。良くいえば「任せられている」、いい直せば「放置プレイ」ですね。

 そのような環境の場合、ベテラン勢の方々ができることというのはかなり限られてきます。そこで「うまくいけば利用できるかも」と考えたのがExpression Blendです。

 実装に関わるアーキテクトな話題や、データベースの設計、要求分析等最近の案件は低価格でハイレベルな結果を求められています。そのような状況において新しい方式をなかなか受け入れようとしない、身につけようとしない方々でも比較的参入しやすい領域があります。それは「GUIデザイン」(ただし高度なUXを求めるような案件ではなく、既存業務システム的なUXを求められるケースに限定して)です。

 WPF・SilverlightなどのRIAに関係するテクノロジーを詳しく知らなくとも、既存業務システムのGUIデザインであればExpression Blendにてかなりのことが可能です。業務システムはまだまだリッチなUXをそれほど必要とはしていません。WindowsFormsを用いてデザインするのと同レベルでほとんどの要求はクリアできるでしょう。

 そうなるとこの場合疑問に思われるのは、「それならばWindowsFormsを使い続ければいいのでは?」という考え方なのではないでしょうか。

 確かにそれでも構わないと思います。ですがそれでは実装側がWPFを用いた開発を行う場合、問題のあるベテラン勢の方々は本当にやることがなくなってしまうかもしれません。

 冷静に考えればそれはそれで構わないのかも知れませんが、企業として考えた場合、「今あるリソースの有効活用」は社員それぞれがよく考える必要のある課題だと思います。

 「できない人には辞めてもらう」という姿勢の企業もありますが、その適用先は大体にしてベテラン勢ではなく、新人や中堅などそれ以外の層が対象です。

 今回Expression Blendを話に用いたのは、「実装」と「デザイン」が製品として明確に分かれているから、というのが大きな理由です。同一製品で全てがこなせるのは開発者にとって理想ですが、こと今回のような場面では「分かれているからこそ有効に活用できる」ケースなのではないでしょうか。

 今あるリソースを有効に、という観点で考えると各々ができることを最大限にこなすのが理想状態です。本来であれば「上司の使い方を考える」のは大変おこがましいことであるのかもしれません。反対に、わたしのことが同じように「使えない人材」と思われているのは大いにありえます(それはそれでれっきとした評価ですので理解はしますが……納得はしないですけど)。

 ツールの使い方も大事です。それと同じくらい人の使い方も大事です。いろいろな事柄がかなりのスピードで変遷している状況の中、改めて今後の方針を考えてみることは大切ではないでしょうか。

Comment(4)

コメント

oumi

こんにちは。

「WPF・Silverlight関係を調査」まさに今、自分も社内向けに、ちょっとした解説本レベルの物を書いているので、キター!という感じです。

>分かっていたとはいえ、その強力さになんともいえない気持ちになります。
本当にそうですよねー。なんだかFireworksとVisualStudioが合体(強調動作)したような気持ちになりました。
(Flex系列もそうですけど)
個人的にはかなり嬉しいのですが(^^)


目下の悩みは、「ベテラン勢の方々」に限らず、
コードとXAML(UI)間のリソースバインディング(データのやり取り)をどうやったら「すんなり」と受け入れてもらえるか?ということです。
直接オブジェクト操作のように使える場合もあれば、リソースとして定義しなければダメな場合もある・・・
なんだか分かりにくい・・・
いやいや、自分の勉強不足なのか・・・
自分が受け入れ難いだけなのか・・
う~ orz

何か良い、解決方法というか説明方法ないかなぁ・・・と模索中です。

Ahf

oumiさんコメントありがとうございます。

>目下の悩みは、「ベテラン勢の方々」に限らず、
>コードとXAML(UI)間のリソースバインディング(データのやり取り)を
>どうやったら「すんなり」と受け入れてもらえるか?ということです。

あぁ、わかります。
私のところの場合ですとデータバインディング自体が初体験というところでして、
なおのこと頭を悩ませていますw

XAMLの編集部分だけでもなかなか難しかったり。

choir

まさしくそういう目的でBlend使いたいんで、評価版いじくりまわしてる最中です。
自分で使う分には問題ないけれど、
上司にただポトペタと言い切るにはちょーっと情報量が多すぎるかなぁと。

画面数は多いのに、それを上司がExcelなんかで
ちまちま色塗ったり矩形ペタペタしたりしながら要件定義書作ってるのがアレなので。
扱えるようになってもらえればかなり工数節約出来そうなんですね。

上司に話してみたところ結構乗り気なので、後はどんだけハードル下げられるかが勝負。

(Blendの更に簡易版みたいのがあれば助かるのに:-p)

Ahf

choirさんコメントありがとうございます。

BlendでGUIデザインを行う事ができるようになれば、
それだけでもかなり効率的に作業ができますよね。

SketchFlowとWordへの出力機能がいい感じです。またSilverlightのGUIデザインと画面遷移の確認は、今のところBlendが一番やりやすい気がしています。

後はBlend単体で販売してもらえれば・・・

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