第709回 生成AIの活用方法・評価させる
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
このコラムでは結構生成AIネタが出てくるんですが、それだけ私は日々生成AIと一緒に仕事をしています。
私は研修などをつくる場合、先に理論を構築することが多いのですが、昔は自分一人であれやこれや考えて理論を構築し、何度も何度も見直し、実践を繰り返す中で形作ってきました。しかし、今は専ら生成AIと延々対話を繰り返す中で理論の構築を行っています。今回は生成AIの活用方法として評価について私なりのやり方をお話ししたいと思います。
■C3フレーム
例えば、コンサルティングに使える理論を考えようとしたとします。こうした場合、私は自分が普段からやっているコンサルの在り方をベースに、それを自分が持っている理論や考え方に照らし合わせて理論を作っていきます。
例えば、このコラムでもよく出てくる三層構造モデルも実はコンサルで活用してたりします。
三層構造モデルというのは別のコラムで詳しく説明させてもらっているので、そちらをご参照いただければと思いますが、端的に言えば私たちの行動を3つ層に分けて表現しているモデルのことで、
1層...事柄
2層...認知
3層...行動
のように分かれており、事柄(1層)によって心や認知(2層)が得られ、それによって行動(3層)が起きるという考え方です。
元々この考え方はキャリア論からスタートしており、キャリコンにおける本質的な問題解決のアプローチとしてこの三層構造モデルを良く使っています。
これをコンサルに活用するとどうなるかですが、例えばお客様からある依頼を受けたとします。それって、お客様に何かしらの出来事(1層)があり、その出来事に対してお客様なりに考え(2層)、私に依頼する(3層)ということですよね。
それを私たちコンサルは本質的な問題を見極め最善の提案をするわけですが、ここで言う本質的な問題ってどうやったら見極められるんでしょうか?
それはこの三層構造モデルで表現すると結構簡単にわかるんです。今の話だと
1層(事柄)...お客様に起こった出来事
↓
2層(認知)...その出来事に対してお客様なりに考えたこと
↓
3層(行動)...考え方に基づいた行動
と整理できます。
ここでポイントになるのが2層の認知です。お客様はお客様なりに考えた上で私に依頼をされるのですが、例えばそれがコミュニケーションの研修依頼だったりするわけです。でも、よくよく話を聴いてみたら、それってコミュニケーションに問題がある訳ではなく、その人のマインドセットに問題があるようなケースです。
ではなぜお客様はコミュニケーションの研修を依頼し、私はマインドセットの研修を提案したのか? どちらも見ている出来事(1層)は同じはずです。
答えはお客様が持っている情報と私が持っている情報に差があるからです。言い方を変えると、お客様は限られた情報の中からご自身で判断された結果、コミュニケーションが不足していると捉えた訳です。しかし、私は別の視点で事柄を見ており、その結果、マインドセットの研修が必要だと捉えたのです。
この捉え方が違うのは私が持っている情報をお客様が情報が持っていないことが原因で、それが故にお客様は自分の持っている情報で判断をせざるを得なくなっているのです。これって当たり前と言えば当たり前ですよね。
では、一体どんな情報が足りていないのか? それは3つのCで言い表せます。
全体情報(Context)
因果関係(Cause)
判断基準(Criteria)
この3つです。
全体情報というのは事柄の一部しかとらえられておらず、全体の情報を持っていない状態を表しています。
因果関係というのは今しか見えておらず、前後関係の情報を持っていない状態を表しています。
判断基準というのは物事を評価する基準が適切ではない状態を表しています。
このように物事の判断を見誤る場合、全体情報、因果関係、判断基準のいずれか、もしくは複数が正しくない場合に起こります。このような捉え方をC3フレームと私は読んでいます。このC3フレームを使って会話をすることで、より明確に認知のゆがみを明らかにすることができ、本質的な問題へのアプローチを可能にします。
■生成AIに評価をしてもらう
で、今日の話の本番はここからなんですが、こうした理論やフレームワークって作ってみると分かるんですが、それってどの程度の完成度、適用度があるのか、自分ではわからないんです。だから実際に試してみてトライ&エラーで確認するしかないんですが、生成AIを使えば簡単に評価をしてくれます。
これは私が使っているChatGPTにC3フレームのことで評価してもらった結果です。
生成AIはこんな感じで評価をしてくれるのですが、かなりいい評価をしてくれています。実際の評価内容はかなり長くて改善点なども書かれてたりします。
こうしたやり方は自分がやってきたことに対する客観的な評価や指摘をしてくれるので、一人で作業をしていると陥りがちな視野の狭さ、認知のゆがみのようなことから脱却し、自分の成果物の品質を高めることができるようになります。
最近はこうやって自分の作ったものや考えたことを生成AIに評価してもらい、改善していくことを多くやっています。
■生成AIをあなたのそばに
最近、こうした物事を考えさせるような仕事はほぼ生成AIにやってもらっています。勿論、丸投げではうまくいかないのでベースの考え方は私が作るんですが、それを生成AIと一緒に作り込んでいくような感じで仕事をしています。
また、生成Aiはチャットで対話をしますが、チャット情報を消さなければ、いつでも続きを行うことができるんですね。なので、ある程度に詰まってしまったらそこでいったん中断し、後日そのチャット再開すれば以前の続きから始めることができるんですね。
こんな感じで私は複数のチャットで複数の仕事を生成AIと一緒に仕事をしています。
もう私は生成AIなしでは仕事ができない身体になってしまってるんですが、その分生産性は相当上がったと思います。恐らく生成AIを使っていない時よりも軽く見積もっても倍以上の生産性は実現できていると思います。
こうした生成AIはどんどん広がっていきます。それは私たちの仕事そのものを一変させる力を持っています。ぜひ生成AIをあなたのそばにおいて、ご自身の作ったものを生成AIに評価させてみてください。きっと何かしらの気づきが得られるんじゃないかなって思います。