生き様189. 映画「Winny」の感想
映画を観てた
最近、とんと映画館から足が遠のいていました。
COVID-19の影響もありますが、観たい映画がなかったからというわけではありません。
映画館が近くになかったことと、足を運ぶタイミングがなかったからです。
ということで、時間をなんとかやりくりして映画を観てきました。
やはり、劇場のスクリーンで観る映画は良いですね!
遅い時間の映画を観ても家に帰れる、映画館が近くにある有難み……!
今日は、その中で観た映画の1本を紹介します。
いや、むしろこの作品を観たかったから映画館へ行ったんだ!!
映画「Winny」と当時の身の回りの話
この映画が公開されているということを、全然知りませんでした。
多分、Twitterでフォロワーさんが感想を話していたから気付いたはずです。
その時に「絶対見に行かなきゃ!」と思ったものの、暫く忘れてました。
パソコンには、Windows95が出る少し前から触れています。
インターネットに触れたのはもう少し遅く、97年頃でした。
という訳で、Winnyが流行った頃はネットの海を彷徨っていました。
とはいえ、Winnyの流行からは一線を引いていました。
当時は、TRPGにハマっていたので、そちらの情報交換に忙しかったんですね。
Winnyには掲示板の仕組みもありましたが、そちらに面白い情報が無いということは仲間内の情報で知っていましたので。
当時の感覚では、「Winny」というものは、最先端のわかりやすいアンダーグラウンドでした。
「肝試し心霊体験」とか「廃墟ツアー」みたいなものですね。
少しずつ大衆化してきた2chの代わりの様にも感じられます。
それこそ、今では「ダークウェブ」と呼ばれる情報も出回っていたそうです。
スリルに惹かれるのか、周りにWinnyを使ってファイル交換をしている人は多くいました。
ですが、ただ違法な巣窟だけだったわけではありません。
自作の音楽や、ゲームの公開にWinnyを利用しているケースもありました。
日記のテキストを過激なファイル名に偽って公開しているケースもあったと聞きます。
もしかしたら、SNSに繋がる新しいネットワークコミュニティの形があったのかもしれません。
今となっては検証のしようもないことですが。
ファイル交換ソフトの時代
「Winny」が流行する前に、「WinMX」というソフトの流行がありました。
こちらは、サーバーにファイルをアップロードして、交換する方式だったそうです。
P2P型のネットワーク機能もあったとか。
記憶では、WinMXが廃れてWinnyが出てきた印象でした。
WinMXのファイルサーバーの閉鎖が2005年にあったそうなので、その後にWinnyが作られたのかと思っていました。
Wikipedia等で確認すると、Winnyは2002年の開発なので、その前になります。
記憶違いだったようです。
当時の日本国内の法律では、ファイルの違法ダウンロードは犯罪ではありませんでした。
その為、罪の意識が低い状態にあった、という社会背景もあったと感じます。
そいいう背景から、多くの人がWinnyを利用していたようでした。
現在、アダルト映像の共有が多く言われていますが、アニメや映画、音楽の違法アップロードファイルも多かったと記憶しています。
当時、パソコンを使い始めた友人から「○○が観たいからWinnyを入れてくれないか」と頼まれたことがあります。
Winnyや他のファイル共有ソフトの使い方を特集したPC雑誌も多かった記憶があります。
映画の劇中にも出てきた「ネットランナー」は、その一つでしょう。
Winnyが起こした社会問題
映画の中では、Winnyが起こした社会問題として
- 違法アップロードファイルによる著作権侵害
- ウイルス(主にAntinny)による情報流出
の2つが大きく取り上げられます。
しかしながら、殆ど取り上げられることはありませんが「ネットワークトラフィックの問題」もあります。
当時は、今ほどネットワーク速度、帯域が裕福ではありませんでした。
もちろん、光ファイバーによる通信はありました。
一方で、ADSLも多く使われていました。
それ以上に、交換機の処理の力が今ほど高くなかったのです。
「ブロードバンド」と言っても、今よりは通信環境が劣っているということです。
今ではYoutubeなど、高画質の動画配信は当たり前の時代です。
ですが、同時は一部の通信に「動画がある」程度の想定でした。
つまり、データ量の多い動画のファイル送信は「想定外」と言っていいでしょう。
それが、猫も杓子もWinnyと言った状態です。
当時のインターネットトラフィックの多くが、Winnyに専有されました。
これに対して、プロパイダ等がWinnyの通信に対する制限を行うなどの施策を行っていました。
社会的なWinny追放の流れには、トラフィックの問題の方が大きかったのではないか?
そう個人的には推察しています。
映画の感想
事前情報を全く無しで観に行ったので、1つ1つの情景に心を大きく動かさながら観ていました。
主演の東出昌大さんは、お顔が良いながらも、見事に「オタクっぽい」雰囲気の青年を演じていたと感じられます。
観ていて「あー、オタクってそうなるよね」って頷いた場面は多くありました。
脇を固める役者さん方も、とても素晴らしかったと感じました。
好きな役者さんがちょいちょい出ていたのが嬉しかったです。
小道具で、懐かしい時代的なガジェットがでてくることにキュンキュンしていました。
雑誌とか、無造作に転がるマザボとか、携帯電話とか!
劇中では、Winnyによる情報流出の「功」として演出されていた愛媛県警裏金問題の情報流出。
視聴中は、何故その話が割り込んでくるのか、とても疑問を感じていました。
しかし、それに対しても、47氏が心を痛めていたという描写が入り納得しました。
結果が正しいから「正義」なのか?それをもってWinnyを評価して良いのか?
ニュースの大衆性というものを、皮肉として強く感じました。
予定にはなかったのですが、思わずパンフレットを買ってしまいました。
多分、ソフト化したら購入すると思います。
できれば、多くの人に観てもらいたいと感じました。
特に、IT業界に関わる人に。
以上!