生き様033. 専門用語はキライです
IT関係者=聞き慣れない横文字を使う人?
IT関係といえば、
「専門用語をバリバリ使って、ユーザーには理解できない会話をする人」
というイメージがある気がします。偏見かもしれませんが。
かくいう僕自身も、IT関係のド真ん中でお仕事をしている身ですから、
技術用語を多く使う会話をします。
ですが、正直技術用語は苦手です。
そして、それはレアケースだと思います。
一方で、相手に馴染みのない技術用語/専門用語を会話で使ってしまう、
技術者側の気持ちも良くわかります。
今回は、「何故、相手に伝わらない専門用語を使ってしまうのか?」
という心理を探ってみたいと思います。
何故専門用語を使わないのか?
僕が専門用語を使わない理由はシンプルです。
「馴染みがないから、自分の伝えたいことを表現できない」です。
自分で言うのもアレですが、僕はおよそ感覚で喋ってます。
別の言い方をするなら、インスピレーションで言葉を選んでいます。
なので、自分の中でしっくりこない言葉は使わない様にしています。
文章を書いている時も同じです。
自分が伝えたい事柄を、自分がしっくりくる言葉に乗せて書き出した後、
伝わりやすい言葉に書き換えています。
その中で、言葉の意味を調べて直したり、語尾や言葉のつながりを直すことをしています。
結局
- 言葉に馴染みがあれば使う
- 言葉に馴染みがなければ使わない
この程度の区分けですね。
あと、加えるのなら「似たような言葉が多くて紛らわしい」とか「英文字○文字の用語は言葉から意味が推察しにくい」からイヤだという事もありますが。
何故専門用語を使うのか?
これまたシンプルです。
「自分の伝えたいことをシンプルに伝えられる言葉」だからです。
専門用語や技術用語は、端的に状況や状態、それに対応する手法を現す言葉です。
- ロックダウン → 緊急時の安全確保を主な目的とした隔離措置
- DDD → ドメイン駆動設計 → ビジネスのドメインに注目し、モデル化したドメインを中核に(以下略
- ダイバーシティ → 多様な人材を積極的に活用しようという考え方
見事に長い言葉が圧縮されています。
自分が理解している用語を使った方が、圧倒的に短く、そして誤解がなく発信する事ができます。
この様に自身が発信する事にだけ注目すれば、積極的に専門用語や技術用語を使うべきでしょう。
ですが、その専門用語には、一つの大きく致命的な欠点があります。
それは、相手もその言葉を理解していないと意味が通じない事です。
専門用語は、相手も理解してる場合、もしくは理解しようと、その言葉の意味を調べてくれるケースでしか通じません。
発信するのか、伝えるのか
ここから先は、僕の中でもうまく整理ができていない部分になります。
世の中には「発信する事を目的」とする人と「伝える事を目的」とする場合の2種類があります。
前者は、政治家や宗教家が該当するでしょう。
後者は、ほぼ全ての人達です。
普段の会話の中では、相手に理解して貰わないと話が進みません。
極端な例だと、ニュースではなるべく難しい言葉や、曖昧な言葉は避けて、明確な言葉を使用しようとしています。
その為に「バールのようなもの」という奇妙に聞こえる言葉が生まれるわけです。
対して、政府広報や指導者の発言には、難解で特別な用語を使った発言が多いです。
これは、限られた発信リソースを有効に利用し、中間の受け取り者に分かりやすいように変換して、さらに多くの人に伝えてもらう事を委ねている、と考えることができます。
ですから、「政治家の○○さんはいつも言葉がわかりにく」との様に責めるのは、お門違いなケースもあるのではないか?と考えています。
どちらが優れている、という話ではなく、
状況や立場により、発信に注力する場合と、伝えることに注力する場合。
この2種類の状況で、言葉の使い方が変わるのだ、と考えています。
今回のまとめ
専門用語は、基本馴染みのない所からスタートするので、
自分の中でしっくりきて「この状態を現す言葉はこれしかない!」という状態になるまで、使いません。
それでも、専門用語を使った方が圧倒的に会話が楽になるのであれば、自分が理解している言葉の範囲で使っていくでしょう。
それが、現時点での僕の専門用語や技術用語に対する向き合い方です。
あなたは、言葉にどう向き合いますか?
おまけ
そういえば、最近テレビやネットニュースで聞き慣れない専門用語を耳にする機会が増えていますね。
アレには「相手がよく分からない言葉を使って、耳目を集める」という効果を狙っている節もあると感じます。
よく分からない言葉に出会った時は、言葉自体の意味ではなく、その言葉を通して何を伝えたいのか?
そういう文章の本質に注目したいものです。
ただ単純に、聞き慣れない言葉の羅列をするのが大好きな人も、一定層居るのですが…(遠い目
コメント
おたみ
専門用語って同じ字面の言葉であっても分野によって、
また文脈によって微妙に意味が異なる場合があるので困ったものです。
なので私も専門用語はキライです。
自分の専門領域しか考慮していない(考慮できない)人との意思疎通は非常に疲れます。。。
エンジニアカウンセラー白栁隆司
> おたみ さん
いつも読んでくださり、ありがとうございます。
コメントのチェック方法を間違えており、3ヶ月近くコメントを放置しておりました。
ごめんなさい。
「自分の専門領域しか考慮していない~」の部分は、胸に刺さります。
僕は<自分がしっくり来れば>その言葉を使ってしまう為、一般的でない使い方をしている事も多くあるからです。
専門用語ではなく、日常的な会話でよく起こります。
対策は「自分の言葉が伝わっているのか、気を配ること」しかなさそうです。