手続きラプソディ
先日、契約変更の件で携帯ショップから電話があり、その時の会話。
「奥様も○○をお使いでしょうか」
「使っています」
「それでは奥様もご来店いただく必要があります。その際には運転免許証など本人確認ができるものが必要となります。奥様とは、運転免許証は別でいらっしゃいますか?」
「は、はい」
この携帯ショップ、もともと引越した先のマンションが完備していたネットのプロバイダの系列キャリアのショップで、ネットの加入手続き時に、スマホの割引プランがあるのでショップから連絡させて良いかときかれ、かかって来た電話である。
その為か、近所にも同じキャリアのショップは何件かあるのに、車で40分程離れたショップに行かされる。それにも関わらず、手続きを始めたとたん「すみません。エラーが出たので少々お待ちください」「もしかしたら、割引対象外の回線プランかもしれません。いまプロバイダに問い合わせています」と40分も待たされる始末。そのプロバイダから勧められたのに。
待っている間に、携帯の契約プランが適切かお調べしますね。とあり、契約のプランが適切だと、キャリアのクレカをおつくり頂くと年会費は不要でポイントが付きます、という営業トーク。じゃあ、ということで本人確認のため免許証と保険証を出したところ、引越直後で住所変更ができていないと、本人確認はできずクレカづくりは断念(一応、新住所の住民票は持って行ってたけど)。
これでネットの割引も対象外だとしたら、何のために遠路はるばるこのショップまで来たんだ、などと思っていたら、こちらは割引対象であることは判明し、良く分からないけど例外手続き、という方法で手続きは無事完了。
引越し前後は多くの手続き追われてしまう。それでも、以前と比べてネットで手続きできることが多くなって便利になった反面、分かりづらくなった感も否めない。特に最近は電気やガス、ネットなどの事業者が、事業の垣根をこえたサービスを提供したり、グループ会社ぐるみのサービスで付加価値を高めようとしているので、システムは余計にややこしくなっている。
電気は数年前にスマホの機種変時に携帯キャリアの電気に切り替えた。流石に携帯キャリアのサービスは殆どがネットでできるので便利だ。引越しを機に電気をガスにまとめてみるか、という話もでたが引越し手続きは一回でできるが、新規と解約となるとややこしくなるので一旦は引越し手続き後、落ち着いてから契約を見直そうということになった。
しかしである。引越してしばらくして電力会社の検針があり、そこで衝撃の事実が発覚。電力会社から、このご家庭は電気の契約がされてないのでもうすぐ電気が止まります、とのこと。引越し手続きはしたのに、と言ってはみたものの電力会社は冷たく、契約会社にお尋ねください、何らかの理由で手続きが完了していないことは良くあります。
あわてて携帯キャリアに連絡すると、確かに引越しの申請は受付けておりますが、不備があり手続きが完了しておりません。お電話させていただいただきましたがお出にならなかったので、とのこと。そんな電話の着歴はないし、その時出ないなら何回か電話しろよ、生活インフラなんだからと、心中毒づきながらも面倒くさいのでその場で淡々と手続きを完了。事なきをえた。
ネットでの手続きは手軽なのは良いが、本当に完了しているかが分からないのが難点だ。通常、ネットから申込を問題なく登録できれば手続きは完了したと思いがちだが、意外と裏で手で行う作業もあるのであろう、必ずしもそうではないらしい。きっとサービスが事業者を跨いで提供されているので、簡単な手続きではなくなっているのかもしれない。
様々な手続きをやってみたところ、なかには申請を受付ました、手続きが完了しました、とお知らせメールが届くサービスもあった。しかし、そういう通知が届くかはサービスによってまちまちだし、事前にどうなれば無事完了なのかをアナウンスしているサービスは殆どない。こちらからの操作で完了しない場合があるのであれば、せめて無事完了していない場合のアナウンスと、その際の対処方法は最初に告知してもらいたいものである。こらは、同じくシステムを考える立場にある我々にも言えることだが。
例えば水道などは、市営なのでネット手続きに期待はしていなかったが、調べてみるとネットでも申請ができるしアプリもあることがわかった。試しにネットで引越し手続きをやってみたところ、引越し先の契約番号を求められたので(引越し前なのでわからない)あきらめざるを得なかった。しかし解約と新規だと引越し先の契約番号の入力は不必要だったので解約申請をしたのち、新規契約のしてみた。ところが新規契約の入力後の振込口座の設定段階で契約番号を求めらてしまい、途中で挫折。試しにアプリをダウンロードしてみると、まずユーザ登録が完了するまで数営業日。おそらくアプリは申請を受け付けるだけで、裏で人で実施しているのだろう。アプリでは引越申請時では引越し先の契約番号は不要で口座も引継ぐことができるみたいなので、それで再度申請。しかし数日後にエラーになりました、だけのメールが届いてしまう。
何故エラーになったのか、どうすればよいか分からないので仕方なく水道局に電話したところ、先のネットでの解約申請が既にあったのでエラーメールは送られたものの、手続き自体は無事完了していることが分かり一安心。一連の流れから、水道局の仕組みはネットでの申請は引越し後に行うことを前提としており、アプリは連絡だけをしており手続き自体は裏で人手で実施している、という事が想像できた。因みにこのアプリ、申請の他に検針時の使用量と利用料金がも表示できるのだが、前の住所分しか表示されず、新しい住所に切り替えることができない。新しい住所の契約番号も分かっているので、契約番号で切り替えるのかと言えば、それもできず、ユーザ登録からやり直すのかとも思ったが、既に使われているメールアドレスとユーザ登録自体が弾かれるので手詰まり。どうしたものやら。
はたまた、今回の引越しでは郵便物の転送も混迷していた。郵便局が、だが。融資の関係で引越しの前に新しい住所の住民票が必要とということで、住民票は一ヶ月ほど前に移動していた。まあ、引越しもいていないので、この一ヶ月の間で新しい住所に郵便物が届くことはないだろうと思いはしたものの、念のためにということで新住所から現住所への転送依頼を郵便局に提出。ところがこの後に衆議院の解散があり、選挙ハガキが転送されて届く、という奇跡をおこす。人生何が起こるか分からないので、高を括らずきちんと手続きしておくことは大切だ。
ただ、引越し後すぐに旧住所から新住所への転送届を出すことになるのだが、これが恐らく郵便局を混乱させたのであろう。新住所宛の郵便物に、新住所宛の転送先が貼られた郵便物がある日まとめて届いたことがあった。きっと郵便局で何かあったのであろう。すまないことで。
余談だが、今回の引越しの関係でゆうちょ銀行と地方銀行で支払い処理をする必要があり、久しぶりにそれぞれの窓口に出向いていった。少額の支払はスマホのアプリで簡単だが一定額以上の取引となると窓口に出向く必要がある。先にゆうちょ銀行に行ったが、振込用紙に記入してハンコ推して通帳出してという従来通りの手続き。ところが地方銀行に行くと順番待ちの紙はあるが、振込用紙がどこを探してもない。訝しく思いながらも窓口に呼ばれると、カウンター横にあるタッチパネルを操作して振込処理ができるとのこと。しかも、そのまま窓口で振込処理を実施すると窓口の手数料がかかるが、情報を隣のATMに飛ばせるので、そちらで実施すればATMの手数料ですむとのこと。えらく進化していることに驚いた。
これに興味をもって、銀行システム関係の記事を漁ってみる。以前は某メガバンクの話題で盛り上がっていたが、最近は地本銀行のシステム刷新の話で盛り上がっていた。一行で独自開発するのではなく、パッケージを使って共同開発しているようで、国内と海外のベンダー二派にわかれて開発が進んでいるようで、どこそこ銀行が寝返った等の記事が踊っていた。因みに最近の銀行システムはBaaSとなっており、様々なサービスがアプリケーション連係できるようになったため、異業種の企業が銀行業に参入できるようになっているとのこと。そういえばJR東日本も銀行業をはじた、というニュースを最近みたっけ。
そうやってシステムが進歩して、新しいサービスが提供できるようになるのは良いことだと思う。一方でゆうちょ銀行のシステムが危ない、という記事も見かけた。貯金はゆうちょ銀行独自のもので、そろそろ老朽化も進んでいる。そういえば、口座番号は他の銀行と異なり8桁だし、いまだもって紙を使っての振込処理、納得がゆく。近い将来、郵貯システムの刷新トラブルのニュースを目にするのかもしれない。
いや、もしかするとBaaSを使ってゆうちょ銀行のシステムを刷新、というニュースかもしれない。個人的にはこちらが正解ではないかと思いはするが、確率は低いだろう。システムは一社独自でクローズしたものを作るよりも、オープンなシステムをシェアして作る時代になりつつある。しかし、いくら民営化されたからといって、ゆうちょ銀行のもつ(制約を含めた)特異性というのが足かせになるのではないだろうか。
引越しに関連しての手続きは、まだ全てが終わっておらず継続対応する必要がある。オンサイトでしか手続きできないので、時間の確保ができず。その中でも急がないといけないのは、やはり運転免許証だ。平日でないとダメだし、場所も遠い。夫婦二人とも変更しないといけない。賛否両論あるのかもしれないが、個人的には早めにマイナンバー免許証になってもらいたい。理想的には、保険証や免許証だけではなく、金融機関も社会インフラの手続きも全てマイナンバーさえ変更すれば追従してくれればどんなに楽なことか。
引越し直後で辟易しているしがないシステム屋の感想かもしれないが。