第708回 研修のつくり方
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
私は研修講師でもあるのですが、基本的に自分が開発した研修に登壇することが多いです。そういえば、私がどうやって研修をつくっているのをお話ししたことがなかったなぁと思いましたので、今回は私なりの研修コンテンツのつくり方をご紹介したいと思います。
■1.ゴールを明確にする
研修コンテンツをつくる上で私が一番最初にやっているのは研修のゴールを明確にすることです。
当たり前と言えば当たり前の話なんですが、研修というのはあくまで何かを達成させるための手段でしかありません。だからこそ、研修に求められていることを明らかにし、そこに辿り着けるようにしなければならないと思っています。
このゴールが決まると、次はそのゴールに辿り着くために必要な小さなゴール(小ゴール)を決めていきます。これは、段階を経て最終目的地のゴールに辿り着かせるためのマイルストーン的な役割を果たしています。
そして、この小ゴールが、研修コンテンツの一つの区切りになっていきます。
■2.全体の流れ(ストーリー)を考える
ゴールと小ゴールが決まったら、次はそれを繋げて一つのストーリーにします。
このストーリーは研修を通じて受講者がどのような流れで学びを積み重ねていくかを表現したモノで、小ゴールを1つずつ通過し最後にゴールに辿り着くような流れで考えます。
ストーリーの出来が研修全体の出来といっても過言ではなく、受講生が研修を通じて自然に学びを深め、最後にはゴールに辿り着けるような一筆書きのストーリーにすることを心がけています。
■3.研修スケジュールをつくる
ストーリーができあがったら、次はそれを研修スケジュールに落とし込みます。
この段階でどのようなスライドをつくり、そのスライドで何を表現するかなどの概要を考えていきます。
そうして、1枚ずつのスライドにかける大まかな時間を算出し、全体の研修時間を算出します。この時、スライド1枚毎に表現したい内容や文章をあらかじめテキストファイルに書き留めておき、スライドをつくる際にそれを転記していくやり方を取っています。
一通り研修スケジュールをつくった後は時間の調整を行います。最初に作成したスケジュールが予定時間をオーバーしていた場合、スライドの枚数や1枚のスライドの説明時間、ワークの時間などを調整し、想定した時間内で収められるような形でまとめていきます。あまりないことですが、逆に時間が余ってしまった場合はスライドの説明時間やワークの時間を延ばすなどして少し余裕を持たせたスケジュール配分にしていきます。
そうして、できあがったらこの研修スケジュールの通りに進めていくことで先ほど定めたすべての小ゴールを通過し、最終的なゴールに辿り着くのかどうかを確認します。
ここまでできれば、一旦この研修スケジュールをクライアントに提示し、研修の全体像を説明します。ここでクライアントからのオーダーがあればそれをスケジュールに反映させた上でFixします。
■4.スライドをつくる
研修スケジュールが無事Fixされたら、後は研修スケジュールに従ってスライドを1枚ずつ作成していきます。
ここでは先ほど出てきたテキストファイルからスライドに1枚ずつ転記し、文章の構成、フォントサイズ、図形、アニメーションなどを整えていきます。そうして、すべてのスライドが完成したら全体の構成、トーンなどのバランスを整えていきます。
■5.その他の資料をつくる
ここまでできたら基本的に研修コンテンツは完成なのですが、例えばテキストを使ったりmiroのようなホワイトボードアプリケーションを使う場合、これらの準備を最後に行います。
これらはスケジュールやスライドから引用してつくることが多いので、私の場合それほど時間はかけないで作ってしまうことが多いかなと思います。
■6.全体確認、微調整をする
これで研修コンテンツはすべてでき上がりましたので、私はここで実際に自分で登壇してみます。そうして、ストーリーやスライドの表現の仕方、違和感などがないかを確認し、あった場合は微調整を行います。
そうして、すべてが納得できるレベルになりましたらこれで研修コンテンツは完成です!
■研修をつくる上で心がけていること
実際には各工程ではもう少し深く色んなことを考えながらつくっていたり、随所で生成AI活用したりしているのですが、そうしたことも含め研修をつくる上で心がけていることがあります。それは、
研修コンテンツがクライアントの目的に沿ったモノになっているか?
この一点です。特にクライアントからの依頼でオーダーメイドで件数コンテンツをつくっている場合は特に神経を尖らせます。
私たちは研修をの提供を通じてクライアントが抱える課題を解決するお手伝いをさせていただいています。このことを忘れてしまうと研修は誰のために行うのよくわからないモノとなってしまい、研修を提供する側の自己満足の場になってしまいます。
そうならないようにするためには、常にクライアントが研修に求めていることは何かを考え、研修コンテンツを開発する必要があると、私は思っています。