第652回 仕事の優先順位を考える
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
皆さんは仕事が複数ある時、どんな順番で仕事をしていますか? これは人によって違いが出てくるところと思いますが、良くあるのは急ぎの仕事ではないでしょうか。勿論それは正しい部分もあるのですが、急ぎの仕事から対応していくと本当にその仕事が必要だったのか、後で考え直すと案外そうでないこともあります。そこで、今回は仕事の優先順位について考えてみます。
■時間管理のマトリックス
私のコラムを読んでくださる方は恐らくこのワードが思いつかれたのではないかと思います。もう、何度もコスっている内容ですが、仕事の優先順位を考える上でよく使われる考え方が「時間管理のマトリックス」です。過去のコラムにもありますので、一部引用します。
すべての仕事を緊急度と重要度の組み合わせて考えてみるとどうなるでしょうか。これは7つの習慣の第3の習慣にある「時間管理のマトリックス」という考え方ですが、すべての仕事を緊急度と重要度で捉えるとことのように分類されます。
緊急度=高い、重要度=高い
緊急度=低い、重要度=高い
緊急度=高い、重要度=低い
緊急度=低い、重要度=低い
これをそれぞれの領域に分け、「緊急度=高い、重要度=高い」を第1領域(Q1領域)、「緊急度=低い、重要度=高い」を第2領域(Q2領域)、「緊急度=高い、重要度=低い」を第3領域(Q3領域)、「緊急度=低い、重要度=低い」を第4領域(Q4領域)と呼びます。そして、Q1領域を必須の領域、Q2領域を価値の領域、Q3領域を錯覚の領域、Q4領域を無駄の領域と呼んでいます。これらを表で表すとこのようになります。7つの習慣ではこの中の第2領域(重要だけど緊急ではない領域)に意識を向けます。一般的に第2領域にはこのようなことが含まれています。
- 勉強や自己啓発
- 体力づくり
- 部下の育成
- 家族との時間
どれも緊急ではないけれど重要な内容であることがお分かりいただけると思います。こういう第2領域の内容というのは緊急ではないため急いでやらなければならないということはありません。しかし、重要ではあるためいつかはやらなければならないことです。そのため、ほったらかしにしておくといつの間か第1領域(緊急かつ重要である領域)になってしまうのです。
■重要とは?
この時間管理のマトリックスの肝になる部分は「重要」軸です。要するに緊急なことをベースに考えるのではなく重要なことをベースに考えようということなのですが、ここで問題となるのは重要って何のことを言っているのか? です。
7つの習慣的に考えると、これはミッションステートメントを指します。つまり、その人の人生にとって最も大切なことを重要軸に置いて考えようということですね。ただ、この考え方をするとビジネスのシーンでは当てはめづらいこともあります。そのため、考え方を拡張し、組織や部署にとってのミッションステートメント(これをコントリビューション・ステートメントと呼びます)を定義し、それをベースに重要なことを考えるやり方もあります。
いずれにせよ、何が重要なのかをちゃんと定義しておかないと時間管理のマトリックスは機能しないってことになりますね。
■仕事の優先順位を考える
だからこそ、自分にとって何が重要なのかを考える必要があると思うんです。確かに7つの習慣では自分の生き方や組織の在り方からミッションステートメント(コントリビューション・ステートメント)を考えていますし、それは理に叶っているといると思います。ただ、よくよく考えてみるとそれだけが全てではないと思います。
例えばミッションステートメントから離れていたとしても、その時に利さなければならないモノがあるとすれば、それは重要になり得ると思うんです。勿論、そうした重要軸がコロコロ変わってしまうのは問題だと思いますが、状況に応じて今何が重要な可を考えることは大事だと思います。
この考え方はアジャイルから来ています。アジャイルはその場その場で一番最適な選択肢、言い方を変えると一番価値が高まる選択肢を選ぼうとします。ただ、何を持って価値が高まるのかが必要で、それは原理原則に基づいて考えます。ちゃんとした不変の定義があり、そこから何が価値になるかを考え選択肢を選びます。
実はこの考え方は7つの習慣も同じで、7つの習慣も効果性の高い原則から作られています。
そのように考えると、重要軸を考える上で最も大切なことは判断の拠り所となる原則なのかなと思います。ここがしっかり決まっていれば、例え重要軸が変わったとしても、その人の本質は変わらないんじゃないかなと思います。