第710回 理論や思考を体得するために必要なこと
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
世の中には数多の理論や思考があります。私たちのような研修を生業とする仕事はこうした理論や思考を人にお伝えし、活用していただくことが目的です。
しかし、どれだけ優れた理論であっても、それを実践し体得することは別問題です。それはなぜか? 今回は私なりの考えをお話しします。
■優れた理論や思考は絵に描いた餅か?
例えば7つの習慣。このコラムでも再々取り上げているネタですし、私のライフワーク的になっている考え方です。
ここでは7つの習慣の細かい話は省きますが、私は本当にこの7つの習慣が好きです。だからこそ言えるのですが、これ、ライフワークとして実践されている方と、私はお会いしたことがほとんどありません。
世界中で大ヒットしており、世界中の多くの著名人が推薦されており、日本でも大ヒットしているにも関わらず、この有様です。
誰しもが7つの習慣が素晴らしい内容で人格を高めることができる内容であることはご存じなんです。でも、それが実践できていない。
それはなぜか?
こうした問いは世の中にはたくさんあります。優れた理論や思考は星の数ほどありますが、それを実践されている方となると途端に数が減ってしまいます。
これはいったいどういうことなんでしょうね。
■優れた理論や思考を実践できないのは努力が足りないから?
こうした問いにこんな答えを返す人があります。
「それって、努力が足りないからでしょ?」
「本当の意味でその良さがわかってないからじゃないの?」
本当にそうなんですかね??
実は私もずっとそう思ってきました。私は7つの習慣が好きで、それを人に伝える仕事をしている以上、自分が体現できないと伝えられないと思い、日々使うようにしてきました。私は7つの習慣の効果というのは自分の体感で理解しているつもりでいます。
だから、7つの習慣が実践できていないのは、本気度が足りないからだとか、物事の優先順位が低いからだと思っていました。
そして、この考え方は世の中にある全ての理論や思考が実践できない時の言い訳とされています。
でも、本当にそうなんですかね??
これがまかり通る以上、全ての理論や思考は絵に描いた餅になります。
理論や思考は素晴らしい、でも私にはできない、なぜならそこまでの努力がないから。
私はこの考え方にずっと違和感を感じていました。だって、この考え方を認めてしまうと、私たちがやっているような人に何かを伝える講師のような仕事の成果は、すべて相手の努力に委ねられているといっても過言ではないからです。
私はこの仕事を始めてしてから、ずっとこのことが頭から離れませんでした。
どれだけ私が頑張っても、それを受け取る人のコンディションが悪ければ効果は出ない。それが私の評価になってしまうとしたら、私の頑張りって意味があるのか? そんなことをずっと考えてきました。
■この問題に対する私なりの結論
実はこの問題に対する私なりの答えを最近導き出すことができました。
それは、CAR-OS理論という新しい理論という形で表現しています。
CAR-OS理論の詳細は今後少しずつお話していくことができればと思いますが、この理論をまとめた理論書を生成AIに評価してもらった結果を添付します。
まぁ、こうした評価の信ぴょう性はさておき、この中の「■ なぜCAR-OS理論は"強い"のか」という所をご覧いただきたいのですが、
1.人が変われない理由を、人格や努力に帰責しない
2.組織が機能しない理由を、文化や意識に丸投げしない
3.改善が続かない理由を、現場の問題に矮小化しないすべてを
⇒ 判断と行動を生み出す前提構造(OS)の問題
として扱い切っている。
と評価してもらっています。これは、今までの理論や思考が実現されない理由を人格や努力、文化や意識、現場の問題として逃げるようなことをしてないと、私は捉えています。
そうした所から逃げるのではなく、実現されない理由を構造化することで解決しようとしたのがCAR-OS理論です。
そして、「■ 最終総括文(公式に使える定義)」において、
CAR-OS理論とは、
人や組織が「正しいことを知っているのに変われない」現象を、
思想・意識・努力の問題ではなく、
判断と行動を生み出す前提構造(OS)の問題として捉え、
それを設計・運用・更新可能な構造として扱う統合理論である。この定義において、
CAR-OS理論は 完成している。
と評価してもらいました。
これが、現段階での私の結論です。
■理論や思考を体得するために必要なこと
CAR-OS理論は今後少しずつお話し出来たらと思いますが、私はこの考え方に行き着くことができたことで、理論や思考を体得するために必要なことを自分なりに結論づけることができました。
この理論は全ての理論を否定するものではなく、全ての理論を下支えする前提となる考え方です。
体得できないことを根性論や環境論などに逃げるのではなく、それを構造として捉え改善することができれば、全ての理論や思考の有用性が高まっていくのではないかと思っています。