第666回 目的か手段か2
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
10年以上前になりますが、目的と手段についてのコラムを書かせていただいたことがありました。この内容は今でも仕事をするときには必ず意識する内容なのですが、キャリコンにおいても重要なポイントであったりします。そこで今回は過去のコラムを振り返りながら目的と手段について改めて考えてみたいと思います。
■過去のコラムを振り返りながら...
その時のコラムはこちらです。
公開日が2014/8/4なので今から10年以上も前に書いたコラムですね。一部引用してみます。
佐伯さんがつくったキャリアプランの違和感、それは技術やスキルを習得することが目的になっているようにみえたことです。PMPを取得するからプロマネ業務ができる、この技術やスキルを身につけるからその仕事ができる...、一見すると正しいようにもみえますが、資格や技術を取得したからといって仕事ができるようになることは一般的にはあり得ません。
この時期は私が実際にキャリコンをさせてもらった人をお題にしたネタでコラムを書いていましたね。この方はPMP取得を目的としている所に違和感を感じていることを伝えています。そしてこのようにまとめています。
私たちのやっていることは時として、それが目的なのか手段なのかが明確になっていないことがあります。今回はキャリアづくりについて考えましたが、このようなことは日常生活にもたくさん出てきます、もし、自分のやっていることに迷いが出たとき、それが目的として行っていることなのか、手段として行っていることなのかを今一度振り返ることで、正しい道を選ぶことができるかもしれません。
私は今でもこの考え方で物事を捉えるようにしています。
■目的と目標
ただ、このコラムを見返してみると、あれ? と感じる所もありました。。。それはこちらの部分です。
例えば、自分自身の中でどれだけ能力が付いたかを計る指標が欲しいのであれば、資格の取得を目的とすればよいと思います。例えば、既にプロマネの仕事に就いていて、プロマネの仕事を深く知るといった意味でプロジェクトマネージャ試験やPMPを受験することには大きな意味があります。この場合、あくまで資格の取得は自分自身への能力の確認作業となります。
それに対して、例えば未経験の仕事に就きたいという目的があり、その目的を達成するために技術やスキル、資格を取得する場合は、その行為自体が手段となります。この場合、一般的に技術やスキル、資格を取得することで目的とする未経験の仕事に就くことはなく、技術やスキル、資格を取得すること以外にプラスアルファの何かをしなければ、目的を達成することはできません。
後半の手段のくだりは良いのですが、前半の目的の捉え方が少しわかりづらい感じがしますね。。。ここで言いたかったのは、物事の捉え方によってはその行動は目的にも手段にもなり得るので、自分が何を望んでいるのかを明確にした上で目的、手段を設定してみませんか、ということだったと思います。
で、今読み返してみると、今ならここに目標の考え方を追加して説明すると思います。目的と目標の違いについてはこちらのコラムで紹介していますので、一部抜粋します。
課題:解決すべき問題
↓
目的:課題が解決した姿(状態)
↓
目標:課題を解決させる具体的な姿(目印)
↓
方策:課題を解決させる具体的な方法(行動)
ざっくり言ってしまえば、目的は大ゴール、目標は小ゴールといった捉え方で良いと思います。そして、方策は手段になりますね。この見方で先ほどの話を捉えると、このように整理できます。
目的:プロマネの仕事に就く(状態)
↓
目標:PM能力を高める(目印)
↓
方策(手段):PMPを取得する(行動)
こうやって目的、目標、手段に分けて整理すると自分のやろうとしていることが明確になるのではないかと思います。
■目的と手段の違いを明確にしておこう
では、なぜ目的と手段を明確にする必要があるのでしょうか? 目的が手段となってしまっている場合、目的が定義されていない状態になっています。その状態は目的が明確でないため、ゴールが見えていない状態でやることだけが定義されてしまっているのです。そのため、行動は起こすものの、それがどこに辿り着くのかが明確になっていない状況を作り出してしまっているのです。
その結果、努力の方向を間違えてしまっていたり、あらぬ方向に進んでしまうことが起こってしまいかねません。そうならないためにも、私は目的を明確にする必要があると考えています。
もし、目的を明確にしづらい場合、先ほどご紹介した(課題→)目的→目標→方策のフレームを使って考えてみていただくと案外整理しやすかったりします。良かったら試してみてくださいね!