地方エンジニアが感じる地方・中小企業での悩み

ここは海外だから

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 以前にも書いたようにわたしは札幌で働いています。ちょうど今は雪まつりの時期で、国内外問わず大勢の観光客の方がいらっしゃっているようです。先月にはなぜか雨が降ったりと雪まつり自体を心配していたのですが、今月に入ってからは冬らしい天候が続いたので無事に開催できたようで本当によかったです。これを書いている今は大分、吹雪いて視界が悪いのですが……。

 わたしが住んでいるのは札幌でも外側ですけれど、ここ何年かで中国の方が観光に来ているのが目立つようになっていますね。たまにコンビニなどで周囲から日本語が聞こえてこないこともあったりと、

 「これが話に聞くグローバル化か!」

と何か間違った方向で感慨を受けていたりします。

 もともと札幌出身のため札幌で生活する分にはなんとも思わないのですが、別の地域から北海道に来られて仕事をする方に聞くと、やはり色々苦労をされるようで。冬道が雪ではなく氷だというところで歩くのも車で移動するのも大変だとか、中心部以外では商店がほとんどないのが不便だとか苦労する要素はたくさんあるみたいです。

 これが仕事の話となるとさらに輪をかけて……というか、今の時点では北海道に限らずどこにおいても景気が悪化しているので似たり寄ったりなのかも知れませんが。地方都市ではその傾向はさらに顕著に表れています。

 もともとニュースなどで景気悪化が言われるよりも早くから、中小企業の状況は悪化の一途を辿っていたと思います。IT関係で言えば「本州の仕事を受ける」状況が以前より続いていたと思います。そのような状況ではなかったのは、コンシューマ向けの開発を行っている企業や小口の案件をメインに扱う企業など一部企業に限られていたでしょう。

 地元企業を相手に商売をする企業には冬の時代がかなり長いこと続いています。北海道は「試される大地」というキャッチフレーズを1998年のあたりから使いはじめていますが、当初の思惑とは裏腹に今なお、言葉通り試され続けているのが実態です。

 (本当は「未来にむけて」という意味合いを持ったキャッチフレーズだそうで、純粋に試すという言葉の意味合いとは異なるそうです。地元民ですが知りませんでした……)

 このような状況ですので、今地方で働くというのはイバラの道です。イバラというよりも罠満載の一本道というイメージです。本当に明るい話題というのが仕事では少ないですね。

 その反面、現在働いている人間にとって地方というのは魅力的なところもあります。

 地方の場合、都心と比較してハイレベルな人材というのはかなり不足しています。言い換えると「努力し能力を身に付けた人材は都心よりも需要がある」ということです。経験年数ではなく実際の技術、知識、能力ですね。わたしが知っている範囲(かなり狭いですが)では、いまだに「アプリケーションサーバって実行ファイルを置いておくサーバのことだろ。クライアントからはサーバ上のexeファイルを直接起動するからね」と普通に口にするSEというのが残念ながら意外に多いです。これが冗談であればまだ救われるのですが、本当だから泣けてきます。変にキャリアを積んでいるのにこういうことを言ってくる人に出会うとたまらなくげんなりしてきますね。このような方にお会いするたびに「経験年数など何の意味もない!」と思ってしまいます。

 話がずれましたが、レベルの高い技術者を求めるのはどこであろうと同じだと思います。ただし不足している数というのは地方が多いです。ここは実際の技術者数と比例しているからだと思いますが、母体となる全体での技術者数が都心と地方で差があるように、レベルが高い技術者というのも同じく比例して少なくなるわけです。このあたり、個人的には教育的な話題も絡んでいるとは思っています。義務教育の時点でけっこう差が出ているんですよね、地方と都心では。

 まぁ、実際に働いている人間にしてみれば、だからこそ上を目指したくなるというところがあったりしますが。差があることを知っているというのは、少なくともその差分は伸びる余地があるというところですし。誰かができたなら自分も努力次第で可能、と思って日々努力です。

 また、やはりと言いますか、仕事以外の生活は都心部で暮らすよりも充実させることはできると思います。「エンジニアライフ」としてはこちらの方が重要でしょうか? ただし、冬に強くなければ楽しさは半減してしまいます。というのも、北海道はなんだかんだ言っても雪と付き合い続けなければならない土地柄だからでしょう。雪が苦手、寒いのが苦手という方は来てはいけません。ウインタースポーツもありますが、冬に行われる数々のイベントは、なかなか楽しめるものが多いです。特に雪像や氷像などの「見て楽しめる」イベントが多い気がします。個人的には雪像よりも氷像派です(?)。

 しかし給与基準が本州とは異なり最低賃金近辺な地域ですので、収入が下がる可能性が高いことには気を付けてください。その分、家賃など生活費は下がる部分も多いです。ですのでそれほど変わらない……と思えそうですが、ここは冬をどう過ごすかによって大きく変わるところです。暖房で利用するのは基本灯油です。伊達に燃料手当なるものが支給される土地ではありません。昨年のような高騰が起きるとものすごく厳しいです。ここだけは洒落にならないですね……。何とか現行水準を維持してほしいですね。

 もし今は都心で働いているのに北海道で働こう、と思う人がいたら。

 「ここはパスポートのいらない海外だ! 陸地でつながっているところと一緒に考えるな! 来るならば覚悟を決めろ!

と伝えておきたいと思っています。一度足を踏み入れてしまうと、本州に行くことは難しくなりますよ。何せ「海外」旅行になるのですから。新幹線が通ってもきっとこの点は変わりません。

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