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第535回 相手を知るためのフレームワーク

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 こんにちは、キャリアコンサルタント高橋です。

 よく物事を報告するのに5W1Hで伝えるとかありますよね。5W1Hとは、「いつ(when)」「どこで(where)」「誰が(who)」「何を(what)」「なぜ(why)」「どのように(how)」の問いに答えていくことで、相手に正確に、抜けや漏れがなく伝えることができるフレームワークです。

 このようなフレームワークは他にもたくさんありますが、私も相手を知るためのフレークワークをよく使っています。そこで今回はこのフレームワークをご紹介します。

■Aチャート法

 それは私がAチャート法と呼んでいるモノです。Aチャート法自体は過去のコラムでも紹介させてもらったことがありますが、その時の内容を再掲いたします。

 対話技法(ダイアログ・メソッド)では相談者の捉え方に着目し、そこから問題の本質へアプローチしていきます。この方法を事象関連付けチャート(Activing Event Assosiation Chart:Aチャート)法と呼びます。以下、Aチャートの例です。

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 Aチャートの根本的な考え方は、相談者の「行動」には相談者の「捉え方」があり、その捉え方を生み出すきっかけになった相談者の「事象」があります。この3つを関連付けることで、相談者の置かれている状況や考えなどを整理することができるようになります。もう少し分かりやすく説明するとこのようになります。

事象...相談者の身の上に何が起こったか

捉え方...事象(出来事)に対して相談者がどのように捉え、考えたか

行動...相談者が捉えた捉え方に対して相談者がどのように行動したか

 ここでポイントになるのは、事象の考え方です。事象とは相談者の身の上に起こった出来事ですが、この事象には良いも悪いもなければ善も悪もないと考えます。あるのはただ「身の上に起こった出来事」という客観的な事実だけです。

 その上で、その事象に対して相談者がどう捉えたかを考えます。先ほど、事象そのものには良いも悪いも善も悪もないとお伝えしましたが、相談者にとってみれはそれが良くも悪くも、善にも悪にもなります。それが相談者の捉え方です。ここでは相談者の身の上に起こった事象に対して相談者がどのように考え、どのように捉えたかを明確にします。

 最後に、その捉え方から相談者はどのような行動を取ったのかを明確にします。この行動を起こすきっかけになったのは相談者の捉え方です。相談者の捉え方が明確になることで、相談者の行動原理が明確になり、実際に行った行動への理由付けができるようになります。

 上図の例で言えばこんな感じですね。

事象(相談者の身の上に何が起こったか)

上司が厳しくあたる、分からないことがあっても誰も教えてくれない、相談できる人がいない、職場の雰囲気が悪い(誰もしゃべらない)

捉え方(事象に対して相談者がどのように捉え、考えたか)

誰も助けてくれなくて辛い、自分ばかりが我慢していてシンドイ、職場の雰囲気が悪く、ストレスが溜まってしまう

行動(相談者が捉えた捉え方に対して相談者がどのように行動したか)

今の職場を退職したい(と思い、相談に来た)

 こうやって見てみると、相談者の身の上に起こった出来事を相談者がどのように捉え、それが相談者の取った行動へと繋がっていくのが分かるのではないでしょうか。このように整理することで相談者の状況を知ることがAチャートにおける考え方です。

■Aチャートの実践方法

 Aチャート自体は問題解決法としての活用することを想定していますので、この先の話が続くのですが、今回は「事象」「捉え方」「行動」に分けて相手を知ることなので、ここまでできればOKです。

 ただ、初見でこのような見方をするのは少し難しく感じるかもしれません。

 そんな場合は相手の話に着目し、相手が「事象」の話をしているのか、それとも「捉え方」の話をしているのかに着目してみてください。

 その見方で相手の話が聴けるようになったら、次はその聴き方で自分で相手の「事象」を掘り下げてみてください。ある程度掘り下げができるようになったら、次にその事象に対して相手がどう考え、感じたかという「捉え方」に進んでみてください。そうして、相手の気持ち、心情などを明らかにしていくことができたら、そこから相談者がどのような「行動」を取ろうとしたのかを聴き出してみてください。

 このように、相談者と「事象」「捉え方」「行動」の3つの状態(Aチャートでは3つの層と呼んでいます)に分けて考えることで、相談者を知ることができるようになります。興味のある方はぜひチャレンジしてみてくださいね。

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