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生き様163. 「成長できるフリーランス案件紹介」の嘘

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某仕事紹介サービスの広告の話

今回は、仕事の都合でコラムを書く時間が十分に取れない為、省エネ版でお送りします。
最近、作業中BGMでよくお世話になっている動画配信サイトがあります。
言わずもがな、Youtubeなのですが。
動画の前後やで差し込まれる広告に、フリーランス仕事紹介サービスが増えてきました。

原因は単純です。複業を考えている&市場動向調査の為に幾つかのサイトを覗いたから。
ですから、広告が表示されること自体に不満はありません。
Chromeブラウザを利用し、Googleで検索しているのです。
当然の結果として、Youtube広告に反映されるでしょう。
むしろ、実際の内容とは違う内容を広告に使うアプリよりは好感が持てます。

ですが、その広告の中で、引っかかるワードがあります。
それは「フリーランスにスキルアップできる仕事を紹介します」というものです。
「そんなわけないだろう」と、反応してしまうのです。


「スキルアップできる仕事を紹介」の嘘

結論から言うとフリーランスITエンジニアでスキルアップなんてできません!!
どんな優秀なエージェントが付いていても、無理です。大体は嘘っぱちです。
何事にも例外はありますので、100%嘘だとは言いません。
ですが「仕事を紹介して貰おう」という姿勢では、明らかに無理です。

企業の管理職になったと思ってイメージしてみて下さい。
契約が切れたら居なくなるフリーランスに、コストを掛けて成長をさせますか?
答えは「No」です。そんなことしません。

企業は利益追求団体です。社会奉仕団体ではありません。
スキルを習得してステップアップして欲しいなら、社員を雇います。
ただ単純に人手が欲しい、単純作業を任せたいなら、派遣社員を雇います。
もしくはSESのエンジニアを迎え入れるかもしれません。
この場合、直接指揮はできないのですが、何故か選択肢に入ります。

業務委託契約が基本になるフリーランスエンジニアは何を求められるでしょうか。
答えは「専門性」「即戦力」です。
経験のある分野を基準に、ビジネス目標達成の為の即戦力を求められるのです。
「できるかどうかわかりません」「精一杯頑張ります」は求められないのです。

スキルアップができる案件とは、多くの場合未経験の仕事を指します。
もしくは、仕事内容(開発言語等)は同じでも、モダンな開発環境で従事することです。
今までと同じことを同じ様にこなす経験を「成長」とは言いません。
「やってる事は同じだけど業界が違うから業界知識が増えた」も成長ではありません。

例えば

  • フロントが中心だったけどバックも開発できるようになった
  • Windowsアプリ中心だったのがスマホアプリ開発もできるようになった
  • 詳細設計だけでなく、要件定義や概要設計も任せられるようになった
  • PMOからPMになった

等々……
未知の領域に一歩踏み出すこと、それこそが【成長】と言えます。

ですから、フリーランスで「成長」をしたいなら、案件に頼ることは無理なのです。
自分の時間をやりくりして、領域を広げていくしかありません。
その為には「失敗していいプロジェクト」を自ら立ち上げることも必要となります。


「成長」を求めるITエンジニアのキャリアプラン

成長をしたいのであれば、企業組織に所属するのが一番です。
ただし、SES事業を主とする会社は辞めましょう。
そこで育つのは「開発未経験」から「開発経験有」ぐらいまでです。
これは、フリーランスで「案件紹介」に任せている時も同じです。

企業が「利益追求団体」であることは先に述べました。
利益を追求し続ける為には、企業としての成長が必須となります。
そして、企業としての成長の基本は、事業拡大・人員の増加・社員の成長です。
特に、技術系を売りとする会社では、成長の重視傾向が顕著です。
枯れた技術ばかりでは、先細りであることは見えていますから。

つまり、会社としては「事業を広げ」て「人を増やしたい」訳です。
そして、「今いる社員に成長してもらいたい」ということです。
その流れに乗れば、成長は叶うでしょう。
ただし、その成長の方向が必ずしも自分の希望と一致するとは限りません。

フロントエンドに興味があっても、インフラ系部署に配属される可能性があります。
営業がある日突然システム保守部門に異動になる、という事例も見たことがあります。
流石に後者は「ジョブローテション制度」の一環かもしれませんが。
ですが、100%希望した通りのキャリアが築けるという保証はありません。
また、当初希望通りの部署に配属になっても「思ったんと違った」もあるでしょう。

ですから、会社が何を「成長」させてくれるかはギャンブルです。
結局、成長を他人に頼っている内は、思い通りには行かないというわけです。
ですが、確実に成長をできるお膳立てはしてくれます。
そこから「成長」できるかは、自分次第なのです。

最後に、SES事業だけは別です。
基本的に、SES事業を営むには社員の成長は必要ありません。
案件が安定して取れる程度のスキルがあればいいのです。
事業を拡大し人が欲しくなったら、採用すればいいのです。
案件さえ取れれば、いくら人が居ても良い、それがSES事業です。暴論ですが。

フリーランスに対する案件紹介も、これに親しいでしょう。
高単価の案件を餌に、スキルが足りないなら適当な案件に入れれば良いのです。
「希望の条件の案件が出たら、優先的に回しますから、働いてて下さい」と囁いて。
もしくは「この案件で成長・実績を積んでもっと良い案件を目指しましょう」と。

ですから、この手の広告を打つ企業は信用できない、というのが白柳の偏見です。

以上!


Comment(10)

コメント

小さな会社経営してます

論理的思考の無意味さを痛感するコラム。かつ、後ろ向きで悪いオーラを周囲に放ってしまっている。

私は、使い捨てフリーランス、アルバイト、派遣社員、正社員、上級フリーランスといろいろ形態を変えながら、最終的に年収が上がってきたので、法人化して、今はSE数名とプロジェクト受注してそれなりに儲かっています。

アルバイトだろうが、派遣だろうが、成長する人は成長するし、社員だろうがエリートだろうが、気持ちが萎えていたり、不平不満しか言わない、後ろ向き・・な人はダメですね。

会社によっては、正社員がコーディングやオペ、テスター、上流工程をフリーランスや派遣社員がやってるようなプロジェクトもありますからね。

まあ、ほんと論理的思考や論理に基づいた文書、主張って意味がないんですよ。最初に感情があり、次に目指すべき結論があり、その結論に向けて論理を組み立てるからそうなるわけです。

小さな会社経営してます

もう一つ。地位は絶対ではないということ。

社員になったら成長できるとか踏ん反り返って働きがいまいち、不平不満に愚痴ばっかりいってるみたいなのがいたら、周囲に悪影響だから解雇予告手当支払ってでも解雇したい。

アルバイトだろうが派遣だろうがSESだろうが必死に目の前の仕事こなしてるいい人材がいたら社員として引き抜くだけ。

経営者からしたら、会社に恩恵もたらしてくれる人がいたら、その人の年齢、国籍、学歴、地位とか関係なくほしいんですよ。

フリーランスPG

白栁さんの記事に全面的に同意します。
大局的に見てほぼ事実ではないかと。
フリーランス界隈には情弱に夢を売って儲けるビジネスが横行しているので、
こういう記事は必要です。

小さな会社経営してます さんの反論は筋が悪い。
一部の例外をもって全体的な傾向を否定するという論法はいかがなものか。
確かに論理的な思考ではないのは間違いないですが。

「法人化して、今はSE数名とプロジェクト受注してそれなりに儲かっています。」
受託開発をしているのか、あるいはチームで業務委託のSESをしているのか、
あるいはSES会社の社長なのか、知りたいですね。
数名だとSES会社の社長では厳しいと思うので、受託開発かチームでのSESかな。
受注と人数をかけているのでチームでのSESと推測します。

侘助

Youtubeのフリーランス広告はひどいですね。
楽な仕事で月何十万も簡単に稼げるとか。

そんなわけないだろ、と毎回思いながらスキップを押していますが・・

匿名

私もITフリーランスやってます。

記事でおっしゃることはほぼ正解で、スキルのないフリーランスに仕事を任せる人は居ません。逆にいうとスキルのない人はフリーになるべきではありません。

ITの世界は、自分で学べばなんでも学べる世界ですよ。だから、自分で学ぶべし。自分で作ってみてリリースして、それで仕事をもらいましょう。スキルがあれば、仕事はいくらでも選べるようになりますよ。

小さな会社経営してます

フリーランスで力つけて高収入になっている人もたくさんいるからねぇ・・。正社員でブラック企業でテスターとか監視オペとか高速回転してる人もいる。

育つ人間はほっといても勝手に育つ。地位も関係なし。就職氷河期で辛酸舐めた世代が、エンドの大企業の課長クラスに昇進しているけど、フリーターや派遣社員を経験して、引き抜きを経てエンド企業で課長やってる知り合いとか複数人、たくさんいる。

境遇がどうあれ目の前の仕事を真剣に取り組んできたかで20年後のポジションが定まってくる。経営者は、優秀な人なら、フリーターや派遣社員でも引き抜いて社員にしたいものだ。反対に不平不満、愚痴、周囲を腐らせるやつは辞めてもらいたい。

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