システムはイメージの世界
長年システム開発の現場に身を置いているが、システムはイメージの世界だと思う。システムがイメージできないと開発はできないし、イメージさえできれば開発はなんとかなる。
最近のIT技術者はレベルが下がっているのではないかと感じている。特に設計フェーズで。当然、開発は設計からスタートするのだが、その設計ができない。設計書と称した資料を作りはするが、全く持って設計になっていない。
レビュー時に「何故、こうしたの?」という質問に「いや、なんとなく」「誰かが、こうしてといったから」という回答しか返ってこない。中には検討資料を切り貼りして、不明点をメモ書きしたものを設計書と言い張る強者までもいる。
まったくシステムがイメージできていないのだ。これでは開発できない。
IT黎明期の技術者は、間違いなく自分達でいちからシステムを考えて作っていた。しかし、その後、VisualBasicなど簡易な開発ツールの出現とともに、システム開発が急激に増えてゆくと、IT技術者は先人たちが作った設計書をコピーして使いまわすようになった。だから設計スキルが落ちている。
勝手な想像ではあるが。言われたものは作れるが、何を作るかはわからない。
システムはイメージの世界。これはユーザにとっても同じことが言える。システム開発時、要件定義はユーザのミッションである。でもユーザはシステムが分からない。だからシステムを使って何が実現できるか分からないので要件定義なんてできない。踏まえるとシステム開発のキモは、如何にユーザがシステムをイメージできるようにするか、である。ユーザがシステムをイメージできて、初めて本当の要件定義ができるのだ。
しかし残念なことに、IT技術者がシステムをイメージできない。自分がイメージできないことは、ユーザにイメージさせることはできない。
繰り返して言う。システムはイメージの世界なのだ。