第579回 自分のバイアスに気づく
こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。
私たちは一人ひとり何かしらの考えや価値観を持っています。その考えや価値観の下に行動していくのですが、それが時として独自の思い込みになってしまうことがあります。
それを一般的にバイアスと呼びますが、最近自分のバイアスについてあれこれ考えることが多くなってきたような気がしています。そこで今回はバイアスをネタに書いてみます。
■バイアスとは
Wikipediaによるとバイアスは「偏見」と言い換えられるとして、以下のように定義されています。
偏見(へんけん、英語: prejudice、bias)とは、客観的な根拠なしに共通の特徴をもつモノに対する画一的な見方をすること、特定の集団や属するモノに対して画一的な感情を抱くことをいう。先入観、(アンコンシャス)バイアスやステレオタイプともいい、差別と密接な関係を持つ。一般的に悪い意味として使われる。全ての人が持つとされ、「偏見がない」と主張する人は無自覚な偏見(英語版)を持つ者として批判される。(Wikipediaより)
こうやってみるとバイアスって奥深い感じがします。私自身はバイアスを「その人独自の捉え方」と考えており、それはその人にとって真実だと思っています。なぜなら、そのバイアスがその人の過去の経験や体験、考えや思考から生み出されたものだとしたら、それはその人にとって真実以外の何物でもないと思うからです。
ただし、そのバイアスを他の人に照らし合わせてみると、必ずしもそれが真実ではないことが起こります。それどころかその考え自体が客観的に良くない考えと捉えられてしまうことだってあります。それがWikipediaによるところの「一般的なに悪い意味として使われる」と言われる所以なのかもしれません。
■自分のバイアスに気づく方法
ここ最近、私は自分の癖やバイアスを客観視できるようにしたいと思っています。それは、私が持つバイアスによって周りの人に迷惑をかけたくないと思っているからです。実際にそうしたシーンに出会ったことはないと思っていますが、ひょっとしたらそれは単に私が気づいていないだけかもしれません。
そんな訳で私は三層構造を使って自分のバイアスに気づくようにしています。三層構造については過去のコラムをご覧いただければと思いますが、私は以下のようにやっています。
1.何かしらの感情が起こった時、その感情が起こった事象(1層)を確認する
2.なぜその事象に対して感情が起こったのか、その原因(2層)を考える
3.その考えに例外(ユニークケース)がないかを考える
例えば、行列のできるお店に並んでいたとします。もう少しで入店できるというタイミングで、私の前に並んでいた方の友達がやってきて列に加わってきたとします。
その時、私は一瞬「ムカっ!」としました。この「ムカっ!」という感情が湧き起こった時に、何が起こったからこの感情が湧き起こったのかを考えます。今回のケースであれば、
自分の前に並んでいる人の友人が列に加わった
という事象がそれに当たります。そして、次になぜ「ムカっ!」としたのか、その原因を考えてみます。そうすると...
・横入りするのはズルい
・自分の入店タイミングが遅くなってしまう
こんなことが出てきました。そこで更に深く考えてみると、こんな考えに行き着きました。
・順番を守らず楽をして入店しようとしていることが許せない
ここまで出たら、この考えに例外がないかを考えてみます。例えば、
・複数人で並ぶ場合は極力少ない人数で並ぶこと
・後から加わってきた人の大量が優れなかったから
こんなことがあったとしたらどうでしょうか。もしこういう例外ケースがあったとするならば、私はそれはそれで仕方がないと思ってしまいます。ということは、私の
・順番を守らず楽をして入店しようとしていることが許せない
という考えは条件によって変わってしまうことなので、それは最早バイアスと言えるのではないかと思うのです。
■バイアスに気づくことの大切さ
誰しもがバイアスを持っています。私はバイアスを持つこと自体は悪い事ではないと思っています。しかし、時としてバイアスは他の人に迷惑をかける可能性があります。
だからこそ、私は自分自身のバイアスに意識を向け、自分自身のバイアスがどこから来ているのかを考えずにはいられないです。
なぜなら、それが自分自身のバイアスをうまく付き合う方法のような気がするからです。