九州のベンチャー企業で、システム屋をやっております。「共創」「サービス」「IT」がテーマです。

闇落ちへの衝動

»

出張移動に使った飛行機が国際線機(コロナの影響で国際線機が国内線で運
行されている)で、実写版東京リベンジャーズをやっていました。何気に見
ていたら、ちょうどラスト山場に入る一歩手前で到着してしまい、モヤモヤ
したまま。仕方ないのでコミックの大人買いをはじめて、ようやく先日、最
新刊まで読了しました。

それで、今回のテーマは「闇落ちへの衝動」。マクラから何故そのテーマに
なったかは、ネタバレになるかもしれないので。

闇落ちは、本人が知らないうちに落ちている、というよりも、闇に落ちたい
という衝動があって、自覚をもって落ちることが多いのではないかと思って
います。
加えて、一気に深い闇に落ちてしまうことは稀で、浅い闇落ちを繰り返して
いるうちに、這い上がれなくなってしまうことが多いのではないかとも。闇
沼にはまる的な。

例えば働かないおじさん問題。職場で高い給料をもらいながら何もしない、
ボトルネックになっているおじさんたちのこと。彼らは最初から何もしなかっ
たり、邪魔をしていたわけではなく、実はちょっとした闇落ちを繰り返して
いる中で抜け出させなくなった人たちなのではないかと思ったりしています。
昔はバリバリ働いていたけど、いろいろとあって闇落ちの衝動に抗えず今の
状況にあるのかな、と。

昔、少し大きめで重要な案件をやることになったので、あるメンバーをこの
案件のリーダーにアサインしたいと社長に申し出たことがありました。この
メンバーは別の案件を担当していましたが、その案件が死筋(停滞しており
先に進まない状態)だったので、ちょうどよいかと思って。しかし社長はOK
しませんでした。そいつが抱えている死筋案件が復活するかもしれないとい
う理由で。
そこで外から別のメンバーを探すことになったのですが、時間も限られてい
ることもありなかなか良い人材は見つからず、最後に経験は長いけど畑が違
う(案件は業務系、その人は制御系)技術者をよさそうだ、と社長は決めて
しまったのです。

結果としては案の定。アサインしようとしていたメンバーが抱えていた案件
は復活などすることもなく、ダラダラと無駄なあがきをしたあと消滅。こち
らの案件も、アサインした外部リーダーが何も動けず、彼のパートに空いた
穴から瓦解してプロジェクト自体が崩壊。あわや客先との訴訟問題まで発展
するとことでした。

その案件について書いた過去の記事を宣伝。

あえて失敗させる、という手法

この時、自身、闇落ちしていたのではないかと思います。メンバーのアサイ
ンが認められなかったとき、畑違いの外部技術者をリーダに決められた時、
この案件は無理だ、失敗すると確信していました。でも、失敗しても社長の
所為だから、と現実から目をそらしていたのですから。

社長の判断ミスで、予想通りプロジェクトは崩壊したと思っていますが、だ
からと言って皆がそう考えるわけでもなく、社長自身も自分が判断ミスを犯
したなどこれっぽっちも思っていません。失敗したことは仕方ない。この失
敗を将来に生かすべく、というお題目で、レポートをまとめさせられました。
まあ、始末書でしょう。まさか失敗の原因が社長、などというレポートは書
けないので、お客様とのやりとりは必ず記録をのこした方がよい、というあ
たりさわりのないものになりましたが。敗軍の将は兵を語れないのです。

改めて、当時闇落ちしていたと思うのは、失敗したら社長の所為、というネ
ガティブな感情でプロジェクトを進めてしまったこと。このことにより、プ
ロジェクトに参加していた多くのメンバーの頑張りが無駄になりました。炎
上したプロジェクトは大変です。みな徹夜して頑張ってもらった成果が実を
結ぶこともなく、お客様との駆け引きのみに労力が使われていく。そのよう
なネガティブな状態になってしまったことは後悔しています。闇落ちからは
ネガティブな状況しか生まれないのです。

この話に続きがあります。

この件だけが原因ではありませんが、社長に不信感があったので、ある時師
匠に会社を辞めたい、と話してみました。すると師匠は、会社を辞めるのは
いいけど、顧客に迷惑をかけるのはNGと仰いました。
確かにこの時も、複数のお客様をかかえ、メンバーが開発作業行っていまし
た。ここで投げ出すと、メンバーにもお客様にも迷惑が掛かります。

ただ、ここで会社を辞めるとメンバーや顧客に迷惑が掛かることは重々承知
していたのです。わかっているけど、困ればよい、というネガティブな思い、
闇落ちのへ衝動があったのではないかと。
別に精神的に追い詰められているのにも関わらず逃げるな、と言っているわ
けではありません。誰かが不幸になればよい、という動機で起こす行動を闇
落ちといい、誰かを不幸になればよいと思ってしまう衝動を闇落ちへの衝動
というのだと思います。

そしてこの衝動は誰でも持ってしまう。もしこの衝動に負けてしまったら闇
落ちし、結果、自分も含めた周りがネガティブな状況に陥ってしまう...。
でも、これだけは忘れてはいけないと思います。
闇落ちへの衝動に駆られているとき、自分は闇をのぞき込んでいるのです。
だからその闇は自分自身の闇。必ず後ろには光があります。今回の私の光は
師匠の言葉でした。その言葉で闇落ちせずいられるのかもしれません。

「怪物と戦う者は、その過程で自分自身も怪物になることのないように気を
つけなくてはならない。深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいている
のだ」
ニーチェ

Comment(4)

コメント

白栁隆司@エンジニアカウンセラー

「闇落ち」と聞くと、どうしても、フォースの暗黒面に囚われたダース・ベイダーを連想します。

【力(含む知識)】を持てば、それを振りかざしたくなる衝動は誰にでもあります。
だからこそ、それを律する「力には責任が伴う」という言葉も生まれるのでしょう、と読んでいて考えさせられました。

匿名

今まさに闇落ちしたい衝動に駆られていますw

社内の体制を無視して自分にとって面倒な仕事を
こっちに押し付けてくる。
上司や課として体制の変更を求めるわけでもなく
立場が弱い下の者に言う。しかもけんか腰で。

こいつに関係する仕事は全無視したい気持ちに
毎度させられます。しかし性格上なかなか難しい。
(無視しても無視したことに責任も感じてしまうため)

闇落ちは無理なんで、ここ最近は自分がいかにして消えるかを
考えることが増えてきました。
なんでこんな思いしてまで生きなきゃいけないのか。

すみません、コメント汚しでした。

コメントを投稿する